イギリスで生理用品に対する税金廃止
女性であれば避けられない月経。そして月経中には生理用ナプキンやタンポンなどが必要不可欠となるけれど、多くの国で生理用品は“ぜいたく品”と同じ扱いとなり、高い税金がかけられていることは問題となってきた。
例えばイギリスでは、自転車用ヘルメットや切手などは非課税にもかかわらず、生理用品には5%の付加価値税がかかっていた。日本でも、2019年10月に開始された軽減税率制度において、生理用品は軽減税率の対象になっていない。
「タンポン税」と呼ばれるこの問題だけれど、イギリスは廃止に向けて動いていた一方で、EU(欧州連合)のルールのなかで改正を断念してきていた。しかし、2020年12月31日をもってイギリスがEUを離脱。そして、タンポン税がついに廃止された。
女性の権利のために活動するFawcett Societyの代表は、「ここまでくるのに時間がかかりました。しかしついに、必需品でなくぜいたく品だとされて生理用品にかけられていた性差別な税金が歴史本の中のこととして消えることとなりました」とコメント。
イギリスのリシ・スナック財務相も、「タンポン税を廃止するという約束を果たせたことを誇りに思う」とした。
I’m proud that we are today delivering on our promise to scrap the tampon tax. https://t.co/33HRBLKk7X pic.twitter.com/gbjIDRrrGD
— Rishi Sunak (@RishiSunak) January 1, 2021
企業が肩代わり、スコットランドでは無料配布
イギリスではタンポン税に対する取り組みは企業も行なっており、大手スーパーのテスコやコープ、そしてウェイト・ローズは、店舗で販売する生理用品に税金をかけず、税金分は顧客に代わって企業が払っていた。
また、生理用品が買えないといった「生理における貧困(Period Poverty)」の問題から、イギリスは2020年1月より、公立小学校、公立中学校、公立高校で、生理用品の無料配布を行なっている。生理用品を十分に手に入れられないことで1つを長時間つけ続け、黄色ブドウ球菌による毒素が原因の急性疾患トキシックショック症候群(TSS)で命を落としたり、脚を切断することになったりした少女たちのニュースは、各地で聞かれている。
さらにスコットランドでは、2020年11月24日にスコットランド議会が全会一致で生理用品を無料提供する法案を可決。公共施設で生理用品が無料で手に入るようになった。スコットランドの国会議員アリソン・ジョンストーン氏は、議会討論で「身体の自然な働きによって経済的に罰せられることは公平ではありません」と意見していた。
タンポン税は2004年にケニアが世界初の廃止を決定しており、現在ではカナダ、インド、オーストラリアでも非課税となっている。(フロントロウ編集部)