女性の生きやすさ働きやすさのハードルになっているドレスコード(=服装のルール)。日本でも問題になっており、数年前、女性に対して職場でハイヒールやパンプスの着用を強制することを禁止するよう求めるKuToo運動が広がったことがきっかけで、いくつかの企業でルールの見直しが行われたが、海外でもさまざまな場所でイノベーションが起きている。(フロントロウ編集部)

女子プロスポーツの各団体や競技会が「白のユニフォーム」を見直し

 テニスの4大大会のひとつとして知られるウィンブルドン選手権では、選手は男女問わず、ユニフォームから靴、リストバンド、下着にいたるまで「白」を着用することが義務付けられている。なお、米CNNによると、この厳格なドレスコードは汗染みを隠す目的で導入されたものだという。

 女性限定で設けられたルールではないが、生理中の女性にとって白ほど恐ろしい色はない。テニスは試合の展開によって長丁場になることもあり、万が一、白い下着やユニフォームに経血が漏れてしまったら一瞬にしてわかってしまう。多くの女性選手は大会期間中に生理が来ないことを願い、もし生理が来てしまったら、その不安と戦いながら試合に臨むことになる。また、なかには薬を飲んで生理をずらす選手もいる。

画像: 女子プロスポーツの各団体や競技会が「白のユニフォーム」を見直し

 ウィンブルドン選手権に出場する選手にとって、このドレスコードはそれくらい大きな問題であり、実際、リオ五輪で金メダルを獲得したモニカ・プイグや、グランドスラム大会で39回の優勝を誇るビリー・ジーン・キングも、白い服に大きな不安を感じていたことを明かしている。

 そういった不満・不安の声があることを受けて、ウィンブルドン選手権を主催するオールイングランド・ローンテニスクラブは、昨年11月、「選手および複数の代表者と協議した結果、運営委員会がウィンブルドンにおける白い服のルールを更新する決定を下したことを、ここにお知らせします」と声明を発表。同団体は、2023年からウィンブルドン選手権に出場する女性は、「希望により色の付いたアンダーショーツを着用することができるようになる」としている。 

 ちなみに、同様の理由で、国際サッカー連盟とイングランドサッカー協会も、イングランド代表女子サッカーチームのユニフォームのショーツの色を、従来の白から生理中でも支障のない濃い色に変えるために協議を行なっている。

 なお、同じテニス界では、2018年に出産後初の全仏オープンに出場したセリーナ・ウィリアムズが、血栓症を何度も発症した経験から、従来のテニスウェアではなく血液の循環を促す機能があるキャットスーツを着用して話題になった。その後もセリーナは全米オープンでバレエの衣装として知られるチュチュを着て試合に臨むなど、女子テニス選手のウェア問題に一石を投じた。


 海外だけでなく、日本でも学校で女子生徒の制服にスラックスが導入されたり、金融機関で女性社員の制服が廃止されたり、ドレスコードをめぐる状況は変わりつつある。今はまだ小さな変化かもしれないが、積み重ねていくことで、もっと選択肢の多い世の中になることを願う。(フロントロウ編集部)

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