デビッド・ベッカムの名前がイギリスのツイッターでトレンド入り。しかし、良い理由からではない。(フロントロウ編集部)

※この記事は2022年11月21に掲載された「【500文字で解説】デビッド・ベッカム批判が英でトレンド入り、W杯開催に合わせて炎上中」に加筆して再投稿したものです。

FIFAワールドカップでカタールのアンバサダー務める

 2021年にカタールのアンバサダーに就任して、FIFA ワールドカップ2022でも宣伝に励んだデビッド・ベッカム。カタールとの契約は当初は10年約1億5000ポンドと報じられていたが、延長のオプションも付いて3年で1200万ポンドという報道も出ている。

 ベッカムは以前からLGBTQ+コミュニティのアライであることを公言しており、LGBTQ+アイコンと称されることを「誇り」と呼んできた。そんな彼が、同性愛を違法としているカタールと契約を結んだことは、イギリス国内のLGBTQ+コミュニティやアライから強く批判され、ベッカムが2002年に“プレミアリーグの選手として初めて表紙を飾る”という歴史を作ったLGBTQ+雑誌Attitudeもベッカムの行為を厳しいコメントをした。

 この批判はW杯開催に向けてさらに強まっていたのだが、そんななか、英コメディアンのJoe Lycettが“カタールと関係解消したら1万ポンドをLGBTQ+支援に寄付する、しなかったら全額シュレッダーにかける”というアクションを決行。結果的にベッカムはこの申し出をスルーしたため、Joe Lycettは1万ドルをシュレッダーにかけ、関連ハッシュタグ「#BendersLikeBeckham」がUKツイッターのトレンド1位になるほど話題になった。

 その後、コメディアンのJoe Lycettは、“デビッドが実際に行動を起こすとは思わなかったから、そもそも1万ドルはアクションスタート時点で寄付していた”とネタバレ。デビッドに向けて、「君のカタールとの契約と同じようなものだよ。最初からばかげたことだったんだ」と痛烈にコメント。代わりに、デビッドが表紙を飾った2002年のAttitude誌をシュレッダーにかけていいかをAttitudeに問い合わせたところ“どうぞ”と返答があったとして、カメラの前でその雑誌をバラバラにした。

ベッカムが声明で反応を全訳

 批判をスルーしたままだったベッカムが、アルゼンチン対フランスによるワールドカップ優勝決定戦の数日前に、Joe Lycettに対して声明を送った。そこには、デビッドの代理人からの言葉でこう書かれていた。

「デビッドはこれまで、スポーツは世界における善意を後押しする力があるという思いから、選手として、またアンバサダーとして、ワールドカップをはじめとする数々の主要な国際大会に参加してきました。

世界的に最も人気のあるスポーツであるサッカーは、人々をひとつにまとめ、地域社会に真の意味で貢献する力を持っています。

私たちは、中東でのサッカーとの関わり方について、様々な意見があることを理解していますが、この地域で初めて開催されるワールドカップによって、重要な問題についての議論が直接促されたことをポジティブにとらえています。

このような対話が、すべての人々への理解と共感を深め、進歩が達成されることを望んでいます」

 ベッカムの声明に対し、Attitude誌は「侮辱的なまでにあたりさわりがなく、非常に理解がズレていて、失望を通り越したもの」と報じ、Prideは「懸念されている問題に一切触れない哀れで空っぽ」なものとするなど、LGBTQ+コミュニティからのさらなる批判が噴出している。

 一連の件では、カタールW杯のアンバサダーであるKhalid Salmanがドイツのテレビ番組に対して同性愛は「マインドが傷ついている」と差別発言をして批判を受けた。(フロントロウ編集部)

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