『ハロウィン THE END』では「日本の桜」に何度も触れられていますが、あれはどのような意味があるのでしょう? また、ジェイミーさんは実際に日本で桜を見たことはありますか?
ジェイミー・リー・カーティス:まだ日本で桜を見たことがないので、ぜひ見たいと思っています。私は、デヴィッドが“hope springs eternal(希望は永遠に花咲く)”という言葉を選んだことがとても気に入りました。桜の開花は、毎年行われるイベントであり、新しい命、新しい成長のしるし、つまり再生なのです。そして、それはとても美しい比喩だと思います。何か花が咲くといえば、まず日本の桜を挙げる人は多いでしょう。生命、希望、永遠というメタファー(比喩)を見事に表現していると思います。とても素敵な表現ですよね。
日本と言えば、ジェイミーさんはアニメ好きですよね?
ジェイミー・リー・カーティス:娘がアニメファンなので私もファン、という感じです。自分ひとりで観ることはないですが、娘と一緒にけっこう観ていますよ。『ONE PIECE』はけっこうたくさん観ていて、お気に入りは『黒執事』ですね。シエル・ファントムハイヴとか、ダークなテーマとか、すごく好きです。
『ハロウィン』で映画デビューしてから約45年経ち、キャリア初のアカデミー賞を受賞したわけですが、オスカー受賞に『ハロウィン』という作品はどう関係しているのでしょう?
ジェイミー・リー・カーティス:(アカデミー賞授賞式で受賞者として名前を呼ばれて)ショックと感無量な気持ちのなか、自分のこれまでを振り返りました。自分の家族、自分のファン、私に映画のキャリアをくれた人々。ローリー・ストロードを応援することに人生を捧げ、私に45年ものあいだ職を与えてくれた人々。彼らの存在をあそこで認識することが重要でした。私がひとりで成し遂げたことだとは一瞬たりとも思っていません。これは、映画を愛して私を支えてくれたファンが成し遂げたことなのです。だからあの瞬間、彼らの存在に触れたかった。これが私の正直な気持ちです。
『ハロウィン THE END』のプロデューサーを務めるブラムハウスのジェイソン・ブラムさんと以前お話した時、彼はホラーは「他のジャンルにはない、直感的な感情移入ができる」ジャンルだとおっしゃっていました。ジェイミーさんにとってホラーとは何ですか?
ジェイミー・リー・カーティス:私にとってホラーとは…、苦手なジャンルです。だって、怖いんですもん(笑)。ただ、ホラーの本質とは「善と悪」だと思っています。最も古い神話にも登場する物語です。どの文化にもあります。あらゆる文化の壁を越えていく。宇宙の隅々まで行き渡る。『スター・ウォーズ』だって、善 VS悪ですよね。対立するストーリーテリングの古典的な図式です。観客が好意を持つ善いものを作り、観客の好きな存在を傷つけようとする悪いものを導入し、それらを互いに衝突させ、そして観客が善を応援し、悪を倒してほしいと思うようにする。それは、ルーク・スカイウォーカーとダース・ベイダーかもしれない。ローリー・ストロードとマイケル・マイヤーズかもしれない。登場人物が誰であろうと、それが、このジャンルで通用する型なのです。私はホラーというジャンルの専門家ではありません。シネフィルでもない。このジャンルの映画をたくさん観てきたわけでもない。でも、人間として直感的に、それが彼らの心を動かすのだと理解しています。
映画界、女性像、そしてジェイミーのキャリアを変えたスラッシャー映画の金字塔『ハロウィン』。その最終章となる、『ハロウィン THE END』は4月14日(金)に全国公開される。
ちなみにジェイミーは取材中にオスカー像を見せてくれたのだが、そちらのやり取りは「オスカー像も『エブエブ』仕様!受賞ホヤホヤのジェイミー・リー・カーティスがオスカー像を見せてくれた」で確認して。(フロントロウ編集部)