レイフ・ファインズがJ.K.ローリングを擁護
映画『ハリー・ポッター』シリーズで“名前呼んではいけないあの人”ことヴォルデモート卿を演じた俳優のレイフ・ファインズが、同シリーズの生みの親であるJ.K.ローリング氏をめぐる騒動についてコメントした。
映画『ハリー・ポッター』シリーズの原作小説の著者で、映画『ファンタスティック・ビースト』シリーズの脚本も手がける作家のローリング氏は、2020年6月にツイッターに投稿したトランスフォビア(※)的と受け取れる発言が大炎上。
※トランスジェンダー/トランセクシュアルに対するネガティブな感情・思想・行動
ローリング氏は2万字にもおよぶエッセイやSNSを通じて主張を続けているが、トランスジェンダーの人々に対して誤解を招くような持論を後押しするなどして批判を受けており、ダニエル・ラドクリフやエマ・ワトソンをはじめとする『ハリー・ポッター』シリーズの出演者たちも彼女の考えに“賛同できない”というコメントを発表している。
過去にも、ローリング氏の視点に共感するわけではないものの、俗にいう、キャンセル・カルチャーの悪しき部分には賛同できないと苦言を呈したことがあるレイフは、米The New York Timesのインタビューで「彼女に向けられた罵詈雑言は、うんざりするほどひどいものです。女性をめぐる彼女の発言に怒りを覚えるのもわかります。しかし、彼女は忌まわしい存在でも、超右翼的なファシストでもありません」と言うと、「ただ、ひとりの女性が、『私は女性で、女性であることを実感し、自分は女性だと言えるようになりたい』と言っているだけなのです。彼女の気持ちは理解できます。私は女性ではありませんが」と一定の理解を示した。
レイフが言うように、SNS上ではローリング氏の意見に反対する人、そしてローリング氏の意見に賛成する人の両サイドから、批判を超えた誹謗中傷が書き込まれている。一方、オンライン上で議論が激化するなか、現実世界でのトランスジェンダーの人々へのヘイトは近年増幅していると言われており、Williams Institute at UCLA School of Lawが発表したデータでは、アメリカにおいてトランスジェンダーの人はシスジェンダーの人に比べると暴力的な事件の被害にあう確率が4倍高いことがわかっている。
ちなみに、このインタビューでレイフは、「J.K.ローリングは子どもたちが自分らしさを見つけることができるような、エンパワーメントをテーマにした素晴らしい本を書きました。(それらの本には)より良い、より強い、より道徳的な人間になるための方法について書かれています」とローリング氏の作家としての功績を称えるコメントも残している。
なお、ローリング氏の作品については、映画『ファンタスティック・ビースト』シリーズの主演俳優で、ローリング氏の考えに“賛同できない”と表明したひとりであるエディ・レッドメインも、つい最近、英Radio Timesのインタビューで「ジョー(※ローリング氏の愛称)の作品も、そこに出てくるキャラクターも大好きです」と称賛している。(フロントロウ編集部)