アカデミー賞の主催者が“新事実”が明らかに
現地時間3月27日に開催されたアカデミー賞授賞式で、生放送中に俳優のウィル・スミスがコメディアンのクリス・ロックをビンタした騒動で、アワードを主催する映画芸術科学アカデミーが、“同アカデミーの会員宛ての手紙”というかたちで新たな声明を発表した。
ご存じの方も多いと思うが、授賞式にプレゼンターとして登場したクリスがウィルの妻ジェイダ・ピンケット・スミスの坊主頭をジョークにするひと幕があり、そのことに激怒したウィルが、突如、壇上にあがってクリスをビンタするという事件が起きた。それでもなおウィルの怒りは収まらず、Fワードと呼ばれる放送禁止用語を使ってクリスを罵り、アメリカではその瞬間だけ無音で放送された。じつは、ジェイダは脱毛症に悩まされており、それが理由で2021年から坊主頭にしている。その事実をクリスが知っていたかどうかは不明だが、一部メディアは、“クリスはジェイダが脱毛症であることを知らなかった”と報じている。
アカデミー賞授賞式でウィル・スミス（右）にビンタされたクリス・ロック（左）。
以下、映画芸術科学アカデミーが会員に送った手紙に綴られていた内容。
「理事会は本日、スミス氏に対し、不適切な身体的接触、罵倒または脅迫行為、アカデミーの品位を損なう行為など、アカデミーの行動基準に違反する行為があったとして懲戒手続きを開始しました。アカデミーの行動基準およびカリフォルニア州法に基づき、スミス氏には、違反行為と制裁措置に関する投票について少なくとも15日前に通知され、回答書によって事前に意見を聞く機会が提供されることになっています。次回4月18日の理事会において、アカデミーは、（資格の）一時停止、除名、あるいは細則および行動基準で認められているその他の制裁を含む、あらゆる懲戒処分を行うことができるものとします」
「第94回アカデミー賞におけるスミス氏の行動は、会場そしてテレビで目撃した人々に深い衝撃を与え、トラウマになるような出来事でした。ロック氏へ、私たちのステージで経験したことをお詫びするとともに、あの場でのあなたの対応に感謝します。また、本来であれば祝賀行事であったにもかかわらず、このような事態を招いたことを、ノミネートされた方々、ゲストの方々、そして視聴者の皆様にお詫び申し上げます。事態は、私たちの予想もつかない形で展開しました。スミス氏が式典から退出するよう求められ、それを拒否したことを明確にしたい一方で、私たちはこの状況に異なる対応が可能であったことも認識しています」（※一部抜粋）
ウィルがクリスをビンタした直後、裏ではウィルを授賞式から退場させるかどうか真剣に議論されたことが報じられたが、実際には「退場させる」という決定が下され、ウィルにそのことを伝えるも“拒否”されていたことが明らかに。
ちなみに、アカデミー賞の前哨戦と言われる英国アカデミー賞（BAFTA）の幹部は、もし同アワードで同じような事件が起きた場合、「式典から排除されることになるでしょう。（式典が行われる）建物の中にいないので、物理的に賞を受け取ることはできません」、「我々はいかなる暴力も許しません」と米The Hollywood Reporterに語っている。
会員宛ての手紙で改めてウィルの行動を非難
当初、映画芸術科学アカデミーは暴力に強く反対しつつも、今年の受賞者（※ウィルは主演男優賞を受賞）を「認められるにふさわしい」と祝福し、寛容な姿勢を見せていたが、その後、「アカデミーは、昨夜の授賞式におけるスミス氏の行動を非難します。私たちは、この件に関して正式に調査を開始し、私たちの内規、行動基準、およびカリフォルニア州法に従って、さらなる措置と結果を検討していきます」と改めて声明を発表。今回、会員に送った手紙のなかでもウィルの行動を強く非難している。
「日曜日の第94回アカデミー賞のテレビ放送は、この一年、私たちのコミュニティで素晴らしい活躍をされた多くの方々を祝福するものでした。私たちは、そのような瞬間が、ある候補者によるステージ上での容認できない有害な行為によって影を潜めてしまったことに憤慨しています。はっきり申し上げます。私たちは日曜日の夜にスミス氏が取った行動を非難します。当アカデミーの内規にあるように、スミス氏に対する適切な処置については、今後、アカデミー理事会が決定します。アカデミーのような非営利組織のメンバーに関するカリフォルニア州法と、私たちの行動基準に規定されているように、今回の件は数週間にわたる正式なプロセスを踏まなければなりません」（※一部抜粋）
（フロントロウ編集部）
