評価が分かれる話題作
アンドリュー・ロイド・ウェバーの名作ミュージカル『キャッツ』を最新の特殊映像技術を駆使して実写化された映画『キャッツ』。すでに劇場で同作を鑑賞した海外の観客たちの間では、個性豊かな豪華キャストによる、笑って泣ける名演技や世界屈指のプロダンサーたちによる美しいダンスが評判に。
しかし、その一方で、本作のために開発された“デジタル・ファー・テクノロジー”を使って再現された本物の猫さながらのキャラクターたちの独特の風貌に関しては、公開前から「コワい」、「不気味だ」などと、あまりにもリアルなその姿をなかなか受け入れ難いという感想も寄せられ、トム・フーパー監督の強い要望により、劇場公開後にVFXに改良を加えたバージョンに差し替えるという異例の措置が取られたことでも話題となった。
『キャッツ』出演への本音を語る
世間では賛否両論となっている『キャッツ』に出演&楽曲提供を行なったシンガーのテイラー・スウィフトが、欧米での公開から約1カ月が経った今、観客たちからの反応を踏まえて、『キャッツ』への出演で“得たもの”に言及。同作に携わったことへの本音を語った。
映画『アベンジャーズ』シリーズの俳優イドリス・エルバ演じる犯罪王マキャヴィティを慕う赤毛のセクシーな猫ボンバルリーナを演じたテイラーは、クライマックスとも言えるシーンで、ミュージカル版でも最も人気の楽曲の1つである「Macavity:The Mystery Cat(マキャヴィティ~犯罪王)」を歌唱し、いつもとはひと味違う妖艶なパフォーマンスを披露。
さらに、物語の重要なキーポイントに登場する、ミュージカル版には存在しない新・劇中歌「ビューティフル・ゴースツ(Beautiful Ghosts)」を名匠アンドルーとともに書き下ろすという、シンガーソングライターとしての才能を活かした方法でも『キャッツ』に貢献した。
「ビューティフル・ゴースツ」英語版の音源。同曲は劇中では主人公の白猫ヴィクトリアが歌唱する。
欧米での公開に先駆けてお披露目され、たった15秒でのティーザーだけでも「もう泣ける」と話題になった「ビューティフル・ゴースツ」は、第77回ゴールデン・グローブ賞で主題歌賞にノミネート。惜しくも受賞は逃したが、映画を見た人たちの心に残る名曲であることは間違いない。
ゴールデン・グローブ賞授賞式の当日、レッドカーペットに臨む直前に行なわれた米Varietyとのインタビューで、あらためて『キャッツ』への出演について振り返ったテイラーは、同作に参加したことで得た“かけがえのないもの”について、テイラーらしい独特の言い回しで満足気に語った。
「ここ(ゴールデン・グローブ賞の授賞式)に来られたことが嬉しい。ノミネートされたことも嬉しいし。ものすごく奇妙な映画に携われたのは、本当に素晴らしい経験だった。さかのぼって見ても、最高の経験じゃなかったとは言うつもりはない。だって、もしこの作品に携わらなかったら、アンドリュー・ロイド・ウェバーにも会えなかったし、彼の仕事の仕方を見るチャンスも得られなかった。今では、彼と私は親友って感じなの。それに、最高にカッコいいダンサーや役者たちと一緒に仕事をすることもできたしね。文句は無いわ」
アンドリューの自宅で「ビューティフル・ゴースツ」の制作に励んだ際の貴重ショット。
世間での評価がどうであれ、自分自身は『キャッツ』への出演や楽曲提供を通して貴重な体験ができ、とても満足していると明かしたテイラー。同作への出演のために、大の猫好きとしてのノウハウを活かしつつ、共演者たちと一緒に“猫の学校”なるものに出席して本物の動作を学ぶなど、全身全霊を込めて猫になりきった彼女の熱演は一見の価値あり。(フロントロウ編集部)