ベテラン「イマジニア」の新たな挑戦
世界のディズニー・テーマパークの設計・開発やアトラクションの企画・クオリティー管理などを担当する会社ウォルト・ディズニー・イマジニアリング。
夢の世界を想像し、それを現実にすることを仕事としている彼らは「イマジニア(imagineer)」と呼ばれるが、そのなかでも著名な社員の1人だったのが、2021年1月に引退したベテラン・イマジニアのジョー・ロード氏。
ロード氏はウォルト・ディズニー・イマジニアリングでの40年間のキャリアの中で、フロリダ州にあるウォルト・ディズニー・ワールド・リゾートのテーマパークの1つ「ディズニー・アニマルキングダム」や、その中にある映画『アバター』の世界をテーマにしたエリア「パンドラ:ザ・ワールド・オブ・アバター」、カリフォルニア州のディズニー・カリフォルニア・アドベンチャー内に2017年にオープンしたマーベル映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』をテーマにした「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:ミッション・ブレイクアウト!」を担当。さらに、ハワイにあるディズニー初の滞在型リゾートホテル群「アウラニ・ディズニー・リゾート&スパ コオリナ・ハワイ」も手がけた。
日本の東京ディズニーシーにあるアトラクション「タワー・オブ・テラー」に登場する“ハリソン・ハイタワー三世”のモデルとしても知られ、表舞台に出る機会も多かったことから、ディズニーファンからの人気も高かったロード氏。
そんな彼がディズニーを去ってしまうという報せは、世界中のファンたちを残念がらせたが、ロード氏の”夢を想像する人“としての仕事は、これで終わりではなかった。
民間宇宙旅行会社の「エクスペリエンス・アーキテクト」に転職
米現地時間の2月23日、宇宙旅行企業ヴァージン・ギャラクティックが、ロード氏を「エクスペリエンス・アーキテクト(Experience Architect)」として迎え入れたことを発表。
ヴァージン・グループ会長のリチャード・ブランソンが設立した2004年に設立した同社は、アマゾンのジェフ・ベゾスCEO率いるブルー・オリジンやイーロン・マスクCEO率いるスペースXと競い合うようにして、世界初の民間宇宙旅行の実現を目指しており、年間500人の一般観光客を一人当たり25万ドル(約2600万円)の料金で宇宙へ送ることを計画している。
ロード氏が還暦を超えた65歳でチャレンジする「エクスペリエンス・アーキテクト」は、和訳すると「体験設計士」。宇宙旅行の参加者たちに最高の体験を味わってもらうための演出や仕掛けを考案するアドバイザーのような役職だという。
ヴァージン・ギャラクティック社の公式SNSで公開された動画の中で、ロード氏は、宇宙旅行の参加者たちの「好奇心を刺激し、想像力を導く」ことで、「目的を持った有意義な体験をしてもらいたいと思っています」と意気込みをコメント。
ディズニー・イマジニアとしての経歴にも触れ、「私は、もしも何かを想像するなら、それが現実のものとなることが伝統である場所からやってきました。ヴァージン・ギャラクティックでも、それは同じこと。世間の人々に認知されようとしているこのタイミングで、プロジェクトに参加できることを光栄に思います」と語った。
英Telegraphの2020年8月の報道によると、ヴァージン・ギャラクティックは、ブランソン会長らを乗客とした宇宙旅行を2021年の第1四半期(4月~6月)にも実施できるとの見通しを発表している。
宇宙旅行の費用は約2千万円と、一般人が気軽に手が出せる価格ではない。しかし、希望者は後を絶たず、米abc Newsは、現時点で8000人以上がネット予約を完了していると報じている。
ちなみに、日本では、株式会社クラブツーリズム・スペースツアーズが正式代理店となっている。
同社が公開した民間宇宙船「スペースシップツー」のデザインは下の動画でじっくり堪能することができ、ちょっとした宇宙旅行気分が味わえる。
(フロントロウ編集部)