オーロラが単独としては約3年ぶりとなる来日公演を2月17日に東京の豊洲PITで開催。日本語で何度も愛を伝えてくれた公演の模様をレポート。(フロントロウ編集部)

力強いスピーチを披露したオーロラ

 アーティストとしてオーロラがすごいのは、MCではチャーミングな笑顔で優しくオーディエンスに温かいメッセージを投げかけながら、曲のイントロが鳴った瞬間に、その佇まいや振り付け、そして唯一無二の透き通った歌声で、楽曲の世界観を体現してしまえるところ。それはまさしく楽曲がオーロラに“憑依”するという言葉でしか表現しようのないもので、「みんなのための曲。愛されていると感じてほしい」という優しいMCの後で披露された「Heathens」も、何度か転調する緩急のある構成を完璧に乗りこなしながら、圧巻の表現力でパフォーマンスしてみせた。

画像1: 力強いスピーチを披露したオーロラ

 この日は、溢れんばかりの日本のファンへの愛からか、前半はほとんどの楽曲が終わるたびにMCを挟むという構成になっていて、「この曲もみんなのための曲だよ。たくさん泣いてしまう人のための曲」というメッセージの後で披露したのは「All Is Soft Inside」。この次には、「泣いてもいい」という歌詞を歌った後で日本語で「そうですね?」とオーロラ自らが合いの手を入れた「The River」へと続いたのだが、自分のライブ会場では“感情を自由に表現していい”と語るオーロラの優しさは、楽曲のメッセージにこそ表れている。オーロラが自分の感情を包み隠さずに楽曲で表現し、それをステージの上で体現してくれるからこそ、観客は安心して自分の感情に身を委ねることができる。

 涙を肯定してくれる2曲に続いて披露された、フェスティブな「Daydreamer」では、この日初めて手拍子が起きる。オーロラが祝福するのは喜怒哀楽すべての感情であり、聴く者たちの悲しみを肯定しながら、お祭りのような楽しい楽曲で前を向かせてくれるのである。

 ライブはここで、“プレゼント受け取りタイム”に突入。改めて「よろしくお願いします」と日本語で挨拶したオーロラは、自分へのプレゼントを手にしたファンたちをフロアに見つけると、「ありがとう〜!」と日本語で感謝を伝えながら、その一つ一つを受け取り、ステージの上で嬉しそうに受け取ったプレゼントをお披露目する場面も。「あなたたちは、そのままで完璧です」と、改めて日本語でメッセージを伝えたオーロラは、ここに集まったファンが「ちょっとばかり人と違っていても、相応しい場所がないと感じていようと、ゲイでも、自閉症でも」関係ないと英語で力強く語った上で、さらにこう続けた。

 「みんなに知ってほしいのは、私たちには存在している理由があるということ。私たちは他の人とは違うように生まれているのだから。それこそが私たちが存在している理由。私たち全員が違うということが、この地球で最も美しいこと。それが大切なんだよ」

画像2: 力強いスピーチを披露したオーロラ

 「次はどれだけみんなのことを愛しているかについての曲」というMCを経て、ギターとコーラスのみというシンプルな構成で披露した、文字通り“愛のために存在している”というタイトルの「Exist for Love」では、最後の「愛してる」と歌うパートを何度も繰り返してファンへの愛を伝えたオーロラ。続く「A Temporary High」もそのままアコースティックでパフォーマンスをして、最新作『ザ・ゴッズ・ウィー・キャン・タッチ』に収録された音源とは違ったアレンジを聴かせた後で、イントロだけで歓声があがることとなった、コロナ下で再ヒットして話題になった2015年リリースの楽曲「Runaway」のパフォーマンスへと続いた。

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