2019年公開の映画『アベンジャーズ/エンドゲーム』など複数のMCU映画で監督を務めたジョー・ルッソが、ブラック・ウィドウ役のスカーレット・ヨハンソンがディズニーを訴えた裁判について口を開いた。(フロントロウ編集部)

ディズニーとの訴訟が和解に至ったスカーレット・ヨハンソン

 『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』や『アベンジャーズ/エンドゲーム』などで兄弟のアンソニーと共に手がけてきたジョー・ルッソ監督が、MCU作品でブラック・ウィドウを演じてきたスカーレット・ヨハンソンがディズニーに訴訟を起こした件についてコメントした。

スカーレット・ヨハンソンとディズニーの訴訟とは?

 2021年7月8日(木)より映画館にて公開、7月9日(金)よりディズニープラス プレミア アクセスにて配信がスタートしたMCUの最新作『ブラック・ウィドウ』をめぐり、主演を務めるスカーレットが同月、契約違反を理由にウォルト・ディズニー・カンパニーを提訴

画像: 『アベンジャーズ』監督、スカーレット・ヨハンソンとディズニーの訴訟に斬り込む

 スカーレットの出演報酬は、主に劇場公開の成績に基づいて決まる契約になっていたが、スカーレットとディズニーおよびマーベル・エンターテイメントが契約を結んだのはパンデミック前で、当初、『ブラック・ウィドウ』は劇場公開のみを予定していた。しかし、実際には劇場公開とほぼ同時にストリーミング配信が開始され、興行収入の面で大きな影響が出ることに。スカーレット側はそのことが契約違反にあたるとしてディズニーを提訴した。なお、ディズニープラスでの同時配信によりスカーレットが被った損失は5000万ドル(約54億円)にのぼると言われている。

 一方で、ディズニーは「この訴訟は、新型コロナウイルスによるパンデミックの世界的な影響の恐ろしさと長期化を無視したもので、非常に悲しくて苦しいものです。ディズニーはヨハンソン氏の契約を完全に遵守しています」と彼女の行動を痛烈に批判する声明を発表。スカーレットもこの声明に反論するなど、両者の間には緊張感が漂っていたが、先日、急展開を見せて、双方が別々の声明を通じて「和解」に至ったことを発表。

 和解の条件などの詳細は明かされていないものの、円満に解決したことが強調され、スカーレットが今後も『タワー・オブ・テラー』などの新たなプロジェクトでディズニーとの仕事を続けていくことが明らかになった。

 これまでにも、スカーレット・ウィッチ役のエリザベス・オルセンスカーレットを支持するコメントをしたり、ドクター・ストレンジ役のベネディクト・カンバーバッチが訴訟について「悲しいこと」とコメントしたりと、MCUの共演者たちからコメントが寄せられていたが、今回、『アベンジャーズ』シリーズや『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』でスカーレットと仕事をしたジョー・ルッソ監督が米Varietyとのインタビューで訴訟について、「解決したことを嬉しく思っています」と語った。

ジョー・ルッソ監督がスカーレット・ヨハンソンとディズニーの訴訟にコメント

 インタビューのなかで、ルッソ監督は、今回の訴訟の根底には、新型コロナウイルスの感染拡大が原因で人々の感情やエンターテイメント業界が不安定になったことがあるとして、「張り詰めた緊張感があります。あらゆる業界についても言えることですが、かなりの混乱が起きていますから」と米Varietyに語っている。「人々の神経は不安定になっており、これから何が起きるのか、どこで何が起きるのかを予測するのが難しくなっています」。

画像: ジョー・ルッソ監督がスカーレット・ヨハンソンとディズニーの訴訟にコメント

 「訴訟が解決したことを嬉しく思っています」とルッソ監督は続けている。「個人的には、大きな変化が起きたことを示す指標になったと思います。この解決は、この変化している景色のなかで前に進もうとしているアーティストに敬意を払うことについて、多くのことを物語っています」。

 一方で、ルッソ監督はインタビューのなかで、映画業界がかつてないほどの変化に見舞われていることへの懸念についても語っており、「現在、企業はパニックに陥っています。個人的には、今後5〜10年間でスタジオの半分が廃業に追い込まれてしまうと見込んでおり、状況は劇的に変化してしまったと思うので」とコメント。

 「どんなスタジオよりも資金を出すことができるコンテンツ・プロデューサーたちがいますが、1兆ドル企業の彼らにとっては、ちょっとした誤算に過ぎません。この業界においてこれまでには見たことがない状況になっています」と語った。(フロントロウ編集部)

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