エリオット・ペイジはエリオット・ペイジ
2020年にトランスジェンダー男性であることをカミングアウトした俳優のエリオット・ペイジ。そんなエリオット・ペイジをツイッターでわざとデッドネーミング(※名前を変えたトランスジェンダーの人を変更前の名前を呼ぶ行為)する行為が今週に入って増えており、大きな批判の声が挙がっている。
エリオットをデッドネーミングしている人たちは、まず、“前の名前で呼ぶべきではない”という考えを批判しているのだが、そもそも、誰かが求める新しい名前でその人を呼ぶという行為は日本でも欧米でも毎日起こっていることで、珍しいことでも難しいことではない。結婚した女性の多くは苗字を変える必要があり、まわりはとくに反発することなく自然と新しい名前でその人を呼ぶようになる。つまりデッドネーミングをしないようにするのは非常に簡単なことなのだ。
今回の騒動は、保守派の臨床心理学士でありユーチューバーのジョーダン・ピーターソンが、ツイッターでエリオットを前の名前で呼び、彼の胸を除去した医者を「犯罪者」と呼んで、Twitter社のヘイト行為に関するガイドラインに抵触したとしてアカウントを一時的に停止されたことがきっかけで起きた。そのため、デッドネーミングをしている人の間では“ちょっと間違ったくらいでアカウントが停止される”と批判する声が多いが、これは事実に反している。
エリオットを間違って前の名前で呼んでしまう行為と、エリオットという名前を知っているのにわざと彼の尊厳を傷つけて彼の性自認を否定かのするように前の名前で呼ぶ行為はまったく状況が異なり、ツイッターがピーターソン氏のアカウントを停止したのは後者だったから。著名人として影響力のあるピーターソン氏が以前からトランスジェンダー差別と取れるツイートを繰り返していたことも影響していた可能性がある。
一連の侮辱的なツイートに対してエリオットからは現時点で反応はないが、ツイッターでは「彼の名前はエリオット・ペイジです」「親切にするのも、尊敬するのも、お金はかかりません。エリオット・ペイジです」と、差別的なユーザーの行為を批判する投稿が多く書き込まれている。
ちなみにエリオットに対する当該のツイートを消すくらいなら「死んだ方がマシ」だと語り、ツイッターをやめることも示唆していたピーターソン氏は、その後そのツイートを削除してツイッターに復帰している。
エズラ・ミラーの代わりにフラッシュ起用論が強まる
そんな一部での差別的なツイートを尻目に、ツイッターではDCコミックスのスーパーヒーローであるフラッシュ/バリー・アレンにエリオットを起用してほしいという声が盛り上がっている。
フラッシュ役は映画『ファンタスティック・ビースト』でも知られるエズラ・ミラーが演じてきたが、彼は未成年へのハラスメント行為などが問題になっており、ワーナー・ブラザースによって解雇されるとウワサされている。
そんなエズラの後釜としてエリオットを推す声が多く出ており、コミックネタを中心に報じるエンためニュースサイトComic Book Resourcesの記者も、「エリオット・ペイジは素晴らしいバリー・アレンになりますよ」とツイートした。(フロントロウ編集部)