最後は日本語でのコール&レスポンスも
しっとりとした楽曲のセクションを終えて、ほとんど間髪を入れずに披露したのは、環境問題へのメッセージを歌った力強い「The Seed」。社会的なメッセージもたびたび発信してきたオーロラのそうした側面が伝わる1曲にして、彼女のディスコグラフィで最もパワフルな1曲でもある。この曲では、パフォーマンスが終わるまでオーロラにライトがフォーカスすることはなく、いかにそのメッセージを大切にしているかが伝わってきた。
圧巻の歌声で「The Seed」のフィナーレを飾り、この日一番の大歓声が湧いた後でこちらもパワフルな「Soft Universe」を披露して会場に熱気を溜めたオーロラは、続く「Queendom」で再びフロアを祝祭ムードに。この曲の前にMCこそなかったが、“女王の国”を意味するタイトルのついたこの楽曲はまさにオーロラの代名詞とも言えるもので、ここではカラフルなライティングに照らされながら、途中でファンから受け取ったレインボーフラッグも掲げてみせる。「私のクイーンダムにはあなたの家がある」と歌いながら、集まった全員を改めて歓迎してくれた。
本編を締めくくったのは、茶目っ気たっぷりにオオカミの鳴き真似を披露して、「みんな今日はありがとうございます! 愛しています! おやすみ!!」という日本語のMCの後でパフォーマンスされた「Running With the Wolves」だった。
観客からのアンコールを受けてステージに戻ったオーロラは、「私には治療薬は必要ない」と歌う「Cure For Me」をパフォーマンス。すべての人たちの自分らしさを肯定してくれる1曲だが、オーロラはここでも、改めて日本語で「あなたたちはそのままで完璧です!」と観客にメッセージ。「みんな、(日本語で)『私は完璧です』って言って!」「あなたは完璧!」と呼びかけて、オーロラらしいコール&レスポンスで観客の自己肯定感を最大限に高めてくれた。
最後は「ありがとうございます! 私の友だち!」と日本語で語ってファンとの友情を確かめて、「Giving In To The Love」のパフォーマンスで締めくくったオーロラ。自分の感情をありのままに詰め込んだ楽曲を、それを完璧に体現するパフォーマンスで司りながら、聴く人たちを全面的に肯定してくれる彼女の優しさは、この日、何度も繰り返し伝えてくれた「あなたたちはそのままで完璧です!」という日本語のメッセージに集約されていた。
その姿勢はオーロラがずっと一貫して持っていたものだが、単独来日公演としては約3年ぶりというブランクを経て、久しぶりに日本のファンにそのメッセージが直接届けられることとなった。誰もが歓迎してもらえる、オーロラ女王が君臨するクイーンダムをまた訪れられる日が今から待ち遠しくて仕方ない。(フロントロウ編集部)