『プロミシング・ヤング・ウーマン』がアカデミー賞多数ノミネート
第93回アカデミー賞のノミネーションリストが、ついに発表。その高いクオリティから、ノミネーションに期待がかかっていた『ノマドランド』と『プロミシング・ヤング・ウーマン』が作品賞候補となり、メガホンを取ったクロエ・ジャオ監督とエメラルド・フェネル監督も監督賞にノミネートされた。
女性監督が複数人ノミネートされたことは、アカデミー賞の歴史上初めてのこと。
とくに、『プロミシング・ヤング・ウーマン』は、性犯罪者に復讐するキャシーを主人公としたもので、試写会では観客2人が怒鳴りあいのケンカになるという出来事も発生。評価が非常に高い本作であっても、フェミニズムの強いメッセージ性を持つ作品がアカデミー賞という映画の祭典でノミネートされるかは、蓋を開けてみるまで分からないことだった。
しかし、作品賞、監督賞、脚本賞、主演女優賞、編集賞にノミネートされたことで、フェネル監督は大喜び! 監督が真っ先にツイートしたことは…?
「FUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUU」
FUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUU
— Emerald Fennell (@emeraldfennell) March 15, 2021
言葉にならないとは、このこと。しかしその後、連続して、「むせび泣いてる」「この映画で一緒に働いたすべての素晴らしい人に感謝しているし、誇りに思ってる。泣くのが止められない」とコメントしており、この歴史的快挙に心を震わせていた。
また、監督は、ノミネーション発表直後に受けた米New York Timesとのインタビューで、彼女らしいジョークを交えつつ、インディペンデント映画の監督として、そして女性監督としての思いを語った。
「昨日の夜は、センシティブな人ならするであろうことを私もしてた。(恋愛リアリティ番組の)『Married at First Sight Australia』を6時間とか見て、何も考えないようにしてたの。とくに、インディペンデント映画を作った時には、こういった(オスカーノミネートのような)ことを期待できないから」
「すごくダサくない言い方でコメントするのは無理。これはすごく意味のあることだし、私はすごく誇りに思ってる。(候補者であるもう1人の女性監督)クロエは衝撃的に素晴らしく、才能のある人だし、今年は他にもすごく多くの素晴らしい女性監督がいて、大丈夫になったら、現実に会ってハグしたい」
キャリー・マリガンも監督に熱いメッセージ
また、主演女優賞にノミネートされたキャリー・マリガンも、フェネル監督への賛辞を送っている。
キャリーは以前、アカデミー賞会員に多い「白人」「男性」に興味を持たれやすい作品ばかりが見られ、結果的にノミネーションに繋がるとし、「すべての作品を観たと証明できないかぎり、投票できるべきじゃないと思います。テストがあるべき。取り残された映画は、疑いの余地なく素晴らしいものですよ」と苦言を呈していた。
しかし、この映画とその監督が評価されたことには、感動を隠せない様子。自分のノミネートについてよりも、監督への思いを口にした。
「(ノミネーション発表の)今朝は本当に元気づけられた。すべてのカテゴリーにおける尊敬される仲間たちに加われたことを誇りに思う。アカデミー賞、この物語を受け入れてくれてありがとう。これは私にとってとても意味のあることです。そして私の親愛なる友人、大胆不敵で面白く、勇敢な脚本家で監督のエメラルド・フェネル、そして彼女が集めた素晴らしきキャストとスタッフ、すべてはみんなのおかげ。私たちがこの作品に参加した理由は、監督のビジョンを心から信じたから。彼女が私を、作品の一部として招待してくれたことに感謝してる」
『プロミシング・ヤング・ウーマン』の配給元であるフォーカス・フィーチャーズのピーター・クジャウスキーは、「観客の皆さんには、好きか嫌いかにかかわらず、必ず見に来ていただきたい」とコメント。米大手エンタメメディアVarietyは、本作は復讐劇、ラブコメ、スリラーの要素が絡まり合う面白い作品だと説明している。
第93回アカデミー賞授賞式は、2021年4月25日に開催。(フロントロウ編集部)