MCU新作『エターナルズ』、メインとなるのはジェンマ・チャンが演じるキャラ
マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)の第26作目として2021年11月に公開が予定されている映画『エターナルズ』。
MCUフェーズ4の新たな作品である同作は、宇宙の原始的存在である“セレスティアルズ”により遺伝子操作によって生み出された、超人的な能力と不死の肉体を持つ宇宙種族の1つである“エターナルズ”が、同時に生み出された悪の種族“ディヴィアンツ”から地球と人類を守るため、数千万年間の潜伏を経て再集結するという同名の原作マーベルコミックをベースにした物語。
キャストには、アンジェリーナ・ジョリー、セルマ・ハエック、キット・ハリンソン、リチャード・マッデン、クメイル・ナンジアニといった豪華な俳優陣が名を連ね、映画『ノマドランド』で各種アワードを総なめにし、第93回アカデミー賞で有色人種の女性として史上初めて監督賞と作品賞を受賞したクロエ・ジャオが監督・脚本を手がけた作品とあり、映画ファンのあいだでは「マーベル史上初めて本気でオスカー(アカデミー賞)を狙える作品なのではないか」と公開前から大いに期待を集めている。
さまざまなウワサはあるものの、原作のストーリー通りに展開するのかは不明で明確なあらすじはいまだ謎に包まれている『エターナルズ』。
主役級のキャストたちが集うなか、一体どのキャラクターが主人公となるのかという点にも熱い視線が注がれているが、同作を製作するマーベル・スタジオ社長のケヴィン・ファイギが、強いて言うなら、ジェンマ・チャンが演じる「セルシ」こそがメインとなるキャラクターだと明言した。
ファイギ社長は「キャストたちのアンサンブルのなかで主役となる存在がいるとしたら、それは、ジェンマ・チャンが演じるセルシだね。あの役のキャスティングをするにあたって、いろんな女性(の役者)を検討して、台本読みをしてもらったよ。その結果、僕たちはジェンマこそが最適だと確信した。ありがたいことに、仕上がった作品では、彼女が本当に適役だったことが証明された」と米Varietyにコメント。
さらに、ジェンマの起用には、ほかのキャストと同じく、ジャオ監督の意見も大いに反映されたことも明かした。
ジェンマ・チャンってどんな人?
父親は香港出身、母親は中国本土の生まれ・スコットランドで育ちだという中国系イギリス人のジェンマ。
近年では、『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』のマダム・ヤ・ジョウ役や映画『クレイジー・リッチ!』、『ふたりの女王 メアリーとエリザベス』への出演でも知られる。
マーベル作品への参加は『エターナルズ』が初めてではなく、2019年に公開された『キャプテン・マーベル』ではミン・エルヴァを演じた。
アジア系に対する人種差別問題に関しても積極的に声を上げていることで知られ、2019年には、当時イギリス王室で活動していたメーガン妃が監修した英Vogueの表紙に“世界に変化をもたらす15人の女性“のうちの1人として、ニュージーランドジャシンダ・アーダーン首相や環境活動家のグレタ・トゥーンベリ、政治・人権活動家としても有名な俳優のジェーン・フォンダらとともに登場した。
「セルシ」はどんなキャラクター?
ジェンマが『エターナルズ』で演じるセルシは、地球外生命体である“エターナルズ”の一員。マーベル・コミックの公式サイトの略歴では、少なくとも5000歳であり、紀元前14世紀にギリシャの英雄オデュッセウスと戦った際、その特殊能力により、彼が率いる兵士たちをブタに変えてしまったと記載されている。現代では、ニューヨークでエンターテイナーとして活躍しており、自宅のロフトに映画スターやスーパーヒーローといった著名人たちを集めては夜な夜な宴を催すパーティーガールとして描かれているほか、アベンジャーズの一員となった過去についても触れられている。
セルシがコミックスに登場する通りのキャラクターとして描かれるかは不明だが、映画『エターナルズ』の主軸となるキャラクターとなるのではないかというウワサは、じつは、2020年1月に浮上していた。
その理由は、キット演じるブラック・ナイトという人間のキャラクターとのキスシーンの撮影現場のパパラッチ写真がネット上に出回ったから。
マーベル・コミックの公式サイトによると、ブラック・ナイトは、アイアンマンやドクター・ストレンジ、スカーレット・ウィッチなどと関わりがあるほか、何度かアベンジャーズを手助けした存在。また原作コミックでは、ブラック・ナイトとセルシとの複雑なロマンスが描かれ、地球にい続けることが危ぶまれるようになったセルシを救うため、ブラック・ナイトがセルシと一緒に地球から脱出するという展開も描かれたことがある。
マーベル史上最も多様性に富んだ作品に
ご存じの通り、中国・北京出身のジャオ監督いわく、幼い頃から大好きだった日本のマンガにも影響を受けているという『エターナルズ』には、さまざまなバックグラウンドを持つキャストが起用されている。
中国系の血を引くジェンマのほかにも、アジャク役のメキシコ出身のサルマや、キンゴ役のパキスタン出身のクメイル、ギルガメッシュ役の韓国系アメリカ人俳優のマ・ドンソクらが出演。
さらに、アフリカ系アメリカ人俳優のブライアン・タイリー・ヘンリーが演じるファストスと、レバノン系アメリカ人俳優のハーズ・スレイマンが演じるキャラクターは、2人の子供を持つ同性カップルで、MCU史上初となる同性同士のキスシーンが登場すると伝えられている。
撮影技法の面でも、「マーベルは、この作品のために大きなリスクを取ってくれた」「ファンを驚かせる作品」とジャオ監督が豪語する期待の作品『エターナルズ』は、2021年11月5日に日米同時公開予定。(フロントロウ編集部)