日本だけでなく海外でも怒りの声
自身がプロデュースするコスメや香水のブランドで大成功を収めているキム・カーダシアンが、先日、新たに立ち上げを発表したシェイプウェア(補正下着)専門のブランド「KIMONO(キモノ)」が、日本の伝統的な衣装である「着物」とまったく同じ名前であることから“文化の盗用”にあたるとして、日本国内のみならず、アメリカを中心とする海外からも批判の声が噴出している。
やはり争点となっているのは「文化の盗用」。最近だと、今年2月にシンガーのアリアナ・グランデが、漢字をちゃんと理解せずに日本語(漢字)のタトゥーを入れたことや、ミュージックビデオや自身のオフィシャルグッズに日本語を活用していたことが文化の盗用にあたるとして、バッシングされたことが記憶に新しい。
文化の盗用(Cultural Appropriation)
近年よく議論されるトピックの1つで、ある民族の文化的要素を、その文化に属していない人たちが取り入れること。
大の親日家として知られ、来日経験もあるキムは当然「着物」の存在を知っていて、あえて自分の名前「Kim(キム)」と「着物」をかけた「KIMONO」というブランド名にしたわけだが、英ロンドンにあるヴィクトリア&アルバート博物館(The Victoria and Albert Museum)は、皮肉たっぷりに「着物(Kimono)は、日本で16世紀頃から性別や位に関係なく着られるようになった衣服です。そして現在も日本の伝統文化に根付いています」と、日本の着物に関する“正しい知識”を公式ツイッターに投稿。今回の件でキムを批判している人々が使っている「KimOhNo(※)」というハッシュタグまで使った。
※「着物(Kimono)」と「キム、ああダメだ(Kim Oh No)」をかけて誕生したハッシュタグ。
#Kimono became the principal item of dress for all classes and sexes in Japan from the 16th c. and is still a symbol of Japanese culture. Discover real kimono here at the V&A: https://t.co/uq0TnFHdLh#KimOhNo pic.twitter.com/xfb4UnFbiv
— V&A (@V_and_A) 2019年6月26日
この美術館に限らず、海外の一般の人たちのあいだでも「KIMONO」と名づけたことが問題視されており、現在進行形で炎上しているキムのインスタグラムやツイッターをのぞいてみると、「これは『着物』じゃない」「日本の人たちに対してとても失礼」「今すぐ名前を変えるべきだと思う」といった厳しいコメントがずらりと並んでいる。
ブランド名は「×」だけど、商品は「◎」
そんななか、複数のセレブを含む一部の人たちからは「KIMONO」を称賛する声も。その理由は、様々な人種や体形の人たちを意識して開発された商品の品揃えにある。
ブランド立ち上げを報告するインスタグラムの投稿でキムも言っていたが、「KIMONO」はすべての人たちのニーズにこたえるべく、ほかの下着ブランドよりも豊富なカラーバリエーションやサイズを取り揃えており、サイズはXXSから4XLまであり、色は9色展開することが発表されている。
用途を考えて片脚だけ長さが短いボディスーツなど、ユニークなアイテムもあり、キム本人が“情熱を注いできた”と豪語するだけあって、クオリティの高さには自信がある様子。
キムと親交のあるセレブをはじめ、その点を評価している人は少なくなく、「KIMONO」というブランド名のチョイスに対して、一部のファンからは「商品が良いだけに残念」という声が上がっている。
シンガーのデミ・ロヴァ―トや、“世界で最も美しいまだら肌”を持つと言われるモデルのウィニー・ハーロウ、プラスサイズモデルのアシュリー・グラハムらも“称賛”を意味する拍手の絵文字を使って、ブランドの多様性を評価している。
ちなみに、炎上覚悟で「KIMONO」を立ち上げたキムは、この騒動に沈黙を貫いており、まだ一切リアクションを見せていない。(フロントロウ編集部)