「11歳の私が家族と観たかった」アン・ハサウェイが『オークストリートの異変』で思い出した一本


日米同時公開された恐竜アドベンチャー『オークストリートの異変』から、アン・ハサウェイが肉食恐竜に追いつめられる本編映像と新場面写真5点が解禁。あわせて届いた撮影秘話には、主演も監督も口を揃えた「ある時代」へのこだわりがあった。(フロントロウ編集部)
斧一本で、恐竜の背後に回り込む父
J.J.エイブラムスが製作を務め、『イット・フォローズ』のデヴィッド・ロバート・ミッチェルが初の大作を任された『オークストリートの異変』。平穏な住宅街に絶滅したはずの恐竜が現れ、街から出られなくなった一家がどう生き延びるかを描く物語だ。
新たに公開された本編映像は、その恐怖がもっとも剥き出しになる場面を切り取っている。主人公一家の母・デニースを演じるアン・ハサウェイが巨大な肉食恐竜に追われ、近くの住居へ逃げ込む。しかし壁も柱もお構いなしに顔を突っ込んでくる恐竜から逃げ場はなく、玄関先で追いつめられてしまう。
あと少しで食べられてしまう距離で必死に抵抗するデニース。その名を叫びながら走り込んでくる男性がいる。斧を振り回して恐竜の背後から一撃を見舞った父・グレッグ、演じるのはユアン・マクレガーだ。振り向いた恐竜と、斧一本で向き合うことになる。武器らしい武器を持たない「普通の家族」が、逃げるのではなく立ち向かってしまう瞬間である。

主演が重ねたのは、大好きだった『ポルターガイスト』
8月に初解禁された本編映像の時点から、この作品は恐竜映画でありながらどこか懐かしい手触りで語られてきた。その正体を、アン・ハサウェイ本人が言葉にしている。
「この映画は子どもにも怖すぎない、80年代の家族向けホラーの傑作を思い出させます」と、ハサウェイは素材解禁にあわせて到着したコメントで語った。脚本を読んだ時に思い出したのは、大好きだという『ポルターガイスト』。それをミッチェル監督に伝えると、監督からは「まさに目指していた作品」という答えが返ってきたという。「この映画も怖いけれど健全で、11歳の私が家族と観たかったような作品」と、彼女は自身の子ども時代に重ねながら振り返っている。
解禁された場面写真にも、その空気は流れている。夏の午後の住宅街を自転車で走り抜ける息子・ブライアンのカットは、恐竜のきの字も映っていないのに、80年代の少年映画をそのまま切り取ったようだ。

恐竜が出る街は、アトランタの実在する住宅街だった
ノスタルジーは、演出だけで出せるものではない。ミッチェル監督がまず挙げたのはロケ地だ。「ファンタジーな設定や現実に存在しない奇妙な動物が登場するからこそ、本物の住宅街で撮影することが重要だったんです」。荒唐無稽なものを画面に置くなら、その土台は徹底して現実でなければならない、という考えである。
その住宅街を探し出したのが、『フォードvsフェラーリ』や『THE BATMAN-ザ・バットマン-』を手がけたプロダクション・デザイナーのマヤ・シモグチだった。徹底したロケハンの末に見つけたアトランタの一角について、監督は「あの時代からそのまま運んできたタイムカプセルのような素晴らしい空間だった」とその仕事を絶賛している。
カメラの回し方にも同じ物差しが当てられた。『イット・フォローズ』から監督と組んできた撮影監督のマイク・ジオラキスとは、「70年代後半から80年代初頭の映画に近いスタイルで、凝ったカメラワークもシンプルに感じられるよう意識した」という方針を共有。アングルを増やして情報量で押すのではなく、「ショットの中でシーンを展開させ、編集でペースを調整する手法」を選んだ。派手に見せないぶん、準備は膨大になる。「アロサウルスに追いかけられるシーンでは、ロケハンを重ね、プランを立て、リハーサル、そしてカメラリハーサルを徹底的に行いましたね」と監督は明かした。

残りの場面写真も、その「現実の中の異物」という設計を裏づけている。とんでもないものを見てしまったような表情のグレッグ、ボロボロのタンクトップ姿で子どもたちをかばって立つデニース、夜の車内で警戒を強める夫婦の2ショット。そして、整備された舗装路の先が古代のジャングルへ変わっていくカット。街の見慣れた輪郭が残ったままだからこそ、そこに割り込んだものの異常さが際立つ。
グリーンカーペットで行なわれたワールドプレミアを経て公開を迎えた本作は、大ヒット上映中。プラット一家を襲った“異変”の正体は、劇場のスクリーンで確かめてほしい。
















