レイプ裁判で有罪判決
『恋に落ちたシェイクスピア』、『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』など数々の名作映画をプロデュースし、ハリウッド映画界で多大な権力を持っていた元大物プロデューサーのハーヴェイ・ワインスタイン(67)が、2月25日に米ニューヨークの裁判所で有罪判決を受けた。
長年、権力を行使して女性にセクシャル・ハラスメントをしてきたワインスタインは、2人の女性から訴えられていたレイプを含む性暴力などの罪で有罪判決が下された。この判決で、ワインスタインは最大29年の禁固刑が科される可能性がある。しかし、今回起訴された5つの罪で最も重い略奪的性的暴行などでは無罪となった。
MeToo時代と言われる近代におけるワインスタインに対する有罪判決は、物的証拠が乏しい古い性犯罪事件は有罪判決を勝ち取りにくいとされてきたアメリカの法のシステムを覆す歴史的勝利だとし、称賛する声が相次いで寄せられている。
一方で、最も重い略奪的性的暴行などでは無罪になったことに対しては落胆の声があがっている。ワインスタインには数多くの性的暴行の容疑がかけられているが、今回はそのうち2人の被害に限定した裁判だった。
MeToo/Time‘s Upの元凶
ワインスタインの長年にわたるセクハラ行為は、2017年10月に米New York Timesがスクープした告発記事によって世間に明るみに出た。この一件を皮切りに、グウィネス・パルトロウやアンジェリーナ・ジョリーといった大女優を含む80人以上の女性たちがワインスタインによるセクハラ行為を告発し、#MeToo(※「私も」という意味)のムーブメントが勃発。これにより、多くの権力者によるセクハラ行為が告発された。
MeTooムーブメントが拡大するのと同時に、セクハラの撲滅とジェンダー格差の解消などを訴える「Times Up(※時間切れ)」という団体が立ち上げられ、2018年はじめに行なわれた主要アワードでは、出席者のほとんどがTime’s Upを支持するアイテムを衣装に取り入れ、社会現象を巻き起こした。
こうした時代の流れが今回のワインスタイン有罪に結びついた。今回の評決を受けて、Time’sUpの団体は「歴史の転換点」だとし、「性被害に遭ったすべての人と正義を信じたすべての人の勝利です」と祝福する声明文を発表。
ワインスタインは、これとは別にロサンゼルスの裁判所でも2013年に女性2人に性的暴行した容疑など4つの罪に問われている。(フロントロウ編集部)