ピクサーのCCOジョン・ラセター氏を唖然とさせた、宮崎駿のアドバイスとは?

ピクサーのジョン・ラセターが宮崎監督との逸話明かす

 スタジオジブリの宮崎駿監督(82)とピクサー・アニメーション・スタジオのジョン・ラセター氏(66)は、1980年代から面識のある仲。

 ラセター氏が2000年代にTurner Classic Movies(TCM)の特別番組で明かしたところによると、初の劇場アニメ『ルパン三世 カリオストロの城』を終えた宮崎監督が、アメリカのアニメーション制作の視察のためにディズニーを訪れた時に出会ったという。ラセター氏はのちに、ピクサーとディズニーのアニメーション・スタジオのCCOを兼任したが、当時はまだ、ディズニーの新人アニメーターだった。

 その後、ラセター氏は来日するたびに宮崎監督のもとに顔を出すようになり、2人の仲は深まっていった。その結果、あるスタジオジブリ作品の翻訳に関わってほしいとお願いされたという。

 「『トイ・ストーリー』、『バグズ・ライフ』、『トイ・ストーリー2』と、作品の宣伝のために日本を訪れるたびに宮崎さんのもとを訪れました。そうしているうちに私たちの友情は深くなりました。『千と千尋の神隠し』が日本の外で初めて放映されたのも、ピクサー・アニメーション・スタジオだったんですよ。そして宮崎さんとプロデューサーの鈴木さんから、この作品の英語翻訳で助けてほしいとお願いされたのです」

 そうTCMに明かしたラセター氏。翻訳をするにあたり、「まずは、画面で何が言われているのかを完璧に理解したかった。文章的におかしくても、言葉をひとつずつ訳したものを用意しました」と、そのこだわりを明かすと、『千と千尋の神隠し』特有の翻訳の壁にぶつかったとした。

 「『千と千尋の神隠し』では、湯屋で働くキャラクターたちは湯屋を運営する女性に名前を奪われます。そして彼らに与えられた名前は、彼らの役割を示しているのです。そしてそれは日本語の名前。だから我々は、ボイラーマン(※釜爺)をボイラーマンと呼ぶか日本語の名前で呼ぶかで頭を悩ませました。そこで、日本に電話して宮崎さんに助言を求めてみたのです。すると宮崎さんはこう言いました。『私が思うに...アメリカ人が『千と千尋の神隠し』のストーリーを本当に理解するためには...皆さん日本語を勉強する必要がありますね』」

 このエピソードには、TCMの記者からも思わず笑いが。ラセター氏も宮崎監督の堂々とした助言には圧倒されたようで、「宮崎さん...それはきっと、難しいと思います」と返したことを笑いながら明かした。この時、宮崎監督に「君を信頼している。君が正しいと思うことをやりなさい」と言われたラセター氏。結果的に英語版では、キャラクターたちは日本版と同じ名前になっている。

日本テレビが子会社化、スタジオジブリ新時代へ

 そんな宮崎監督のスタジオジブリは、日本時間2023年9月21日、日本テレビの子会社となることが報じられた。宮崎監督は取締役名誉会長に、鈴木敏夫社長は代表取締役議長に就任し、新社長に日テレの福田博之取締役専務執行役員が兼任で就任するという。

 この発表を受けてSNSでは、日テレ傘下の動画配信サービスHuluでのジブリ作品の配信を着たいする声もあがっているが、現時点では何も決定していないとされている。

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