SNS上で「#RespectSelenaGomez(#セレーナ・ゴメスに敬意を)」がトレンド入り。内容は少し違えど、今回で3度目となる騒動を解説。(フロントロウ編集部)

セレーナ・ゴメスの腎臓移植をネタにしたドラマが大炎上

 シンガー兼俳優のセレーナ・ゴメスが持病である全身性エリテマトーデスの治療の一環として2017年に受けた腎臓移植手術をネタにした法律ドラマ『グッド・ファイト』が大炎上。ファンたちが激怒し「#RespectSelenaGomez(#セレーナ・ゴメスに敬意を)」がSNS上でトレンド入りしている。

画像: 術後の病室で撮影された、セレーナと親友でドナーとなったフランシア・ライザとのツーショット。©Selena Gomez/ Instagram

術後の病室で撮影された、セレーナと親友でドナーとなったフランシア・ライザとのツーショット。©Selena Gomez/ Instagram

 問題のエピソードは、米CBS傘下のストリーミングサービスParamount+で配信されたシーズン5の第4話。オルタナ右翼、MeToo運動、オンライン・ハラスメント、フェイクニュースといった時事的な問題を取り扱うことも多いことで知られる同シリーズの弁護士たちは、とあるコメディストリーミング会社の重役から放送予定の番組にコンプライアンス上の問題がないか、法的な観点からの校閲を依頼される。

画像: 『グッド・ファイト』シーズン3のワンシーン。ドラマ『グッド・ワイフ』のスピンオフであり続編である同作の主人公はクリスティーン・バランスキー演じるダイアン・ロックハート(写真右)。©COTT FREE PRODUCTIONS / Album/Newscom

『グッド・ファイト』シーズン3のワンシーン。ドラマ『グッド・ワイフ』のスピンオフであり続編である同作の主人公はクリスティーン・バランスキー演じるダイアン・ロックハート(写真右)。©COTT FREE PRODUCTIONS / Album/Newscom

 その流れで、昨今はどんな小さな不適切な表現でもキャンセル・カルチャー(※)へと発展する傾向にあるという話題に至るのだが、そのシーンの登場人物であるジム、マリッサ、ジェイの3人の間でこんな会話が繰り広げられる。

※著名人や企業によって“問題”だとされる発言や行動があったときに、その問題の原因究明や解決を議論するのではなく、SNSを中心に集団で批判してその人や団体を「抹殺(キャンセル)」しようとする風潮のこと。インターネット上に残っていた今とは時代の状況が違う昔の情報が掘り起こされたり、批判が誹謗中傷へ悪化してしまったりと、そもそもの問題からさらに大きな問題へと発展してしまうことも多い。

ジェイ:「最近ではジョーク1つ言うのにも許可証が必要みたい。『これはネタにしちゃダメ』っていう話題はなんだろう?」

ジム:「死体愛好症?」

マリッサ:「えっ、それはいいんじゃない? 笑えるかもよ」

ジェイ:「自閉症はダメだよね」

ジム:「あ、セレーナ・ゴメスの腎臓移植手術だ」


セレーナのファンから苦情が殺到

 この後には、皮肉にもマリッサの「キャンセル・カルチャーについて話すだけでキャンセルされちゃったり…なんてことってあるかな? 」というセリフが続くのだが、本来ならどちらも面白おかしく笑いのネタにしてはいけないであろう「死体愛好症」や「自閉症」と並べて、セレーナの命を救った腎臓移植を引き合いに出した脚本に多くのセレーナファンたちが激怒。『グッド・ファイト』の公式SNSに苦情が殺到しているほか、「#RespectSelenaGomez(#セレーナに敬意を)」というハッシュタグを使い、セレーナを励ます投稿が溢れかえっている。

画像1: セレーナのファンから苦情が殺到

 セレーナの移植手術がテレビ番組でネタにされたのは、米Peacockの学園ドラマ『セイヴド・バイ・ザ・ベル(原題:Saved by the Bell)』、中国のテレビ局で放送されているバラエティ番組『Who’s The Murderer(原題:明星大侦探/英題訳:殺人者は誰?)』に続き3度目

 この時もファンたちが番組に対してセレーナへの謝罪を求めるなど一大騒動へと発展したが、それでも懲りずに健康上の問題を茶化すかのように番組に盛り込んだ『グッド・ファイト』には、「なぜ過去の例から学ばないの?」、「いつになったらセレーナへのこういう攻撃は終わるんだろう? 」と怒りを通り越して呆れ声も聞こえる。

 『セイヴド・バイ・ザ・ベル』が炎上した際は、クレームが殺到したことを受けてPeacockと親会社のNBC Universalが声明を発表し「今回の件について謝罪いたします。セレーナの健康問題を軽視するつもりはありませんでした」と謝罪。セレーナのドナーとなった親友で俳優のフランシア・ライザは、番組の出演者や制作スタッフから直接お詫びの連絡があったことを明かしつつ、「(自分だけでなく)ドナー経験者の多くが今回の件で気分を害したことをきちんと認めるべきだと思います」と苦言を呈した

画像2: セレーナのファンから苦情が殺到

 一部では番組打ち切り、つまり本当の“キャンセル”を望む声も上がっているが、今のところセレーナ本人からのリアクションはない。今後、同番組がどういった対応に出るのかに視線が集まっている。(フロントロウ編集部)

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