LGBTQIA+コミュニティの一員であるオーロラ
バイセクシャルであることを公言している、ノルウェー出身のアーティストであるオーロラ(25)。彼女はLGBTQIA+コミュニティの一員として、これまで何度もコミュニティの権利のために立ち上がってきており、1月21日にリリースする来たるニューアルバム『ザ・ゴッズ・ウィー・キャン・タッチ』からのファーストシングル「Cure For Me」では、“同性愛の矯正治療”と言われる「コンバージョン・セラピー」に反対するメッセージを訴えている。
オーロラが昨年、フロントロウ編集部とのインタビューで“ノルウェーでもコンバージョン・セラピーが容認されている”と語っていたように、未だにLGBTQIA+の人々に差別的な国は多いが、今回ニューアルバムのリリースに際して行なった英GAY TIMESとのインタビューで、そうした国々でパフォーマンスすることこそが大切だとオーロラは話す。
「私がそういう国に行く時には、愛や愛する権利について大声で訴えるようにしています。もちろん、時にはそれが危険なこともありますけど」と、LGBTQIA+の人々に差別的な国ではその危険性を認識しつつも、反対するメッセージを訴えるようにしているとした上で、「アーティストは自分が納得できることをやるべきです。自分たちを分断して、さらなる境界を作るのは間違っています」とオーロラ。
「ファンに会いに行く時には、光や希望、愛について彼らとオープンに話し、火花を生み出すんです。あらゆる進歩には希望が必要です。無関心に進歩はありませんから」と続けて、LGBTQIA+の人々への不寛容を黙認するのではなく、率先して人々のために立ち上がることが大切だと訴えた。
オーロラがLGBTQ+の人々に不寛容な場所でパフォーマンスする理由
インタビューの中で、オーロラは映画『ボヘミアン・ラプソディ』の同性愛のシーンが検閲でカットされるなど、同性愛者に不寛容なことで知られる中国を例に出しながら、「私たちはファンと会話をするべきで、政府のために彼らを苦しませてはいけません。特に中国のような場所にいるゲイの方々は本当に不公平な扱いを受けていると思いますし、彼らは危険に晒されているのです。放置するのは間違っています」とも訴えている。
人権侵害があったときは、その地域や企業をボイコットすることで経済的・外交的なプレッシャーをかけて抗議する方法もある。一方でオーロラは逆の方向からアクションを取りたいと思っているそうで、「最もすべきことは、そこへ行き、彼らと話をすることです。もしそれらの国をキャンセルしたら、私はどこへも行けませんし、どうして線を引こうとするのでしょう? 私はすべての人たちのためにパフォーマンスしたいんです」と、そうした国々をボイコットして抗議するのではなく、実際に赴いて人々をエンパワーメントすることこそが大切だと語った。
「もしあなたがLGBTQIA+コミュニティの一員で、喪失感や孤独を感じ、話せる人もオープンになれる人もいないとして、繋がりを感じられるアーティストが自分の国に来てくれたとしたら、それがどんなに救いになるか想像してみてください」と続けた彼女は、「これは言うまでもないことですが、私たちLGBTQIA+コミュニティは一緒になってパワフルな瞬間を共有できるのです。その空間を見渡せば、自分たちのような人たちが大勢いるのですから」と、自分のライブでコミュニティのための空間を作り出すことの大切さについても語った。(フロントロウ編集部)