またもや新曲をリリース
自身のアーティストとしての成長や素顔に迫るNetflixのドキュメンタリー映画『ミス・アメリカーナ』の配信を1月31日に控えるテイラー・スウィフトが同作の公開とともに、新曲をデジタルリリースすることが分かった。
2019年9月のアルバム『ラヴァー』のリリースに続き、11月には巨匠アンドリュー・ロイド・ウェバーと共作した映画『キャッツ』の劇中歌「ビューティフル・ゴースツ」を発表、さらに12月には、ほぼファンサービスのために超短期間で製作したクリスマスソング「クリスマス・ツリー・ファーム」をサプライズリリースしたテイラーが、『ミス・アメリカーナ』の配信と並行してリリースするのは「オンリー・ザ・ヤング(Only the Young)」と名づけられた楽曲。この情報は、テイラーがインタビューに登場した米Varietyで明らかにされた。
政治色の強いミレニアル世代へのアンセム
日本語に訳すと「若者だけが」という意味となるタイトルのこの楽曲は、かなり政治色が濃い歌となっているという。
同曲は、『ミス・アメリカーナ』の撮影の最中に行なわれた2018年11月のアメリカ中間選挙での結果(※)を受けて落胆したテイラーが、自身と同様に政治不信に陥っているミレニアル世代の若者たちを励まし、鼓舞したいという思いから制作したもの。
映画内では同楽曲の制作風景も映し出されるといい、テイラーが制作したデモには、こんな歌詞が含まれている。
「できることはすべてやった/試合は不正に仕組まれていた、審判は騙された/正しくない人が自分は正しいと思っている/私たちは数では負けてしまった今回は」—「オンリー・ザ・ヤング」の歌詞より
ドキュメンタリー映画のタイトルの由来ともなっている『ラヴァー』の収録曲「ミス・アメリカーナ・アンド・ザ・ハートブレイク・プリンス(Miss Americana&The Heart Break Prince)」は、表向きは、高校生活における栄光と挫折を歌った歌詞が並ぶように見せているが、じつは、全米で問題になっている政治や不平等について幻滅する気持ちを、高校生活に比喩して歌っている。
同曲は、男性至上主義に疑問を投げかける「ザ・マン(The Man)」や、LGBTQ+コミュニティのアンセムともなった「ユー・二ード・トゥ・カーム・ダウン(You Need To Calm Down)」とならび、これまで政治的発言を避けてきたテイラーが、自分の意思を表明した力強く挑戦的な楽曲だと話題になった。
「ミス・アメリカーナ&ザ・ハートブレイク・プリンス」は、意外にも、映画『ミス・アメリカーナ』の劇中には登場しないというが、テイラーがドキュメンタリー番組を通じて息を吹き込む新曲「オンリー・ザ・ヤング」も、全貌は謎のベールに包まれたままながら、早くも政治や社会問題に鋭く切り込む名曲に違いないとファンたちの期待を集めている。
自己体験と楽曲をリンクする テイラーの“生き様”を目撃せよ
テイラーの「ありのままで感情的な部分」を露見させるドキュメンタリー映画『ミス・アメリカーナ』では、“人生の転換期に、作詞家・パフォーマーとしてだけでなく、発言力があるにもかかわらずそれを押し殺していた女性としての役割を受け入れる”テイラーの姿が浮き彫りになる。
本作でメガホンを取ったのは、元パンクロッカーという異例の経歴を持つ日本人の住職、根本一徹が自殺防止活動をする姿をドキュメンタリーにした『いのちの呼吸(原題:The Departure)』を監督した、エミー賞受賞監督のラナ・ウィルソン。
ウィルソン監督は、『ミス・アメリカーナ』での密着中に目の当たりにしたテイラーの秀でた素質について、「彼女は、自分が経験している事柄や感情を整理する方法としてスタジオに足を運び、曲作りを行なっています」と米Varietyに証言。
さらに、テイラーが、もし落ち込むような出来事があっても、それに委縮したり、後悔を口にするのではなく、「わかった、じゃあもっと努力すればいいいんだ」と決意を新たにするような人だと分析し、「中間選挙の結果を聞いたとき、テイラーが自分の中のあらゆる考えや感情に周波数を合わせて、それを『オンリー・ザ・ヤング』に注ぎ込む姿は素晴らしいものでした」と絶賛した。
ウィルソン監督は、映画内に収められたその過程を通じて、視聴者たちはテイラーの人生に起きたことが、どのようにして直接楽曲に反映されていくのかという知られざるプロセスを知ることができるだろうと、『ミス・アメリカーナ』の醍醐味を語っている。
『ミス・アメリカーナ』は、1月31日のNetflixでの世界配信に先駆け、1月23日から始まるサンダンス映画祭でプレミア上映される。
同作は、テイラーにとってショービズ界の最高の栄誉だと言われるEGOT(※)への道が開ける作品とも言われるだけに、大きな注目が集まっている。
※テレビ界最高峰のアワードであるエミー賞、音楽界最高峰のグラミー賞、映画界最高峰のアカデミー賞、演劇&ミュージカル作品の最高峰のトニー賞という米ショービズ界において最も栄誉ある4大アワードを制覇すること。それぞれのアワードの頭文字をとって「EGOT」と呼ばれる。
(フロントロウ編集部)