2027年のメットガラのテーマが決まった。米時間11月5日、ニューヨークのメトロポリタン美術館が発表した2027年春の展覧会は「extraORDINARY: Fashion and the Poetics of the Everyday」。Tシャツやデニムといった身近な服が、デザイナーの手によって特別なものに生まれ変わる瞬間に光を当てる。展覧会の入口を飾るのは、日本のファッションブランド、『アンダーカバー』だ。(フロントロウ編集部)
ジョン・ガリアーノ展の中止を受け、2027年メットガラのテーマが変更に
2027年春の展覧会では当初、世界的デザイナーのジョン・ガリアーノの回顧展が予定されていた。ところが、過去の人種差別的・反ユダヤ的な発言をめぐって反発が広がり、美術館への寄付を見送る意向を示す支援者も現れた。
こうしたなか、ジョンは米時間8月31日、自ら展覧会の中止を発表。「自分をめぐる議論によって美術館を難しい立場に置いたくない」との考えを示し、メトロポリタン美術館も開催を取りやめることを明らかにした。
展覧会を手がけるキュレーターのアンドリュー・ボルトンは、米Vogueに「代わりの案はありませんでした」と明かしている。ただの穴埋めではなく、ジョンの展覧会と同じくらい挑戦的で、美しいものにしたかったという。
そこでアンドリューが注目したのが、毎日のように身につけている「ふつうの服」だった。何気なく着ているTシャツやジーンズにも、持ち主の習慣や思い出が刻まれている。そんな日常着の可能性を、ファッションを通して見つめ直す展覧会が生まれた。
アンダーカバーで幕開け、最後はアンリアレイジ
展覧会は、大きく2つのテーマで構成される。ひとつは、Tシャツやデニム、白シャツ、トレンチコートなどの定番アイテムを、デザイナーがどのように作り替えてきたかを探る「Familiar Forms(身近な服のかたち)」。
もうひとつは、紙やアルミニウム、プラスチックといった、日常にあふれる素材をファッションへと昇華させる「Common Matter(身近な素材)」だ。
来場者を最初に迎えるのは、デザイナーの高橋盾が手がけるアンダーカバーの2024年秋冬コレクション。映画『PERFECT DAYS』で知られるヴィム・ヴェンダース監督の作品に着想を得たショーで、働く母親の日常を描いた監督自身の詩の朗読に合わせて披露された。
Tシャツやシャツといった何気ない服を、コラージュや重ね着によって新しい形に作り替えたルックについて、アンドリューは「展覧会に人間味のある出発点を与えてくれる」と米Vogueに語っている。
一方、展覧会の最後を飾るのは、デザイナーの森永邦彦が手がけるアンリアレイジ。立方体や球体、ピラミッドといった幾何学的な形を取り入れた服を通して、服と体の関係を問いかける。
そのほかにも、故ヴァージル・アブローが手がけたオフホワイトのTシャツ、ジョナサン・アンダーソンによるロエベのトレンチコート、ピエールパオロ・ピッチョーリがモンクレールで制作したダウンのドレス、コム デ ギャルソンの紙製ドレス、ジュンヤ ワタナベのバイカージャケットなどが展示される予定だ。
メットガラのドレスコードと共同ホストは未発表
2027年のメットガラのドレスコードと共同ホストは、現時点ではまだ発表されていない。ただ、アンドリューは展覧会そのものにもドレスコードを設けたいと考えているそうで、来場者には「お気に入りのTシャツやジーンズ、パーカー」を着て訪れてほしいと話している。
2026年のメットガラでは、世界的歌手のビヨンセや俳優のニコール・キッドマン、テニス界のスターであるヴィーナス・ウィリアムズ、米Vogueのアナ・ウィンターが共同ホストを務めた。
普段着として親しまれているアイテムが、ファッション界最大級のイベントでどのような装いに生まれ変わるのか。スターたちが見せる「日常着」の解釈にも注目が集まりそうだ。
2027年のメットガラは米時間5月3日に開催され、展覧会は同年5月9日から2028年1月9日まで一般公開される。




















