アリ・アスター監督によるホラー映画『ミッドサマー』で描かれ物議を醸した“性の儀式”。その撮影には、なんと2週間もの時間がかけられ、役者もかなり追い詰められていたという。(フロントロウ編集部)

精神崩壊ギリギリで撮影、「全裸」を提案したのは...

 映画を見た人ならご存知の通り、マヤとクリスチャンの性の儀式は、クリスチャンたちがホルガ村に到着した時から着々と準備が整えられていた。クリスチャンが何の疑いも持たずに食べたパイの中に陰毛が混入していたのも、儀式に至る過程のひとつ。性の儀式のシーンは、物語の中でも最もクレイジーな瞬間として多くのファンに強烈な印象を残している。

画像: ジャック・レイナー

ジャック・レイナー

 クリスチャンを演じたジャック・レイナーは米Thrillistとのインタビューで、性の儀式の撮影には、なんと2週間もの時間がかかったことを明かし、「毎日仕事に行き、個人的に信じられないほど屈辱的で動揺するようなものを撮影し、その中で自分について考え、自分をその立場(クリスチャンの立場)に置こうとする…ハードコアな出来事だった」と語った。

 また、クリスチャンが全裸になったのは自分自身のアイディアだったとも明かしたジャック。彼は、何十年もの間女優が受けてきたのと同じような状況を自分に課すことを考え、映画界のバランスを取り戻すために全裸になることを選択したという。

 「女性に対する性的暴力のシーンには(被害者である女性が)全裸のものが多く、彼女たちはそう演じてこなくてはならなかった。(このシーンは)それをひっくり返すチャンスだと思った。観客にとって、このキャラクター(クリスチャン)が可能な限り弱く、屈辱的な状態で出てくるのは重要だと思った」

 撮影について、「本当にハードコアだった」と繰り返したジャック。2週間にもわたる全裸撮影で、心身ともに疲れ切ってしまった様子。Netflixなどで配信されているモザイクなしのディレクターズカット版では、性の儀式が終わった後のクリスチャンの局部に血液が付着しているなどの生々しい描写もあったため、相当このシーンの撮影には苦労したものだと思われる。

画像: フローレンス・ピュー(左)、アリ・アスター(中央)、ジャック・レイナー(右)

フローレンス・ピュー(左)、アリ・アスター(中央)、ジャック・レイナー(右)

 ちなみに“性の儀式”の裏側で起こっていた主人公ダニーの号泣シーンの撮影時間は、なんと2時間。ダニーを演じたフローレンスは、2時間泣き叫びっぱなしだったことを振り返り、「恐ろしかった」と明かしている。

 監督のアリ・アスターは現在、映画『ジョーカー』で知られるホアキン・フェニックスを主演に迎えた新作映画『Disappointment Blvd.』を制作中。そちらの作品も、多くのファンに期待されている。(フロントロウ編集部)

※本記事では、一部「クリスチャン」と表記するところを「ダニー」と誤記しておりましたので、修正いたしました。

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