TikTokでバズらなければリリースできないと言われたとホールジー
2021年8月に通算4作目となる最新アルバム『イフ・アイ・キャント・ハヴ・ラヴ、アイ・ウォント・パワー』をリリースしたシンガーのホールジーが、レーベルから“TikTokでバズらない限りは新曲をリリースできないと言われた”と訴える動画をTikTokに投稿し、議論を呼んでいる。
ホールジーはTikTokに投稿した動画のなかで、「すぐにでもリリースしたい大好きな曲があるのだけど、レーベルがリリースさせてくれないの」と、新曲をリリースできずにいることをファンに明かして、その理由について「私のレコード会社は、TikTokで嘘でもバイラルを生み出せなければ曲をリリースできないって言う」と主張。
その後、ツイッターでも一連の投稿でこの件に言及して、TikTokの動画が話題になった後でレーベルと話し合ったことを報告したのだが、「TikTokが広まった後でレーベルと話をした。『あのTikTok、良い感じだね!』だって。私としては、『よかった。それじゃあ、私はもう曲をリリースしてもいいですか?』って感じだったんだけど、『様子を見ましょう!』だって」と綴って、依然としてリリースの目処は立っていないままだとした。
チャーリー・プースがTikTokでのバイラルについて持論
ホールジーがTikTokに投稿した動画は、記事執筆時点で800万回以上再生されるなど大きな話題になっており、ホールジーとレーベルの騒動をめぐっては、同じ音楽業界で働くアーティストたちからも意見が寄せられている。
その一人が、映画『ワイルド・スピード SKY MISSION』の主題歌「シー・ユー・アゲイン」などで知られ、最近は楽曲制作の手法を公開しているTikTokでも高い人気を集めているシンガーソングライターのチャーリー・プース。
TikTokで1,600万人以上のフォロワーを持つチャーリーは、ホールジーとレーベルの騒動を受けてツイッターを更新して、「僕はTikTokが好きだよ。音楽がいかにして作られるかや、リスナーにどう受け止められるかという点について、僕の視点を広げてくれたんだ!」と、TikTokにはポジティブな印象を持っていると前置きした上で、「でも、決して自分の芸術を妥協すべきではないよね」と指摘。
I adore TikTok and it’s really opened my eyes as to how music can be made and perceived by the listener! But never compromise your art. Great art that is an extension of you will always rise to the top…even if it doesn’t go “viral”.
— Charlie Puth (@charlieputh) May 23, 2022
「自分自身の延長と言えるような偉大な芸術こそが、自分を頂点に導いてくれる。たとえそれが“バイラル"にならないとしてもね」と続けて、TikTokで話題になるかよりも、自分の心に正直な芸術を作ることを優先すべきだと述べた。
シングルは恋人アレヴ・エイディンとの馴れ初めがテーマ
記事執筆時点でホールジーはチャーリーのツイートに反応を示していないが、ゼッドとの「ザ・ミドル」などで知られるシンガーのマレン・モリスからもこの件について意見が寄せられており、マレンは、「レーベルと“パートナーシップ”を結んでいるアーティストは、アルゴリズムの “バイラル"データに耳を向けたり、彼らのチャートを見たりすることができますが、一方で私たちは、レーベルが私たちのアートに対して行なっている一律的な対応を批判することができるのです」とツイート。
「それに、彼らは私たちが創った“サウンド”をバイラルにしようとしているわけでもあるし」と続けて、レーベルと契約を結んでいる以上、レーベルとアーティストは持ちつ持たれつの関係にあるのではないかと述べた。
100% I agree. I value the expertise and work of all the amazing people at my label. There are so many talented professionals there. But surely we can have an opinion on the entry point of consumption they’re trying to enforce?! A suggestion is great, an ultimatum? Not so much. https://t.co/N3NA52bOd0
— h (@halsey) May 23, 2022
ホールジーはマレンの意見に対し、「100%同意します。私は自分のレーベルにいる素晴らしい人たちの技術や仕事ぶりは評価しています。才能のあるプロフェッショナルたちがたくさんいますから」と、レーベルのスタッフの仕事ぶりは評価していると前置きした上で、「ですが、消費者への足掛かりとして彼らが強制しようとしてくることについて、私たちは意見を持ってもいいはずですよね?」とツイート。
「提案はありがたいですが、最後通牒はどうでしょう? 良くないないですよね」と続けて、レーベルから一方的にリリースを拒否されるのではなく、お互いに意見を交わした上で決めるべきだと語った。
また、ホールジーによれば、TikTokでバズらないといけないという理由でリリースできないのは今回が「初めて」であるものの、シングルをリリースできなかったことは前にもあるという。
never been stopped from release like this. It almost happened with nightmare. But they blocked 3am as a single as well and the manic era got cut short https://t.co/R0DFfrAGez
— h (@halsey) May 23, 2022
「『ナイトメア』の時にもこうなりそうだったんだ」と、2019年にリリースしたシングル「ナイトメア」の時にもリリースできない可能性があったと明かした上で、「それから、彼らは『3am』をシングルにさせてくれなかったし、『マニック』のフェーズは短くされた」と告白。前作『マニック』から次の作品までのリリース期間を短くされたと打ち明け、『マニック』に収録されている楽曲「3am」はシングルにさせてもらえなかったとツイートした。
ところで、ホールジーが現在リリースを差し止めされているというシングルのその内容も気になるが、恋人であるアレヴ・エイディンとの馴れ初めをテーマにしているものだという。
it’s about alev � part of the story of how we went from meeting and keeping touch randomly for years to realizing we were each others person all along. Right person wrong time type of song. https://t.co/QUplTSM3y9
— h (@halsey) May 23, 2022
「アレヴについての曲なんだ」とホールジーはツイッターでシングルについて明かしている。「私たちの出会いから、数年間連絡を取り合っていた関係を経て、お互いが運命だって気がつくまでのストーリーの一部。相応しい人を相応しくない時期に見つけたっていう、そういう感じの曲」。
ホールジーとアレヴの出会いなどについては、これまでほとんど語られてこなかったので、ファンとしてはどんな歌詞が綴られているかも気になるところ。TikTokでバイラルにならなくても話題になりそうな楽曲のように思えるが、ひとまずは正式にリリースが決定することを待ちたい。(フロントロウ編集部)