女性アーティストのノミネート数やパフォーマンスの機会が圧倒的に少ないことから、昨年「男女不平等」など批判の声が上がったグラミー賞に、今年は大きな変化があった。
米現地時間2月10日、ロサンゼルスにあるステイプルズ・センターで行なわれた授賞式は、オープニングから“ガールパワー全開”で、サプライズ登場したミシェル・オバマ元米大統領夫人とともに、司会者のアリシア・キーズ、女優のジェイダ・ピンケット・スミス、シンガーのレディー・ガガとジェニファー・ロペスがステージで肩を並べてスピーチを行ない、女性の存在を全面に押し出した内容に。
14年ぶりに女性が司会者に抜擢
さらに、今年の授賞式の司会者を務めた実力派シンガーのアリシアは、女性として14年ぶりに司会者に抜擢されたことでも話題になった。ちなみに、アリシアは過去にグラミー賞を15回受賞しており、単純に“女性だから”という理由だけで選ばれたわけではないことも、世間から高く評価されている。
女性が受賞した部門の数が「約2倍」に
全86部門のうち、昨年女性が受賞した部門の数がたった17部門だったのに対し、今年は31部門に大幅アップ。米Hollywood Reporterによると、今年は昨年と比べて女性の受賞者数が82%増加したことになるという。
また、今年のグラミー賞では4つある主要部門のうち「年間最優秀アルバム賞」にカントリーシンガーのケイシー・マスグレイヴス、「最優秀新人賞」にシンガーのデュア・リパが選ばれたほか、計4部門で受賞を果たしたケイシーは、チャイルディッシュ・ガンビーノと並んで今回の最多受賞者に輝いた。
さらに、主要部門ではないものの、ラップ部門で最も重要なカテゴリーである「最優秀ラップ・アルバム賞」を、ラッパーのカーディ・Bが女性アーティストとして史上初めて受賞する快挙を達成。
授賞式後、カーディのもとには、ミッシー・エリオットやリル・キム、レミー・マー、ラップグループのSalt-N-Pepaといった女性ラッパーだけでなく、チャンス・ザ・ラッパーやJ.コールといった男性ラッパーからも祝福のコメントが集まった。
パフォーマンスも女性アーティストが席巻
今年のグラミー賞授賞式で何よりも目を引いたのは、パフォーマンスを披露した女性アーティストの多さ。
見事グラミー賞を受賞したカーディやケイシー、デュア、ガガに加え、ダイアナ・ロス、ケイティ・ペリー、ドリー・パートン、マイリー・サイラス、カミラ・カベロほか、多くの女性アーティストたちがグラミー賞という大舞台を華やかに彩った。
ちなみに、まさに“女性の年”であった今年のグラミー賞を振り返って、「最優秀新人賞」を受賞したデュアは、「何年間も私たちが見たいと思っていた変化です。ノミネートされたことも、ほかの女性が称賛されているのを見られたことにも、感謝しています」と、授賞式後のインタビューでコメント。
今回の最多受賞者であるケイシーも、「(女性の受賞者が多いのは)音楽にとって必要なこと。今年の授賞式で活躍した女性の一員になれて嬉しいです。すべての人たちが、女性が作る音楽を好きなわけではないかもしれませんが、女性の声が多くの人に届く機会になれば良いと思います」と、多くの女性受賞者を輩出した今年のグラミー賞が世間に良い影響を与えることに期待を寄せた。(フロントロウ編集部)