リア・ミシェルによる共演者への暴言をコリー・モンティスがフォロー
大人気青春ミュージカルドラマ『glee/グリー』(以下『グリー』)のレイチェル役でブレイクした俳優のリア・ミシェルが、かつての共演者たちから、人種差別的な言動や不当な扱いを受けたことを次々に告発されている件で、また1人新たな“被害者”が声を上げた。
2009年の『グリー』の放送開始前に行なわれたプレミアイベントで、リア演じるレイチェルの“そっくりさん”役として勤務したという俳優のモニカ・モスカトウは、リアが騒動を受けてインスタグラムに投稿した弁解と謝罪を込めた声明のコメント欄を通じて自分が経験したリアからの手厳しい仕打ちについて告白。
そのなかで、『グリー』ではフィン役を演じ2013年に人気絶頂の中、薬物の過剰摂取で死去したコリー・モンティス(享年31歳)が、リアからの心無い言葉にショックを受けていた彼女を、こっそりと励ましてくれたというエピソードについても明かした。
以下、モニカのコメントを全文訳。
2009年の9月、私は『グリー』のプレミアパーティーで働くために雇われました。このイベントでは、『グリー』のキャラクターの“そっくりさん”たちがパフォーマンスを行なう演出となっており、私はレイチェル・ベリーの“そっくりさん”として出演しました。その時私は、自分が演じるキャラクターが主人公的な存在だとは知らず、さらに、実際の作品では誰がその役を演じるかも知りませんでした。
『グリー』の出演者たちがイベントに到着し、“そっくりさん”の存在に気づいたとき、リアは自分の“そっくりさん”は誰だろうと探していました。そして、私を見つけたとき、彼女はこう言ったのです。「オー・マイ・ゴッド!(イベント企画者は)よく、こんなブサイクな人を見つけてきたね! 」
その時の私の表情に気づいたコリーは、私に「彼女(リア)の言うことなんか気にしないで。彼女は嫉妬してるだけなんだ。君は美しいよ」と声をかけてくれました。私は決して忘れません。
ご存知の人も多いと思うが、リアとコリーは、『グリー』での共演がきっかけで2011年の年末から交際。コリーが急逝する2013年の7月まで約1年半交際していた。
『グリー』で彼と共演した多くのキャストたちと同様、リアは今でも毎年、コリーの命日にはSNSに追悼メッセージを投稿している。
リア・ミシェルに浮上した「人種差別疑惑」のこれまで
リアに「人種差別疑惑」が浮上するきっかけとなったのは、黒人男性のジョージ・フロイドが白人警察官デレク・ショービン容疑者(※)に殺害された事件をうけて、リアが自身のツイッターに投稿した「ジョージ・フロイド氏の身に起きたことはあまりにも不公平です。これはただの事件ではありません。このようなことは、もう二度とあってはなりません。#Black Lives Matter/ブラック・ライヴズ・マター(黒人の命にも価値がある)」というメッセージを投稿したこと。
※事件後、懲戒免職となり、第2級殺人罪で逮捕・起訴。その場にいたほか3名の警察官たちも殺人幇助の罪などで逮捕・起訴された。
このツイートを、『グリー』のシーズン6にジェーン役で出演していたアフリカ系の血を引く俳優のサマンサ・ウェアが「爆笑。あなたのせいで、私の初めてのテレビ出演が“生き地獄”になったことを忘れちゃったの?!?!少なくとも私は一生忘れない。たしか、あなたはできることなら私のウィッグに『糞をしてやりたい』ってみんなに言ってたよね。トラウマになるような自覚なき差別によって、私はハリウッドでキャリアを築くこと疑問を感じるはめになった…」というコメントとともに引用したことで、リアに人種差別疑惑が浮上した。
このサマンサの主張に対し、ユニークことウェイド役で『グリー』に出演していた俳優兼シンガーのアレックス・ニューウェルや、シーズン1からリアと共演していたメルセデス役の俳優アンバー・ライリー、マーリー役のメリッサ・ブノワら元共演者たちが、続々とリアに人種差別的な言動があったことを認めるかのような反応を見せたことで、疑惑が“確信”に。
2014年に『グリー』にゲスト出演した黒人俳優のダビエ・スネルも、サマンサと同様にリアのツイートを引用して「お嬢さん、君は僕がほかのキャストと同じテーブルに座るのを阻止したよね。僕は“仲間じゃないから”という理由で」、「彼女のメッセージを読んだら、『グリー』のセットで自分が取るに足らない存在として扱われた嫌な記憶を思い出しちゃったよ」とコメントしている。
その後、事態を重く見たリアは、「先日のツイートは、この非常に困難な状況のもと、有色人種の人々やコミュニティに対してサポートを表明するためのものでした。しかし、私が受け取った反応は、自分自身のキャストたちに対する行動が、彼らには、どのように受け取られていたかということを見つめ直すきっかけとなるものでした。指摘されたようなコメントをした覚えはなく、誰かを生い立ちや肌の色で判断したこともありませんが、重要なのはそんな事ではありません。問題なのは、私が明らかに、ほかの人たちを傷つけるような行動を取ってしまったということです。私の恵まれた立場や視点が、思いやりがない、もしくは、不適切だと感じさせてしまったのか、それとも、私の未熟さや不必要な気難しさが原因だったのかは分かりません。しかし、どうであれ、私は、自分の行いや、それによって引き起こしてしまった苦痛について謝罪します」と、弁解と謝罪を込めた声明文を発表した。
人種差別問題の枠を超えて「告発」が続く
リアとしては誠意を込めた精一杯の謝罪だったのかもしれないが、「自分の行動がキャストたちにどのように受け取られていたか」「私の恵まれた立場や視点が“思いやりがない”、もしくは“不適切”だと受け取られてしまったのか」など、他人を傷つけているという自覚がなかったことを強調する言い訳には、最初の告発者であるサマンサを含め、多くの人々が不十分だと感じているよう。
リアに「ブサイク」と言われたことを明かしたモニカ・モスカトウ
今回、リアに「ブサイク」呼ばわりされたというエピソードを明かしたラテン系の血を引くモニカもそうだが、リアがブロードウェイで活躍していた頃に出演したミュージカル『春の目覚め』で、あるキャストの代役を務めた経験がある白人俳優のジェラルド・カノ二コも、リアの声明に「君は悪夢でしかなかったよね。君は僕たちに、そこに居るのにふさわしくないと感じさせた」などとリアの声明文にコメントして、彼女の暴君ぶりを暴露するなど、黒人ではないキャストからも過去にリアの行動により傷つけられたという告白が芋づる式に飛び出している。
リアを擁護する『グリー』共演者も
一方で、『グリー』の主な舞台となるマッキンリー高校のフィギンズ校長を演じたパキスタン系アメリカ人俳優のイクバル・セバは「彼女に人種差別的扱いをされたことなどない」、「もしひどく傷つけられたキャストがいたとしても、彼女は謝罪したんだがら、素晴らしいことじゃないか」とリアに対して憎悪をぶつけるのではなく、慈悲の心を持とうとコメント。
シーズン4でリア演じるレイチェルと恋に落ちるブロディ役を演じた俳優のディーン・ゲイヤーは、「リアは今でも、僕が一緒に仕事をした人の中でもお気に入りの共演者の1人。ものすごく働き者で、一緒にいると楽しい。彼女は厳しい労働倫理を持ってるから、周りの人もつねに全力を出すことが要求される。僕にとっては、それが、毎日撮影現場に行く楽しみになっていたよ。僕はたくさんのことを学んだ」と、リアは、仕事熱心なあまり周囲にはとっつきにくい印象を与えてしまうかもしれないことを示唆した。
2009年5月から2015年3月まで計6シーズン全121話が放送された『グリー』は、いじめや障がい、LGBTQ+といった社会問題に関するテーマを取り入れた良作として知られ、放送終了から5年以上が経った現在も世界中に多くのファンを持つ。
今は亡きコリーが、リアの悪態をフォローしていたというモニカの体験談は、ファンたちにショックを与え、複雑な思いを抱かせているが、モニカは、その後、インスタグラムストーリーを通じて、自分の言葉を信じてくれた人々に感謝のを述べるとともに「私の願いはリアが今回の件を通じて学び、よりよい行ないをしてくれること。誰も、当時の私みたいな扱いをされるべきじゃない」とコメントしている。(フロントロウ編集部)