日本国外でも大ブームを巻き起こしている『呪術廻戦』の女性キャラクターたちが、海外ファンの間で高い評価を得ている。(フロントロウ編集部)

『呪術廻戦』野薔薇が海外ファンの支持を掴んだ理由

 芥見下々による漫画、そしてそれを原作としたアニメシリーズと映画作品が世界中で人気を博している『呪術廻戦』。ストーリーやキャラクターデザインの作りこみは物語において重要な要素だが、海外でも『呪術廻戦』を好きな人が多いのには、女性キャラクターの正しいキャラクターデザインがあった。

 米掲示板サイトRedditに1人のユーザーが、「このコメントは、『呪術廻戦』の女性キャラクターに思っていたことのすべてを言い表してる」という思いとともに、別のユーザーの意見を投稿したところ、多くの賛同を集めている。その意見とは、このようなもの。

 「悠仁が野薔薇を運ぶ時、製作陣は野薔薇のことを弱く見せないし、彼女を大泣きさせて陳腐なロマンスを強要することもない。野薔薇はただ友達として悠仁に感謝して、彼女本来の最高にかっこいい女に戻る」

 アニメやフィクション作品では、女性を弱くみせたり、男性と対等ではない関係性にしたりと、たびたび女性の描かれ方が問題になってきた。また、男性と女性が登場したら必ず恋愛関係にならなくてはいけないとでも言うような不必要な恋愛的展開も多い。

 野薔薇と虎杖の関係については今後に期待するファンもいるが、野薔薇が弱々しく描かれていないのは明白。また、投稿の例に出されたのがアニメ版の第24話だったことで、あの名セリフに心を打たれたというファンは海外にも多かった。

 「彼女は『背中は任せろ』とも言うよね」

 「あれはお気に入りの部分。野薔薇は悠仁に背負われた時に、そう言って保障することをためらいもしなかった」

 「野薔薇が、担がれることにメソメソしたり、何かしらのウザい反応をするんじゃなくて、ただ『背中は任せろ』って言うのを聞くのは本当に爽快だった。あれは野薔薇が任務を真剣に捉えていて、自分のプライドは端に寄せておくべき時を知ってることを表してる」

 現実に、多くの職種で高いレベルで仕事をこなしている女性が多くいるが、フィクションのなかで多くの女性が“仕事ができない”と描かれたり、弱々しく描かれたりすることは間違った女性像であり、女性も含む視聴者のなかにはそんな女性キャラクターにイライラし、女性であっても女性キャラクターが嫌になるという声は少なくない。

 『呪術廻戦』は異世界とはいえ、野薔薇はリアルな女性として描かれていることを称賛するファンは多い。

『呪術廻戦』の女性キャラは性的に描かれていない

 そして何より、海外ファンが『呪術廻戦』の女性キャラに思っているのは、セクシャライゼーションされていないということのよう。

セクシャライゼーションとは?
主に女性を性的に描くこと。ゲームやマンガ、アニメなどで、女性キャラクターの身体や衣装が過剰に性的に描かれていることが問題になることが多いが、広告における女性の描かれ方や、女性運動選手のユニフォームなども問題になることがある。

 「『呪術廻戦』には、セクシャライゼーションしなくても最高にかっこよく見える最高にかっこいい女性キャラクターたちがいる」

 「『呪術廻戦』の野薔薇とか他の女性キャラクターたちが、他のアニメみたいに性的に描かれてないということが良い。他のアニメだと女性キャラクターたちはほとんどの場合に上手く描かれていないし、ファンサービスや笑いを取ることが目的のシーンも多い(そしてそれは多くの場合に面白くもない)。つまり、野薔薇(とか他の女の子たち)がどう描かれているかが本当に好き」

 『呪術廻戦』は鑑賞に年齢制限がないどころか、原作は週刊少年ジャンプで連載されているため、少年少女を対象としていると言っても過言ではない。よって女性キャラクターを性的に描いていないというのは基本的なことではあるが、これまでの多くの作品ではセクシャライゼーションは行なわれてきた。

 諫山創による『進撃の巨人』も、女性キャラクターと男性キャラクターのユニフォームが一緒で、女性キャラクターばかりが露出させられていたり、弱く描かれていたりしないことで評価されている。

 もちろんストーリーが非常に面白いことが大前提にあるものの、『進撃の巨人』が各国の俳優たちから、プロアメリカンフットボールリーグであるNFLのチームや選手たちまで、かなり幅広い層から人気を博しており、海外ファンの間では、セクシャライゼーションがないといった適切な描かれ方がされている点が理由としてたびたびあがる。

 これらの点は日本のファンからも評価としてあがっていること。世界各地のファンが同じポイントを評価しているということからは、物事の制作に携わる人たちや発信している人たちに、考えるべきことを提示してくれている。

(フロントロウ編集部)

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