「私が見た彼の最高の演技」。74歳リーアム・ニーソンが白昼に爆発させた怒り


映画『ハードボイルド』の本予告映像が解禁されたのは、9月9日のことだった。あれから1週間あまり、今度はハンス・ペテル・モランド監督のインタビューと本編映像が到着。10月9日の日本公開を前に監督が語ったのは、主演リーアム・ニーソンへの惜しみない賛辞と、あの肉弾戦が昼間に撮られることになった事情だった。(フロントロウ編集部)
「ニーソンがいなかったら、この映画は実現していなかった」
メガホンを取ったのは、ベルリン国際映画祭コンペティション部門に度々選出され、骨太なアクションから深みのある人間ドラマまで描く手腕に定評のある北欧の名匠モランド監督。『スノー・ロワイヤル』以来、ニーソンとは2度目のタッグとなる。
その監督が本作について口にしたのが、「ニーソンがいなかったら、この映画は実現していなかった」という一言だ。記憶障害を抱え、追い詰められた男が最後に爆発させる怒りの演技については、「私の見たニーソンの演技で最も素晴らしい。彼は完全にあの男になりきり、欠点と怒りを抱えた男の魂そのものを叩きつけてくれた」と絶賛している。

「泥臭く、リアルな痛みが伝わる肉弾戦を目指した」
本作で繰り広げられるアクションについて、監督は「決して見せかけだけのスタイリッシュな暴力ではなく、泥臭く、リアルな痛みが伝わる肉弾戦を目指した」と語る。狙いは、暴力を非日常の見せ場として切り離さないことにあった。
「主人公にとって暴力は、生きるための日常的な手段だ。日常の延長として繰り広げられるからこそ、観客にとって予測不能で、圧倒的な衝撃になる」
同時に解禁された本編映像では、ニーソン演じる主人公がトラックの荷台で刺客を容赦なく叩きのめし、さらに愛車のシボレー・シェベルに乗り込んで、銃を構える敵へバックで突撃する。なかでも圧巻なのは、ニーソン自身のボクサー経験がいかんなく発揮された肉弾戦だ。相手の攻撃を見切り、重厚かつ的確なパンチで叩きのめすその動きには、元ボクサーならではの説得力と生々しいリアリティがある。
夜に起こるはずだった暴力が、昼の街へ移された
じつはこの場面、脚本の段階では別の時間帯に設定されていた。監督はその経緯をあっさりと明かしている。
「もともと脚本では、夜に起こる暴力シーンだった。それを予算上の事情もあり、昼に撮影することに」
やむを得ない変更だったが、出来上がったものは監督の想定を超えていた。「結果的には、それがシーンを独特なものにしてくれたと思う。明るい昼間だからこそ、観客はそこであれほど激しい暴力が起きるとは予想しない。だから実際に起きたとき、より大きな驚きになるんだ」。何気ない日常の風景が広がる昼だからこそ、突如として炸裂する肉弾戦とカーアクションの衝撃は倍増するというわけだ。
全米ではTOP10入りを果たしたスマッシュヒット作で、リーアム・ニーソンが演じるのは、ボストンの裏社会で拳ひとつで這い上がった元ボクサーの運び屋。記憶が徐々に失われていく残酷な病に侵されながら、長年の友が人身売買に手を染めていることを知り、未来を奪われる少女たちを救うため、残された命のすべてを懸けて再び立ち上がる。アクションヒーローではなく、哀愁と怒りを宿した生身の74歳が暴れまわる姿は、観客の胸を打つエモーショナルなアクションへと結実している。
映画『ハードボイルド』は、10月9日(金)よりTOHOシネマズ シャンテほかにて全国公開。
■CREDIT 監督:ハンス・ペテル・モランド 脚本:トニー・ゲイトン 出演:リーアム・ニーソン、ロン・パールマン、ヨロンダ・ロス、ダニエル・ディーマー、フランキー・ショウ 2026年/アメリカ/英語/112分/カラー/シネマスコープ/5.1ch/原題:Absolution/日本語字幕:笛木貴子/配給:AMGエンタテインメント/映倫:PG-12
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