“シュー先生”が生徒の不祥事に言及
いじめや障がい、LGBTQ+といったテーマを取り入れた、大人気青春ミュージカルドラマ『glee／グリー』（以下『グリー』）のレイチェル役でブレイクした俳優のリア・ミシェルが、同ドラマのシーズン6にジェーン役で出演していた俳優のサマンサ・ウェアから撮影現場での人種差別的な言動を告発され、その後、複数の元共演者や関係者から次々と過去の問題行動や発言を暴露された今回の騒動。
リア・ミシェルに浮上した「人種差別疑惑」のこれまで
騒動のきっかけとなったのは、黒人男性のジョージ・フロイドが白人の元警察官デレク・ショービン容疑者に殺害された事件をうけて、リアが自身のツイッターに投稿した「ジョージ・フロイド氏の身に起きたことはあまりにも不公平です。これはただの事件ではありません。このようなことは、もう二度とあってはなりません。#Black Lives Matter／ブラック・ライヴズ・マター（黒人の命にも価値がある）」というメッセージ。
これを見たサマンサが、「爆笑。あなたのせいで、私の初めてのテレビ出演が“生き地獄”になったことを忘れちゃったの?!?! 少なくとも私は一生忘れない。たしか、あなたはできることなら私のウィッグに『糞をしてやりたい』ってみんなに言ってたよね。トラウマになるような自覚なき差別によって、私はハリウッドでキャリアを築くこと疑問を感じるはめになった…」というコメントを付けて、先ほどのリアの投稿を引用リツイートしたことで、リアに人種差別疑惑が浮上した。
リア・ミシェル（左）と、リアの過去の人種差別的な言動を告発したサマンサ・ウェア（右）。
このサマンサの主張に対し、ユニークことウェイド役で『グリー』に出演していた俳優兼シンガーのアレックス・ニューウェルや、シーズン1からリアと共演していたメルセデス役の俳優アンバー・ライリー、マーリー役のメリッサ・ブノワら元共演者たちが、続々とリアに人種差別的な言動があったことを認めるかのような反応を示したことで、疑惑が“確信”に。
その後、事態を重く見たリアは、「先日のツイートは、この非常に困難な状況のもと、有色人種の人々やコミュニティに対してサポートを表明するためのものでした。しかし、私が受け取った反応は、自分自身のキャストたちに対する行動が、彼らには、どのように受け取られていたかということを見つめ直すきっかけとなるものでした。指摘されたようなコメントをした覚えはなく、誰かを生い立ちや肌の色で判断したこともありませんが、重要なのはそんな事ではありません。問題なのは、私が明らかに、ほかの人たちを傷つけるような行動を取ってしまったということです。私の恵まれた立場や視点が、思いやりがない、もしくは、不適切だと感じさせてしまったのか、それとも、私の未熟さや不必要な気難しさが原因だったのかは分かりません。しかし、どうであれ、私は、自分の行いや、それによって引き起こしてしまった苦痛について謝罪します」と、弁解と謝罪を込めた声明文を発表している。
これまでにメルセデス役のアンバー・ライリーやブリトニー役のヘザー・モリス、マーリー役のメリッサ・ブノワといった『グリー』の出演者たちが、この騒動にコメントをしてきたが、ついに、長年、『グリー』でリアと共演していたシュー先生ことウィル・シュースター役の俳優マシュー・モリソンが、先日出演したイギリスのネットラジオ曲Fubar Radioの番組『Access All Areas（原題）』で“元生徒”の不祥事に言及した。
『グリー』ファンのあいだではシュー先生の愛称でおなじみのマシュー・モリソン。
リアをめぐる一連の騒動について聞かれたマシューは、「正直に言って、現在起きている“もっと大きな問題”を阻害するものだと思う。『あぁ〜』って感じ」と言うと、続けて「一緒にいて楽しい人、良い人って思われたいよね。この件について僕から言えるのはこれで全部」と、リアについて色々と言われていることを否定も肯定もしない、なんとも意味深なコメントを述べるにとどめた。
マシューが言っていた「もっと大きな問題」とは、ジョージ・フロイド殺害事件がきっかけで活発化している黒人に対する暴力や差別の撤廃を訴える抗議運動「Black Live Matter／ブラック・ライヴズ・マター（黒人の命にも価値がある）」のこと。発言の真意は不明だが、恐らく“リアの騒動より、人種差別の本質的な問題に目を向けるべき”と言いたかったものと思われる。
ちなみに、リアの過去の言動に問題があったことは、多くの証言があることからも事実で間違いなさそうだが、争点のひとつであった“人種差別主義者（Racist）なのか否か”という点については、メルセデス役のアンバーが「（リアに対する人種差別疑惑は）今、世界中で起こっていることや、黒人の身に起きていることが原因で浮上したあくまで仮定の話。だから、私は彼女のことを人種差別主義者だと言うつもりはない」と否定。
左からマシュー・モリソン、リア・ミシェル、アンバー・ライリー。
さらに、アンバーも「リア・ミシェルの件は正直どうでもいい。（中略）そんなことより、今、大勢の人たちが死にかけてる。警察に殺されてる」と、マシューと同様のことを訴えていた。（フロントロウ編集部）
