ビリー・アイリッシュが普段とは違う、セクシーさを全面に押し出した英Vogueのエディトリアルが話題に。肌を晒しながら「男性は弱い」と語る、その心は? (フロントロウ編集部)

ビリー・アイリッシュ、素肌を晒したフォトシュートが話題

 「自分のすべてを明かしたくない」「体形についてあれこれ言われたくない」という理由から、あえて体のラインが分からないルーズなシルエットの洋服を好んで身につけてきたシンガーのビリー・アイリッシュが、英Vogue 6月号の表紙や誌面でランジェリーやコルセットなどを取り入れた肌を露出したセクシーなルックを披露して世間をあっと驚かせた。

 インタビューでは、自身がかねてより代弁者となってきたボディポジティブや女性たちを取り巻く社会からの容姿にまつわるプレッシャーなどに言及したビリー。

 なかでも核心を突いていたのは、7月30日にリリースするセカンドアルバム『Happier Than Ever(ハピアー・ザン・エヴァー)』からのリードシングルとしてリリースされた新曲「Your Power(ユア・パワー)」でも歌っている、おもに成年男性たちによる未成年者への性的虐待や性的搾取に関する発言だった。


自身も“被害者”だと告白

「Your Power」には、「私は特別だと思っていた/あなたは私のせいだと思わせた/あなたは悪魔だったのに」「彼女はあなたの服を着て眠ってた/でも授業に行く準備をしなくちゃ」「ぜんぜん知らなかっただなんて/自分と同じくらいの年だと思ってたって言ってたね」といった、成年男性とまだ学生である未成年の女性の恋愛や性的関係を連想させる歌詞が登場。

 ビリー自らが監督したミュージックビデオに登場する、ビリーの体をギリギリと締め上げる大蛇は“プレデター(弱い立場の相手を性的に食い物にする人物”の象徴ととらえられている。

 英Vogueとのインタビューのなかで、詳細は伏せつつも、自身も今より若い頃に年配者から性的虐待・搾取を受けた経験があることを告白した現在19歳のビリー。

 「Your Power」は、「(権力や立場を)悪用する人たち、おもに年上の男性たちへの公開書簡だよ」と語り、「私は奇妙な、もしくは、嫌な経験をしたことが一度もないという女の子や女性には会ったことがない。男性でも同じこと。若い男の子たちだってしょっちゅう利用されている」と、痴漢行為やセクハラも含め、男性たちが弱い立場の相手を巧みに操るなどして性的搾取するという問題は、自らが身を置く音楽業界だけに限った話ではなく、社会全体に蔓延していると続けた。


「男性は弱い」

 その根底にある原因について、「結論は、男性たちはとても弱いということだと私は思う。彼らは本当にいとも簡単に正気を失ってしまうんだよ」と持論を語ったビリー。

 「『そんなドレスを着て、男から手を出されないとでも思った? 』って、何それ? マジで、男性ってそんなに弱いの? いいかげんにして! マスターベーションでもしてなよ! 」と、男性たちの自制心の弱さが“仕方のない性分”としてまかり通り、ただ着たいものを着ているだけの女性たちが被害を被るだけでなく、ヴィクティム・ブレ―ミングの対象となる風潮は完全にどうかしていると口にした。

画像: 「男性は弱い」

 「あなたが誰であろうと、どんな人生を送っていようと、どんな状況にあろうと、どんな人たちに囲まれていようと、どんなに強く賢い人間であろうと関係ない。誰だって、いつだって搾取される可能性がある。それこそが家庭内暴力や未成年との性交(制定法上のレイプ)における大きな問題」。

 そう話すビリーは、「自分に確固たる自信があって、意志が強い女の子だって『オー・マイ・ゴッド、私って、もしかして被害者? 』っていう状況に陥ってしまう。それってすごく恥ずかしくて、屈辱的で、自信を喪失させるような出来事なんだよ。自分では、いろんなことを解かっているつもりだったのに、『私、今虐待されてるんだ』って気づくことって」と自身の経験を振り返るかように語った。


「体や肌を見せようが、見せまいが、私たちの尊厳は奪われるべきじゃない」

 ビリーが、英Vogueでこれまでには見せたことがないコルセットやラテックスといったフェティッシュなアイテムを取り入れた世にいう“挑発的”でセクシーなルックを披露したのにも、女性たち、もとい、誰にだって好きな格好をする権利があるというメッセージを伝えるためという意図が込められている。

 自らの意志でセクシーな装いに挑戦し、撮影も心から楽しむことができたというビリー。

 今回のエディトリアルに対して、世間から批判があがることも想定内だと話したうえで、「体や肌を見せようが、見せまいが、私たちの尊厳は奪われるべきじゃない。自分が気分が良いと感じるかどうか、重要なのはそれだけ。整形手術を受けたい人は、受ければいいと思うし、太って見えてしまいそうなドレスだって、自分が着たいと思うなら着ればいい。あなたがいい感じだって思うなら、あなたはステキに見えているんだから」と自分の心に従うことこそが、真のボディポジティブだと強調した。(フロントロウ編集部)

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