6月16日(金)日米同時公開の映画『ザ・フラッシュ』は絶賛の前評にふさわしい作品か? 観客によってはその期待値をダッシュで超えていったと感じる者もいるだろう。

『ザ・フラッシュ』のあらすじ

画像: 『ザ・フラッシュ』のあらすじ

 史上最速であるフラッシュは、幼い頃に亡くした母と無実の罪を着せられた父を救うべく、母が殺された日に戻る。しかし、過去を変えてしまったフラッシュがたどり着いたのは、両親と幸せに暮らす18歳の自分が存在する別の世界だった。フラッシュが“世界を変えてしまった”ことによって、かつて『マン・オブ・スティール』(2013年)でスーパーマンが死闘を繰り広げて倒した“最強の敵”ゾッド将軍が蘇ってしまい、世界は破滅の危機に…。2人のフラッシュは、“伝説”のバットマンと、スーパーマンのいとこであるスーパーガールらと共に、絶体絶命のピンチに立ち向かう。

『ザ・フラッシュ』の本国での評価

画像: 『ザ・フラッシュ』の本国での評価

 日米同時公開のため興収は未定だが、DCスタジオのジェームズ・ガンは「史上最高のスーパーヒーロー映画の1つ」と評して“DCユニバースの起点となる作品”と位置づけている。先に鑑賞したというトム・クルーズやスティーブン・キング、そしてシネマコンに参加した批評家からは絶賛の一色となっている。

『ザ・フラッシュ』のサク読みレビュー

画像: 『ザ・フラッシュ』のサク読みレビュー

 『ザ・フラッシュ』は大絶賛の前評どおりの作品か? 観客によってはその期待値をダッシュで超えていったと感じる者もいるだろう。

 本作の魅力は、スーパーヒーロー映画のなかでもトップクラスのコメディと、見事なCGIで実現した壮大かつ現実味のあるアクションと、それぞれのヒーローに人間味を出しているストーリーテリングという三本柱。陳腐になりやすいタイムトラベルというテーマを選んだが、逆にマルチバースの複雑さを豊かなストーリーの探求へと発展させている。

 マイケル・キートンは上質なワインと同じように、年を重ねて再演したバットマンで以前にも増した魅力を見せている。ブロンドロングヘアでポジティブなイメージが強いスーパーガールをダークテイストに改変しているサッシャ・カジェは、出演時間は長くないが強烈なインパクトを残し、女性たちに新たに憧れられるスーパーヒーローを与えている。さらに、カメオ出演と過去作へのオマージュもうまくいっている。

 そして最後に、フラッシュ役のエズラ・ミラー。今年5月には制作クルーのポール・オースタベリーが、エズラの素晴らしいパフォーマンスを観たら彼の過去の問題を「忘れるだろう」とCBCに語って物議を醸した。まず、エズラの演技が素晴らしいことは多くの観客が認めるだろう。2人のフラッシュの個性を見事に演じ分けており、フラッシュをDCUで最も人気なキャラクターにする可能性を持つパフォーマンスを見せている。

 一方、それでエズラの過去を“忘れる”人はどれだけいるのだろうか。認めるのと忘れるのは違う。エズラは2022年にメンタルヘルスの問題に向き合うことを確約し、ワーナーブラザースディスカバリーのCEOであるデイビット・ザスラフ氏は「エズラは回復のために全力で取り組んでいます」と2023年2月に語った。アンディ・ムスキエティ監督は続編をやるならエズラに演じてほしいとしている。ここまでの信頼を演技で勝ち得ているエズラ。続編を作るために人としての信頼を再び勝ち取れるかは業界が見守っている。

(フロントロウ編集部)

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