日本でも芸能人の息子や娘の起用に対して起こる「親の七光りだ」論争。ハリウッドでは「ネポベイビー」という造語まで誕生して、ここ数年で激しい論争になっている。その論争に、トム・ハンクスからケイト・ハドソンやヘイリー・ビーバーまで2世セレブたちとその親が反論!

親の七光り問題に2世とその親が反応

 ベンとフランクリンの討論は2021年7月に起きたことだが、2022年末に前述のNew York Magazineのネポベイビー特集が出て世間で論争に火がついてから、続々と2世セレブやその親から反応が出てきている。

画像: ネポベイビーTシャツを着て外出する、ネポベイビーのヘイリー・ビーバー。

ネポベイビーTシャツを着て外出する、ネポベイビーのヘイリー・ビーバー。

ケイト・ハドソン

母親が俳優のゴールディ・ホーン、実父がシンガーのビル・ハドソン、義理の父が俳優のカート・ラッセルである俳優のケイト・ハドソンは、2022年12月にThe Independentにてネポベイビー問題について聞かれると、「あまりどうでもいい」と発言。「自分の子どもたちを見ていても思いますが、私たちはストーリーテラーの家族なんです。それは間違いなく私たちの血に流れているのです。人々がそれをどう呼ぼうと勝手ですが、それを変えることはできません」としたうえで、モデルやビジネスパーソンの方が親の七光り問題が強いとして、「時々、ビジネスミーティングで、『これは誰の子ども?この人、何も分かっていない!』と思うことがある」と説明した。

イヴ・ヒューソン

U2のフロントマンであるボノの娘である俳優のイヴ・ヒューソンは、ツイッターで「New York MagazineのCEOであるPamela Wasserstein自身もネポ・ベイビーだって知ったのは、素晴らしい展開だった。彼女の父親が2004年にこの雑誌を購入したのです」と、ネポベイビー特集を組んだNew York Magazineを揶揄。

ロッティ・モス

ケイト・モスの腹違いの妹であるモデルのロッティ・モス。「自分が金持ちでも有名でも成功者でもない理由をネポティズムのせいにする人たちにはうんざりしている」「もちろん、名家出身の人たちがそれを理由に前に進める助けを得られるのは不公平だけど、あのね、人生はフェアじゃないの」とツイッターでばっさり。

ヘイリー・ビーバー

俳優スティーヴン・ボールドウィンを父に持つヘイリー・ビーバーは、「Nepo Baby(ネポベイビー)」とプリントされたTシャツを着用。論争を皮肉の効いたファッションにして、話題をさらった。

グウィネス・パルトロー

父がプロデューサーのブルース・パルトロー、母が俳優のブライス・ダナー、弟が映画監督のジェイク・パルトロー、いとこが俳優のキャサリン・メーニッヒと、ショービズ一家出身のグウィネス・パルトローは、「ネポベイビー」Tシャツを着たヘイリー・ビーバーの写真に「私、これ数枚必要かも」とインスタグラムで自虐とも皮肉とも取れるコメントをした。

ジェイミー・リー・カーティス

父トニー・カーティスと母ジャネット・リーは俳優の両親のもとに生まれたジェイミー・リー・カーティスは、インスタグラムでネポベイビー論争を「矮小化し、否定し、傷つけようとするものでしかない」と批判してこう反論した。

「私たちはすぐに、その分野で芸術的に有名な誰かの親族には何の才能もないだろうと推測し、悪口を言ってしまうのは不思議なことです。私は、それは単に真実ではないことを学びました。私は、何千何万という人々と一緒に、あらゆる種類の仕事に出向き、毎日、誠実さとプロ意識と愛とコミュニティとアートを自分の仕事に持ち込もうとしてきたのです。そして、私は一人ではありません。私のような者はたくさんいます。私たちは自分の技術にこだわりを持っています。自分の家系に誇りを持っています。自分たちが存在する権利を強く信じているのです」

リリー・アレン

 父親はコメディアン兼俳優のキース・アレン、母親は映画プロデューサーのアリソン・オーウェンという血筋に生まれたシンガーのリリー・アレン。当初、ハリウッドより銀行や司法界のネポベイビーの方がタチが悪いという持論を展開していたリリー。一般ユーザーから“みんなネポベイビーの存在を否定しているのではなく、ネポベイビーは自分の利益や特権を認識すべきだというのが論点”だとコメントされると、トラウマのせいで特権に気づきずらいと新たな主張をした。

「私たちは幼少期は安定と愛、育児を渇望し、お金や権力への接近にはまだ関心がない。ネポベイビーの多くは親がナルシストであるため、幼少期にこれらの基本的なものに飢えているのです。また、芸能界は親に優しくありません。また、芸能界は、ツアーや数ヶ月の撮影など、(子どもを持つ)親に優しいビジネスではない。幼少期のトラウマが残っていると、自分自身の特権に気づくのは難しい」

トム・ハンクス

 俳優のトム・ハンクスは自身はネポベイビーではないが、4人の子ども全員が俳優や裏方など、エンタメ業界と関わりのある仕事をしている。そのため、2022年に英The Sunにネポベイビー問題について聞かれると、2世たちを擁護。「これはファミリービジネスなんです。これは、私たちがずっとやってきたことであり、私たちの子どもたち全員が育った環境なのです。私たちには4人の子どもがいて、彼らは皆とてもクリエイティブで、何らかのタイプのストーリーテリングに携わっています。もし私たちが配管資材のビジネスをしていたとしても、あるいは通りの花屋を経営していたとしても、年末の在庫管理だけだったとしても、家族全員がある時点で(家族の仕事に)時間をつぎ込んでいるはずです」と語った。

(フロントロウ編集部)※こちらの記事は2021年7月31日に公開された記事に加筆して再投稿したものです。

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