ビリー・アイリッシュが中絶制限法の施行に声をあげる
アメリカのテキサス州で米現地時間9月1日より中絶制限法が施行された。これは、妊娠6週目以降の中絶を禁止するもので、医療上の緊急事態にかぎり中絶を認めるが、強姦や近親相姦による妊娠を含めてその他の場合の中絶を認めないという州法となっている。
さらにテキサス州法は、妊娠6週以降の中絶を求める女性や中絶を行なった医師、さらには当事者の家族や病院の関係者を、まったく関係のない“一般市民”が訴える権利「私的訴権」を認めていることも大きな問題となっている。
そして、女性のからだの自己決定権(ボディ・オートノミー)が侵害されている同法は、連邦最高裁に差し止めが求められていたが、施行派5票に対し、反対派が4票で請求が退けられた。ドナルド・トランプ前大統領が指名した判事3人を含め、現在、最高裁は保守派が多数を占めており、最高裁の判事の男女比としては、男性が6人に対し女性は3人となっている。
ほとんどの女性たちの中絶を制限する州法が、男性たちを中心とした裁判を経て施行したことを受け、「女性の身体に関する法律を男が作るべきではない」(※)という言葉など、施行に反対する声がSNSで続々とあがるなか、シンガーのビリー・アイリッシュ(19)もインスタグラムストーリーズでこの問題について言及。
※2019年5月に、レイプなどの被害に遭って妊娠した場合でも中絶を許さない法案が、賛成票を投じたのが全員男性というなかでアメリカのアラバマ州で可決された時に拡散した言葉。今回、テキサス州で中絶制限法が制限されたことをジョー・バイデン大統領が批判した際に、ホワイトハウスのジェン・サキ報道官が記者会見で「これは女性が決めるべき決断」と大統領の思いを伝えたことで、再び注目を集めた。
彼女も「女性の身体に関する法律を男が作るべきではない」という言葉をシェアした上で、「男性たちがもっと気にかけてくれたらいいのに。私はもう本当にウンザリ。女性の権利となった時に、多くの男性たちが何も言わなくなることには本当に気が滅入る」と綴り、女性と比較して男性たちがこの問題についてあまり声をあげていないことに苦言。
続けて、ビリーは「もしもあなたの『仲間』や『ブラザー』がテキサス州の中絶制限法について話していないのだとしたら、あなたも問題の一端を担っている可能性がある」と書かれた画像を投稿して、男性たちも女性が置かれている問題について声をあげるべきだと促した。
マーク・ラファロやヤングブラッドが中絶制限法を批判
そうしたなかで、MCUのハルク役で知られる俳優のマーク・ラファロ(53)やシンガーのヤングブラッド(24)は、男性として中絶制限法の施行に声をあげている。
マークは中絶制限法の施行中止を求める非営利団体RAICESの投稿を引用する形で、「女性の権利や中絶の権利を求めるあらゆるグループや組織、個人は、今回の法律にこのような反応を示すべきだよ。施行を止めさせるんだ」とツイートして、「大規模な市民の不服従が準備中だ」と、一緒になって中止を呼びかけてくれるようフォロワーに呼びかけた。
This should be how every women’s rights and abortion rights groups, organizations, and individuals should all react to this bill, making it impossible to enforce. Mass civil disobedience is in order. #TexasAbortionLaw https://t.co/WcahdPFvnn
— Mark Ruffalo (@MarkRuffalo) September 2, 2021
一方、ヤングブラッドはTikTokに投稿した動画のなかで、「自分の身体の権利は自分のもので、自分だけのものなんだ。自分の身体をどうするかは自分の権利であり、自分だけの権利なんだよ」と、自分の身体に関して決定する権利は自分だけにあるべきと提言。
「俺たちはこのことについて話さなくてはいけないよ。このことについて声をあげる必要がある。こんなことが実現してはダメなんだ。どうして誰かの身体についての権利をその人から取り上げようとするんだろう? そんなことできないんだ」と続けた。(フロントロウ編集部)