『ファンタスティック・ビースト』グリンデルバルド役が高評価なマッツ・ミケルセン
日本では『ファンタビ』の愛称で親しまれている人気ファンタジー映画『ファンタスティック・ビースト』。2022年4月8日に日本公開された同シリーズの最新作『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』で、ジュード・ロウ演じる若き日のアルバス・ダンブルドアと愛憎劇を繰り広げる闇の魔法使いゲラート・グリンデルバルドを演じたのが、デンマーク出身の演技派俳優マッツ・ミケルセン。
シリーズ1作目と2作目でグリンバルデルドを演じたジョニー・デップが降板したことを受けて代役に抜擢されたマッツは、ストーリーの中でさらに存在感を増したグリンデルバルドを妖艶さと知的さ、恐ろしさ、人々を惹きつけるカリスマ性を併せ持つキャラクターへと昇華。
『ファンタビ』古参ファンの間では、ジョニーによるグリンデルバルド役を恋しがる声もある一方で、マッツ版グリンデルバルドのあまりの完璧さに、海外の批評家たちからは「最初からマッツをキャスティングしておけば良かったのでは? 」といった意見さえ聞こえてくるほどだと米Varietyが報じている。
『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』を観て、マッツの魅力にすっかりとりつかれてしまったという人のために、マッツの意外な経歴や見た目も内面もステキなイケおじぶり、お茶目な素顔や人柄がわかるエピソードなどを総まとめ!
出演作豊富な個性派俳優!マッツ・ミケルセンの輝かしい経歴
麻薬密売人を演じた映画『プッシャー』で銀幕デビューを果たしたマッツは、カンヌ映画祭で3冠を受賞した映画『偽りなき者』といったシネフィルから高い評価を受ける作品や、人気フランチャイズ映画『007 カジノ・ロワイヤル』や『ドクター・ストレンジ』、『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』の悪役、そして殺人鬼ハンニバル・レクターを演じた主演ドラマ『ハンニバル』などで脚光を浴びた。
2021年公開の主演映画『アナザーラウンド』が第93回アカデミー賞の国際長編映画賞を受賞。2023年公開予定の映画『インディ・ジョーンズ』シリーズ最新作にも出演している。
ちょっとクセのある役どころを見事に“自分のモノ”にしてしまうカメレオン俳優ぶりと、年齢を重ねるたびに渋みが増すその麗しさから 「北欧の至宝」と称されてきたマッツは、いまや、ヨーロッパだけでなくハリウッドにも活躍の幅を広げ、ここ日本でもファン層を拡大。もはや、地球規模での“至宝”へと進化を遂げつつある。
若い頃はダンサー!志した理由がなかなか不純
マッツの幼い頃の夢は体操の選手。銀行員の父と看護師の母親の家庭の次男としてコペンハーゲンで生まれたマッツは、小学校の低学年から器械体操を習い始め、17歳までトレーニングを続けた。
その後、通っていた体操クラブを定期的に訪れていた振付師に才能を見出され、バレエを習い始める。奨学生としてアメリカに渡り、ニューヨークの有名振付師のもとで約2年間修業した後は、故郷デンマークに戻って現代バレエカンパニーに所属した。
ファンの間で絶大な人気を誇る“若マッツ”の写真
バレエだけでなく、ジャズ、コンテンポラリーなどオールジャンルのダンスをマスターしたマッツは、10年ほどダンサーとして活動し、さまざまなミュージカルに出演するように。30代に入り、本格的に俳優へと転向した。
マッツがダンサーをやってみようと思った理由は、ずばりモテそうだから!
体操クラブにやって来たある振付師が「バックダンサーとして跳んだり宙返りをしたりする人を探していたんです」とダンスを始めた当時を振り返ったマッツは、ダンサーになってみようと思ったきっかけは、「ホットな女性がたくさんいるのに対して、男性が少なかったからですね」と、女性ダンサーばかりの環境に身を置けば、必然的にモテるはずだと思ったと、ちょっと不純な動機をDesign N Trendに明かしている。
20代と思しきマッツが、地元コペンハーゲンのショーでシャツの胸元を開けながらカンカンダンスを踊るお宝映像をご覧あれ。
映画『アナザーラウンド』では、お酒をひっかけて酩酊した主人公が解放感たっぷりに踊る様子をアクロバティックに華麗に表現していることでも有名。体操とダンスで培った身体能力は今も失われておらず、アクションシーンでの演技にもひと役買っているという。
身長183㎝ スーツもジャージも着こなすイケおじ
マッツの身長は183㎝で体重は80㎏、BMIは23.9。普段から趣味のテニスや自転車でアクティブに過ごしていることもあるが、50歳を過ぎても筋肉量が多く、どんなタイプのスーツもスマートに着こなすシュッとした体型をキープしているのは、やっぱり若い頃に器械体操やダンスで鍛えた土台があるからこそ。
ファンの間では周知の事実だが、マッツの普段着はジャージ率が高い。一歩間違えばダサめになりかねないジャージもマッツの手にかかれば、なんだかオシャレに?
マッツはこのスポーティーなジャージスタイルで、公の場に顔を出すことが多々ある。
サービス精神が旺盛すぎる! ファンサがレべチだと世界中で評判
映画では近寄りがたい雰囲気を醸し出す悪役を演じることが多いが、素顔は気のいいおじ様なマッツ。
ファンサービスも素晴らしく、2019年に東京で行なわれたハリウッド・コレクターズ・コンベンション(通称ハリコン)に登場した際には、ファンたちからリクエストされた首絞めポーズ、噛みつきポーズなどを快諾。
次から次へとお願いされる奇妙なポーズのオンパレードをこなしたこの時のマッツの姿は、SNSやネット掲示板を通じて海外でも拡散され、ファンからの無茶ブリにも丁寧に応えてくれるノリが抜群な稀有なセレブとして一目置かれることとなった。
また、『ハンニバル』全盛期には、ファンから「これにサインしてください」とナイフが送られて来ることが何度もあったそうで、「サインしてほしいと書いてあったので、そうしました」とあっけらかんと英Empire誌に語ったという逸話も。
スケジュールの都合でサインや握手などができないことを出待ちのファンたちに大袈裟めのアクションで詫びるマッツのこちらの写真からも、“いい人”な人柄がにじみ出ている。
奥さんLOVEな愛妻家
ダンサー時代に知り合った元振付師で元女優のハンネ・ヤコブセンと13年の交際を経て結婚したマッツ。出会いはダンスのオーディションだったそうで、ハンネとの初対面では「僕は中国人の女の子の格好をしていたんだ」と役の設定のために女装していたことをNew York Timesに明かしている。
ハンネが2013年にデンマークのテレビ番組のインタビューで語ったところによると、当時はお互いにほかにつき合っている相手がいたため、惹かれ合いながらもプロとして距離を保っていたそう。しかし、一度灯ってしまった恋の炎を消すことはできず、ほどなくして2人は情熱的な恋に落ちたという。
ハンネは若き日のマッツを見て「私が一生添い遂げるのは、この人だ」と直感したことを振り返っている。
ハンネが公開した出会った頃のまだあどけないマッツとの1枚。
マッツとハンネには、ヴィオラとカールという、すでにアラサーを迎えた子供たちがおり、一家でレッドカーペットに登場することも。
出会ってから35年以上も苦楽を共にしてきた5歳年上のハンネをとても大切にしている愛妻家のマッツは、基本どこへ行くにもハンネを同伴しており、2019年の来日時にも一緒だった。
京都の名所を巡り、サイクリングを楽しんだり、東京ではファンイベントに同行して、日本のファンの温かさに感動したりと、夫妻で日本を満喫。
街の居酒屋に違和感なく馴染むマッツのお宝ショットも、距離感から見て、おそらくハンネが撮影したものとみられる。
インスタにはお茶目ショット満載 日本で更新頻度アップしがち
マッツの公式インスタグラムでは、出演作のプロモーションはもちろんプライベートでの貴重な写真や若い頃の秘蔵ショットなどが公開。更新はそこまで頻繁ではないものの、ファンにとってはたまらない、かっこいい写真やちょっとクスっときてしまうお茶目でかわいい写真なども投稿されている。
何度も来日経験があるマッツは、コジマプロダクションが手がけたビデオゲーム『DEATH STRANDING(デス・ストランディング)』で、ノーマン・リーダス演じる主人公サムと衝突するクリフというキャラクターを演じた由縁で小島秀夫監督と仲良し。
小島監督のほかにも、歌舞伎役者の片岡愛之助の舞台を鑑賞後に楽屋を訪れた際の模様や日本の観光名所に足を運んだ際の写真、日本のファンたちとの交流の様子など、来日中にいつもよりも更新頻度が上がる傾向にある。
誰かを決して悪く言わない 思慮深いコメントから溢れる知的さ
『ファンタビ』の周辺では近年スキャンダルが多発。前任であるジョニー・デップの降板劇も然り、原作者にして同シリーズの脚本を手がける作家J.K.ローリングのトランスフォビアととれる発言をめぐる騒動や、最新作の公開を目前に起こったクリーデンス役のエズラ・ミラーの逮捕などが世間で大きな注目を集めた。
最新作のプロモーションにあたって、これらの騒動について見解を求められる機会があったマッツ。
特殊な経緯でジョニーから役を引き継いだことについては、リスペクト溢れるコメントしかしていないほか、新作ではジョニーがグリンデルバルドを演じないことに落胆するファンがいるであろうことについて、「自分もジョニーのファンだし、100% 理解できます」とSound Venueにコメント。
ローリング氏の騒動に関しても、自分は本件に関してあまり深くは知らないとしたうえで、反対派も肯定派も少し過剰に反応しすぎているのではないかと疑問を呈し、「よく知りもしないことについてコメントするのは控えるようにしているんです。世界中のみなさんもそうしたら良いのではないかと思うのですが」と私見を語っている。
子供から大人まで楽しめる『ファンタビ』への出演で、またファン層を拡大したマッツ。渋くてかっこいいイケおじにして、チャーミングな魅力も併せ持つカワおじ(カワイイおじさま)でもある彼の世界征服の旅はまだまだ続く!(フロントロウ編集部)