Photo:アフロ/スプラッシュ、ゲッティイメージズ、©️Hulu
2020年、クリスマスから年末年始にかけて公開される“ホリデー映画”において、LGBTQ+カップルをメインストーリーに据えた作品数が過去最高となった。(フロントロウ編集部)

ホリデー映画でLGBTQ+作品が存在感を増す

 “ホリデー映画”とは、一般的にクリスマスから年末の休暇に向けて公開される映画のこと。これまでに、映画『ホリデイ』や『ラブ・アクチュアリー』、『ラスト・クリスマス』など、胸キュンなラブロマンスをメインに、子供から大人まで楽しめる名作が数多く公開されてきた。

画像: ⒸUNIVERSAL STUDIOS

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 そんなホリデー映画において、新しいニュースが。なんと2020年は、LGBTQ+カップルをメインに描いた作品が過去最も多い。

 アメリカ国内においてLGBTQ+の人々のイメージに関するメディアモニタリングを行っなっている非政府組織GLAADのCEO兼社長であるサラ・ケイト・エリスはこの喜ばしい変化を「前年に比べて、LGBTQにインクルーシブな映画の公開数を見ると、昼と夜くらい(違う)」と米CNNに語った。

2020年はLGBTQ+キャラクターが最多となる

 2020年は、テレビや映画のスクリーンに登場するLGBTQ+のキャラクターの割合が、GLAADが20年間にわたって追跡調査をして以来、最高の数字となったという。サラは、「ハリウッドが(LGBTQ+をメインキャラクターに据えるという)ビジネスモデルが機能していることを理解した」と米CNNに語った。

 2020年のホリデー映画として注目を集める、米ホールマーク・チャンネルの映画『The Christmas House』と米Huluの映画『Happiest Season(邦題:ハピエスト・ホリデー 私たちのカミングアウト)』は、どちらもメインにLGBTQ+カップルが登場する作品。

画像: ©️PARAMOUNT NETWORK

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 また、このほかにも米ライフタイムの映画『The Christmas Setup』、米パラマウント・ネットワークの映画『Dashing in December』、Netflixのドラマ『ダッシュ&リリー』、Amazonプライム・ビデオの『Friendsgiving』、米テローの『I Hate New Year's』など、LGBTQ+のキャラクターが主役または脇役として登場するホリデー映画が続々と公開されている。

ホリデー映画にLGBTQ+映画は増えたものの、まだ少ない

 現在アメリカのゴールデンタイムに放送されている台本付きテレビ番組のレギュラーキャラクター879人のうち、LGBTQ+であることを明言しているのは約10%、合計90人。その中で、女性や有色人種であるLGBTQ+のキャラクターが、そうでないキャラクターをわずかに上回ったのは、今年が初めて。

画像: ©️Tello Films

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 2016年にGLAADが行なった調査によると、18~34歳のアメリカ人の20%がLGBTQ+コミュニティに属していると推定されている。UCLAロースクールのウィリアムズ研究所のデータによると、米国のLGBTQ+の人口は4.5%と推定。

 エンタメ界においては、テレビよりも映画の方がLGBTQ+のレプリゼンテーションの面で遅れをとっており、サラは、「映画はアメリカで最大の文化的輸出品です」としつつ、「映画は世界中の観客に届けられます。特に、LGBTQ+であることが違法とされている国がまだ70カ国もある中で、映画は世界中の視聴者に向けられています。広告もそうですが、私たちはより多くの人々を受け入れる必要があります。子供や家族向けの番組(におけるLGBTQ+のレプリゼンテーション)が増えていますが、それをもっと見る必要があります」と、ハリウッドにおけるLGBTQ+のキャラクターの重要性を説く。

世界中で話題になっているLGBTQ+映画『Happiest Season(邦題:ハピエスト・ホリデー 私たちのカミングアウト)』

 2020年11月末にアメリカのHuluで配信が始まったクリステン・スチュワートとマッケンジー・デイビス主演の映画『Happiest Season(邦題:ハピエスト・ホリデー 私たちのカミングアウト)』はストリーミングサービスの記録を更新した。米Varietyによると、Huluオリジナルシリーズで最高の視聴者数を達成したという。Hulu によると、『Happiest Season』はかなり多くの新規加入者を集めたそう。

画像: 『Happiest Season』©︎Hulu

『Happiest Season』©︎Hulu

 サラは、「(LGBTQ+作品は)非常に長い間、(利益に対する)リスクとして認識されていましたが、実際のところ本当にリスクとなって確認されたことはありませんでした」と語り、予想と現実のギャップについて語った。

 そして、「これまでは反LGBTQ+の人たちからの反発のほうが大きかった。しかし、それは変わりました」と言った。

今後もLGBTQ+がメインの作品は増える見込み

画像: 今後もLGBTQ+がメインの作品は増える見込み

 そんななか、2021年に公開予定の映画『A Holiday I Do』を制作中の監督ポールとアリシア・シュナイダーは2019年、資金調達のためにKickstarterをスタートした。

 ポールは「このプロジェクトに取り組み始めた2019年には、70本の新しいクリスマス映画がクリスマス映画の主要チャンネルでプレミア上映されたけど、その中にはゲイが主人公のストーリーラインに含まれているものはなかった」 "とCNNに語った。

 映画『A Holiday I Do』は、レズビアンのバツイチ女性が元夫の結婚式のベストマン(花婿付き添い人)を務め、ウェディングプランナーを務めるゴージャスな女性とのロマンスに落ちるストーリー。

 アリシアは「自分自身もLGBTQ+コミュニティの一員であるけれど、スクリーンの中で自分たちの姿を見ることは稀なこと。だからこそ素晴らしい感覚!」とコメントした。そして「(LGBTQ+の人々のことを)完全に理解していない人や受け入れていない人たちとの対話のきっかけにもなるかもしれない。もしかしたら、『普通』の設定の中で私たちをスクリーンで見ることにより、明快さと受容がもたらされるかもしれない」と続けた。

 GLAADのCEO兼社長であるサラは、「これらの物語は気分転換や現実逃避をさせてくれます」と言う。「それは、クィアの観客があまり持っていないものです。今まで見たことがないようなジャンルであっても、あらゆるジャンルでクィアのレプリゼンテーションを見ることは可能なはずです」

 そして最後にサラは「これはきっと、もっと大きい何かの始まりかと思います」という言葉で締めくくった。(フロントロウ編集部)

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