映画『TENET テネット』の劇場公開での興行成績について、監督を務めたクリストファー・ノーランが「本音」を吐露した。(フロントロウ編集部)

コロナ禍で劇場公開に踏み切った『テネット』

 ここ日本では9月18日に劇場公開され、アメリカでは9月3日に劇場で公開された映画『TENET テネット』。本作はここ日本で大ヒットしており、日本での興行収入は20億円を突破したほか、公開から4週連続で週末興行収入の1位を記録した。

 新型コロナウイルス禍で、『ブラック・ウィドウ』などのマーベルMCU映画が軒並み公開が延期となったり、DC映画『ワンダーウーマン1984』や、『ワイルド・スピード』シリーズの最新作『ワイルド・スピード/ジェットブレイク』、『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』などの注目作品も続々公開が延期されたりしているなかで、劇場公開に踏み切られた『TENET テネット』。

 ロサンゼルスやニューヨークなどアメリカの一部の都市で映画館が閉館となっていたなかで公開された本作の現時点での世界興行収入は、およそ3億5,000万ドル弱(約385億円)。制作費が約200億円(約200万ドル)で、マーケティング費用はおよそその半分だといわれている本作は、ギリギリ赤字回避のラインとなっている。

 米ワーナーメディアを傘下に置くAT&TのCEO、ジョン・スタンキー氏は先日、米Deadlineとのインタビューで本作の興行成績について、「『TENET テネット』の結果がホームランだと言うことはできません」と厳しい言葉を口にしていた。

クリストファー・ノーラン監督が「本音」を吐露

 今回、クリストファー・ノーラン監督が米The Los Angeles Timesで行なったインタビューのなかで、『TENET テネット』の興行成績に言及。「私たちが今生きている現実」を考慮すべきだとした上で、「3億5,000万ドル近く」稼いだという本作の成績を“失敗”と見る意見について、次のように苦言を呈した。

「私は、スタジオが私たちの公開作品から間違った結論を導き出しているのではないかと懸念しています。彼らは、映画がどのような場所で成功を収め、必要とされていた収入を提供できたかではなく、いかにコロナ禍以前の期待に応えられなかったかを見ていて、この(コロナ禍の新たな状況という)ゲームに参加して適応したり、他の言葉で言えば我々のビジネスを再建したりするのではなく、パンデミックのなかでの失敗や損失の言い訳として使っているのです」

 新型コロナウイルス禍では、いかに興行成績が下がってしまったかではなく、コロナ禍にいかに順応できたかに目を向けるべきだとしたノーラン監督は続けて、人々の生活において映画館に行くことの重要性について説いている。

画像: ©️WARNER BROS PICTURES

©️WARNER BROS PICTURES

「長い目で見れば、映画に行くという行為は、レストランなどと同様に人生の一部であるわけです。とはいえ、今は、全員が新しい現実に適応しなければならないのです」

(フロントロウ編集部)

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