ブルー・アイヴィーとも共演したステージで衣装に込めたメッセージ
4年以上ぶりのフルパフォーマンスとなったこの日のステージの最初の1曲目を飾ったのは、ビヨンセが2008年に出演した映画『キャデラック・レコーズ』のなかで披露したエタ・ジェイムズのカバー「At Last」。その後は「XO」や「Halo」など、代表曲たちを次々にパフォーマンスしていった。
ビヨンセがオープニングの衣装としてチョイスしたのは、オマーン出身のデザイナーであるMousa Al Awfiのもの。中東の女性デザイナーによる衣装を選ぶことで、中東の女性たちにオマージュを捧げた。
この日は映画『ライオン・キング』に提供した「Brown Skin Girl」がライブで初披露されたのだが、ジェイ・Zとの子どもであるブルー・アイヴィーと共に披露するという、貴重すぎるパフォーマンスが実現。同曲は、第63回グラミー賞で最優秀ミュージックビデオ賞を受賞した楽曲で、母ビヨンセと並んでクレジットされている当時9歳だったブルー・アイヴィーが、史上2番目の若さでグラミー賞を受賞したことでも話題になった。
ビヨンセはその後、ニコラス・ジェブラン(Nicolas Jebran)による赤いボディスーツへと衣装チェンジ。王冠と合わせられたこちらの衣装も中東の女性たちへのメッセージが込められており、デザイナーのニコラスは英Vogueに「UAEの女性たち」にオマージュを捧げたものだと説明した。
この日の最後にチョイスされた衣装も、社会的メッセージが込められたもの。ビヨンセはウクライナのデザイナーであるイヴァン・フロロフ(Ivan Frolov)によるピンクのミニドレスをこの日のクライマックスにチョイス。このドレスはロシアによる侵攻を受けている真っ只中にウクライナのキーフで制作されたもので、プレスリリースには「何が起きようと、ウクライナのブランドは抵抗とカルチャーを世界に発信し続けること」を示すものと記されている。
映画『ライオン・キング』のサウンドトラックより、「OTHERSIDE」や「BIGGER」といった楽曲をライブで初お披露目しつつ、最後は「Crazy in Love」や「Naughty Girl」、「Drunk in Love」という歴代の代表曲を惜しみなくパフォーマンスして、ビヨンセは合計19曲を披露して約75分におよんだこの日のステージを締めくくった。
一方、今回のライブは昨年に最新アルバム『ルネッサンス』をリリースしてからは初のライブだったが、クィアカルチャーにオマージュを捧げた同作から楽曲が披露されることはなかった。