「アニメを観て育った世代が映画を作る世代になっています」。4月28日(金)に劇場公開される映画『聖闘士星矢 The Beginning』のトメック・バギンスキー監督は、ハリウッドに浸透するジャパニメーションの影響をそう語る。本作がハリウッド初主演となる新田真剣佑氏と共に、フロントロウ編集部のインタビューに登場。

社会現象になった『聖闘士星矢』が実写化

 『ドラゴンボール』や『北斗の拳』などが連載されていた1980年代の週刊少年ジャンプ黄金期に掲載スタートした『聖闘士星矢』は、バトル漫画でありながら、ギリシア神話をストーリーやモチーフに使い、強い女性キャラクター像を提唱するという異色の作品づくりで大ヒット。フィギュアや玩具は全国的に大ヒットし、88の星座にインスパイアされた鎧はコスプレ文化の発展に貢献するなど、まさに社会現象と呼べるブームとなった。

 そして『聖闘士星矢』は世界にも進出。ヨーロッパをはじめ80の国と地域で放送され、実写版『聖闘士星矢 The Beginning』のトメック・バギンスキー監督も、「私と『聖闘士星矢』の出会いは90年代後半です。ポーランドで『セーラームーン』などと一緒にテレビ放送されていました」と、10代の頃に当時の熱狂に触れていたことをフロントロウ編集部に明かした。とくにラテンアメリカでは『聖闘士星矢』が社会現象に。これまで、2人のファンがギネス世界記録に“世界最大数の『聖闘士星矢』グッズのコレクション”を持つ人として登録されたが、両方ともラテンアメリカ人だったことからも、その驚異的な人気が分かる。

画像: 星矢役 新田真剣佑

星矢役 新田真剣佑

 そんな『聖闘士星矢』が、『聖闘士星矢 The Beginning』として実写化。主人公の星矢を新田真剣佑が演じ、監督にはポーランド出身のトメック・バギンスキー、アメリカやイギリスからも俳優が集まり、国際的なクルーで、地球を舞台にした女神や聖闘士(セイント)たちの闘いを映像化する。

ジャパニメーションが持つ「哲学」と「技術」を反映したい

画像: アルマン・キド役ショーン・ビーン

アルマン・キド役ショーン・ビーン

画像: グラード役ファムケ・ヤンセン

グラード役ファムケ・ヤンセン

 「ハリウッドにおける、日本のアニメや漫画作品の実写化のドアは今や開け放たれています」とフロントロウ編集部に語る、バギンスキー監督。「そのうえで最大のチャレンジは、それを正しく作れる人材を見つけることです。アニメを知っていて、理解していて、アニメが好きで、何が求められているか分かっている人材。欧米では、アニメを観て育った世代が映画を作る世代になっています。彼らはアニメに関する知見があるため、今後はもっともっと良作が出てくると思います」と付け加えた。

 “今の制作陣がアニメ世代”というその言葉通り、近年、ハリウッドにはアニメ好きなクリエイターたちの作品において、アニメの影響があちこちに見える。例えば、『ロッキー』フランチャイズの最新作『クリード 過去の逆襲』のファイトシーンひとつにも、『NARUTO -ナルト-』や『はじめの一歩』などの影響があるというが、これは、本作の主演でありプロデューサーでもあるマイケル・B・ジョーダンがアニメを観て育ったアニメ好きであることが背景にある。

 そして、バギンスキー監督自身も、アニメの影響を受けて育ったクリエイターのひとり。ビデオゲーム『ウィッチャー』のNetflix実写版の製作総指揮を務めたバギンスキー監督は、「私はアニメと育ったので、20~25年前に短編アニメを作っていた時も日本のアニメのスタイルに影響を受けていました」と振り返る。

画像: シエナ役マディソン・アイズマン

シエナ役マディソン・アイズマン

画像: マリン役ケイトリン・ハットソン

マリン役ケイトリン・ハットソン

 そんなバギンスキー監督がアニメを実写化するうえで大切にしたのが、ジャパニメーションが持つ「哲学」と「技術」だという。「両方とも非常に重要なことです。まず、哲学的なことは、感情面の描写です。日本のアニメの多くは成長物語です。大人の階段を上るなかで、どういう責任を負い、犠牲を払うのかという哲学的なところがある。一方、ビジュアル面については、アニメでは会話のシーンは静的なのに、アクションシーンは非常にオーバーだという傾向がある。実写ではアニメ特有のこの対称性を意識したかったです」とバギンスキー監督。

 ちなみにバギンスキー監督としては、アニメのスタイルに影響を受けたという点で史上最高の作品は、1999年の『マトリックス』だという。そのため、『聖闘士星矢 The Beginning』の制作においては、「多くを参考にさせてもらった」と語る。

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