ジョン・トラボルタ、亡き共演者を思い感極まる
追悼コーナーでは、乳がんの闘病を経て2022年に73歳で亡くなったオリビア・ニュートン=ジョンをはじめとした、亡き業界人たちを追悼。プレゼンターを務めたジョン・トラボルタは、涙で声を震わせながら、「この人たちは、私たちの心に響き、私たちを笑顔にして、大切な友人となった。私たちは彼らに対してずっと、hopelessly devoted to(どうしようもないほどの愛情を捧げる)」と、共演映画『グリース』でオリヴィアが歌った曲「Hopelessly Devoted To You」をスピーチで引用して、亡き共演者を追悼した。
マララ・ユスフザイへの扱いにSNSで気遣う声
史上最年少の17歳でノーベル平和賞を受賞したマララ・ユスフザイ氏もゲストとして参加。司会者のジミー・キンメルが客席をまわって観客をジョークのネタにしていた時には、ジミーがマララに、「あなたの人権や女性や子供たちへの教育への取り組みは、インスピレーションを与えてくれます。史上最年少のノーベル賞受賞者として、ハリー・スタイルズはクリス・パインに唾を吐いたと思いますか?」と、ハリーとクリスの間で起きた唾吐き事件について聞く瞬間が。
これに対してマララ氏は少し困った顔をした後、「私は平和についてのみ語ります」とアンサー。会場からは笑いが上がっていたが、SNSでは、「マララさんから離れてほしい」「放っておいてあげて」とマララ氏を気遣う声が多かった。一方でマララ氏本人はその後、ツイッターでこの時のやりとりに触れて、ハリー・スタイルズがよく使うスローガンである「Treat People with Kindness(人に優しく接しよう)」とツイートした。
司会者がウィル・スミスをネタに、不在をうまく穴埋め
アカデミー賞と言えば、2022年にウィル・スミスが妻へのジョークに腹を立てて司会者のクリス・ロックをビンタして10年出禁となる事件が起きた。開催前の記者会見でエグゼクティブ・プロデューサーのモリー・マクニーリーが発した「(ビンタ事件に)ユーモアのある形で言及する」という予告どおり、冒頭で司会者のジミー・キンメルが「誰かがショーの最中に暴力行為を行った場合、あなたはアカデミー主演男優賞を受賞し、19分間の長いスピーチをすることを許されるでしょう」などと、事件当時のアカデミー協会の対応をジョークのネタに。
そして、アカデミー賞では主演女優賞のプレゼンターを前年の主演男優賞の受賞者が務める伝統があるが、今年は出禁のウィルに変わって、昨年の主演女優賞受賞者であるジェシカ・チャステインと、2002年に有色人種として初めて主演女優賞を受賞したハル・ベリーがプレゼンターを務めた。
ガガ、リアーナ、『RRR』らがパフォーマンス
アカデミー賞では歌曲賞にノミネートされた5組がパフォーマンスするのが伝統のため、今年は、レディー・ガガ(『トップガン マーヴェリック』)、リアーナ(『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』)、ソフィア・カーソン(『私たちの声』)、カーラ・バイラヴァ(『RRR』)、ステファニー・スー(『エブエブ』)らがパフォーマンス。
最終的に歌曲賞は『RRR』の曲「ナトゥー・ナトゥー」が受賞し、作曲したM.M. Keeravaniがカーペンターズの大ヒット曲「トップ・オブ・ザ・ワールド」のメロディに合わせて、「私の心にある願いはひとつだけだった。Rajamouliと私の家族の願いでもあった。『RRR』が受賞して、すべてのインド人の誇りとなり、私を世界の頂点’(トップ・オブ・ザ・ワールド)に立たせなければならない」と歌ってスピーチして拍手喝采を受けた。
『RRR』「ナトゥー・ナトゥ―」が歌曲賞の受賞スピーチ。
— フロントロウ | 楽しく世界が広がるメディア (@frontrowjp) March 13, 2023
M.M. Keeravaniはカーペンターズの「トップ・オブ・ザ・ワールド」のメロディに合わせてこうスピーチ。
「私の心にある願いはひとつだけだった。Rajamouliと私の家族の願いでもあった。 pic.twitter.com/z7pSxaRlqe… https://t.co/wNE0RJMEmg https://t.co/bV9mgnz9Bm
レッドカーペットからシャンパンカーペットへ
2023年のアカデミー賞では、メットガラのディレクションなどで知られるLisa LoveとRaúl Àvilaがレッドカーペットのクリエイティブ・コンサルタントに抜擢。この2人の指揮のもと、今年のカーペットの色は、1961年からの伝統だった赤色から脱却してシャンパンカラーに。
式典前には、司会者のジミー・キンメルがカーペットの色に触れ、「レッドではなくシャンパンを選んだことからも、今年は流血事件が起きないという我々の自信の表れだと思います」と、ビンタ事件をネタにしたジョークを飛ばしていた。
(フロントロウ編集部)