エマ・コリン、女性が快感を求めることについて思い
イギリス人作家D・H・ローレンスが1928年に初めて発表した小説『チャタレイ夫人の恋人』は性描写が理由で各国で物議を醸し、出版に際して自費出版、修正版、無修正版といった改変を経たり、裁判になったりした作品。日本でも出版後に最高裁で議論されるに至り、チャタレー事件と呼ばれている。
本作の主人公はコンスタンス・チャタレイ。夫で貴族のクリフォード・チャタレイが第一次世界大戦のケガによって下半身不随となり、世話をする日々を送る彼女は、生活に閉塞感を感じていく。そして次第に、領地で森番をしているオリバー・メラーズと心を通わせるようになる…。
本作はこれまでに何度も映像化されてきており、今年2022年にはNetflixで映画化。『ザ・クラウン』や『私の巡査』で知られるエマ・コリンが主人公のコンスタンスを演じ、ドラマ『Skins-スキンズ』や映画『不屈の男 アンブロークン』のジャック・オコンネルがオリバーを演じた。
映画版でも、もちろん性描写はある。しかしエマは米Peopleのインタビューで、本作では単なる“エロ”ではなく、女性に課されている性のタブーをなくし、力強く描いていると話した。
「私が思うに、多くの女性は自分のセクシャリティが持つパワーに気がつき、快楽を求めることや、快楽にふけることはして良いことであると知る旅をしていると思います。そして快楽を求めることは、知らんぷりをしたり、罪悪感を抱いたり、恥ずかしいと思う必要はなく、とてもパワフルで美しいことです。私は、それはとても美しいことだと思っていますし、この映画はそれをパワフルな方法で称賛していると思います」
エマがそう自信を持って言えるのは、本作が男性視点で女性の性を描いていないことにあるかもしれない。本作でインティマシー・コーディネーターを務めたのは、以前フロントロウのインタビューにも登場してくれたイタ・オブライエンで、彼女は取材で、「女性の性的快感を描くのであれば、それは女性によって書かれたものでなくてはいけません」と指摘していた。本作の脚本家は男性だが、監督は女性のロール・ドゥ・クレルモン=トネールが務めた。
またジャックは、1920年代に問題だったのは性描写ではなく、むしろ当時存在した社会階級や女性差別だと語った。
「リサーチをしていくと、原作が禁止されたのは性的内容が理由だということはそこまで明白でなくなりました。それが禁止された理由は、階級を超えた関係が罰せられることがなく、女性キャラクターが不貞行為で罰せられていないというストーリーだったんです。原作が禁止された理由で、僕が信じるメインの要素はそれです。なので、その作品に現代の視点を投げかけた時、今でもどう(物語が人々に)関係するのかは非常に興味深いと思います」
昨年11月にはエマがイタリアで撮影に臨む姿も目撃されていた本作。2022年に描かれた『チャタレイ夫人の恋人』は、Netflixで見ることができる。
(フロントロウ編集部)