日本で好調な映画『TENET テネット』
映画『TENET テネット』は、映画『ダークナイト』三部作や『インセプション』で知られるクリストファー・ノーラン監督の新作映画。9月に公開された本作は、日本国内の興行収入が20億円を突破するという大ヒットとなっている。
本作の主人公は、名も無き男。テロ事件の対応で負傷した彼が昏睡状態から目を覚ますと、ある男からミッションを命じられた。そのミッションとは、「時間から脱出し、未来の第三次世界大戦を防ぐ」というもの。『TENET テネット』とは、そのミッション名。
主演を務めるのは、映画『ブラック・クランズマン』のジョン・デヴィッド・ワシントン。その他、ロバート・パティンソン、ケネス・ブラナー、マイケル・ケインなどが参加している。
日本では好調な興行収入を記録している『TENET テネット』だけれど、アメリカではそうとはいえないらしい。
『TENET テネット』、成功とは言えないとCEO
『TENET テネット』は9月の上旬にアメリカの劇場で公開され、新型コロナウイルスによるパンデミックが始まって以来最高のオープニング成績を収めた。記事執筆時点での興行収入は、約55億6,600万円(約5,060万ドル)で、世界興行収入は約367億円(約3.3億ドル)となっている。
制作費が約200億円(約200万ドル)で、マーケティング費用はおよそその半分だといわれている本作は、ギリギリ赤字回避のライン。映画会社としては大きな成功だったとは言えないと、米ワーナーメディアを傘下に置くAT&TのCEO、ジョン・スタンキー氏が米Deadlineの電話インタビューで回答した。
「我々は楽観的ではありません」とスタンキー氏。続けて、「我々は…来年の始めになっても、劇場の大規模な回復は期待できないと考えています。混乱が続くと予想しています」と非常に慎重な姿勢を見せた。
さらに、『TENET テネット』のリリースについて聞かれた彼は、「『TENET テネット』の結果がホームランだと言うことはできません…。ですが、いい経験だったと思っています。チームは信じられないほどクリエイティブでした。自分たちに何ができるのか、いくつかのことを学べたとも思います。もし劇場が全国でオープンしていれば…、カリフォルニアとニューヨークでもオープンしていれば、ある程度の余裕があったと思います」と明かした。
アメリカでは、映画収益の大部分を担うカリフォルニアとニューヨークを含む約半数の劇場が新型コロナウイルスの影響でまだ閉鎖されている。ノーラン監督のこれまでの作品の世界興行収入は映画『ダークナイト』が1,100億円(約10.05億ドル)、『インターステラー』が約765億円(約6.96億ドル)という結果を収めてきたため、パンデミックの中で『TENET テネット』がどこまで健闘するかが注目されたものの、限られた劇場でしか公開できないという中では、やはり成功と言える数字を出すことは厳しいよう。(フロントロウ編集部)