11月20・21日に来日公演を行うテイラー・スウィフトが、今後のキャリアに関する「大きな決断」を発表した。

来日公演目前の「重大発表」

 約3年半ぶりとなる来日公演の初日を控えた日本時間11月20日未明、シンガーのテイラー・スウィフトがインスタグラムである2人の男性と肩を組んだスリーショット写真を投稿。

 この写真には「My new home(私の新しい家)」という言葉とともに、テイラーがつづった長文コメントの画像が続いた。

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My new home

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 この男性たちの正体は、業界最大手の音楽会社ユニバーサル・ミュージック・グループの最高責任者ルシアン・グランジ氏(写真左)と同社に属するレコードレーベル、リパブリック・レコーズの最高責任者のモンテ・リップマン氏(写真右)。

 テイラーは、この投稿により、デビューから12年間にわたって契約を結んできたカントリー・ミュージックに特化したレコードレーベル、ビッグマシン・レコードとの契約を終了し、ユニバーサルミュージック・グループ傘下のリパブリック・レコードと新契約を結んだことを報告した。

 テイラーは長文コメントの中で、新たな提携先として同レーベルを選んだ理由を説明。さらに、デビュー以来自身をサポートし続けてくれた古巣ビッグマシン・レコードのスタッフや献身的に自分を応援し続けてくれるファンたちに対して、こんなメッセージを送った。

 フロントロウが全文訳で紹介。

 今後の私のミュージシャンとしての“家”がリパブリック・レコードとユニバーサル・ミュージック・グループとなることをお知らせできることを心から嬉しく思っています。これから制作するすべての楽曲に関する権利を自分自身で所有できるようになることに、信じられないほどワクワクしています。音楽界の今後についての見解が所属レーベルと一致するということは私にとって非常に重要なことです。変わりゆく音楽界の情勢やストリーミングサービスの進化などにより広がった新たな可能性に大きなモチベーションを感じています。

 私は、ストリーミングというものは、アーティストや作曲家、プロデューサーたちが創り出すする魔法をもとに、音楽業界がさらなる発展を遂げるためにもたらされたものだと信じています。今回の新契約を結ぶにあたり、私が最重要視した条件は、(音楽サービスの)Sportify(スポティファイ)を通じて発生した利益は、一切の差し引きなく、全額がアーティストに支払われるべきであるという点です。
 新所属先となるレーベルはこれに寛容に同意してくれ、ほかの大手レーベルよりも(アーティストにとって)有益な条件を提示してくれました。私はこの彼らの歩み寄りを、私がキャリアを通じて達成したいと願っている「音楽界に作り手にとってポジティブな変化をもたらす」という目標について、彼らとなら足並みをそろえることができるという意思表示だととらえました。これらの試みに、ルシアン・グランジ氏(※1)が協力してくださることを心から嬉しく思います。

※1ユニバーサルミュージックの会長兼最高経営責任者。

 14歳だった私を信じ、これまでの10年以上もの誇らしいキャリアにおいて私を導いてくれたスコット・ボーケタ(※2)氏には心の底から感謝しています。自分が愛する音楽を、素晴らしいスタッフの皆さんと一緒に創る機会を与えてくださり、本当にありがとうございました。
 そして、これまでのキャリアにおいて、私が最も幸運だったのは、私が書く歌詞やメロディを信じ、献身的に忠誠心をもってサポートしてくれるファンのみなさんと出会えたということです。私の原動力となっている一番の目標は、ファンのみなさんに誇りに思ってもらうということ。今後へのワクワクが止まりません。次の作品をみなさんにお披露目するのが楽しみで仕方ありません。
愛を込めて、テイラー

※2 テイラーを発掘したビッグマシーン・レコードの創設者。


「最重要視」した条件

 コメント内で「最重要視した条件」としてレーベル側が音楽配信サービスのスポティファイ(Spotify)を通じて得た収益をアーティスト側に全額支払うことについて挙げたテイラー。

 この背景には、2014年11月、テイラーが、当時、同音楽配信サービスが使用者に無料でアーティストの楽曲を提供していたことに反対し、「音楽はもともと無料ではない」、「制作者に十分な対価を支払うべき」、「芸術作品は固有の価値があるものとして扱われるべきだと思っている」などと主張して自身の楽曲をすべて引き上げたという経緯が。

 その後、スポティファイやAppleミュージックをはじめとする配信サービスのポリシー改善を受け、2016年の6月、アルバム「1989」の販売枚数1000万枚突破と楽曲ダウンロード数1億回突破記念して自身の楽曲のストリーミングを解禁した。

画像: 「最重要視」した条件

 2016年には12カ月間で約175億円を稼ぎ出し、米経済誌フォーブスが選ぶ「世界で最も稼ぐセレブ」のトップの座に輝いたテイラー。そんな彼女はもちろん、さらに私腹を肥やすためだけに音楽業界の将来を担うストリーミングサービスに噛みついたわけではない。

 テイラーは「タダで聴けてあたりまえ」と価値が下がってしまう恐れがあった“音楽”を救い、ブレイク前の収入が少ないアーティストや、今後アーティストとして活躍することを夢見る若い世代のの未来をより明るいものにしたいとの想いから“抵抗”したのだ。

 今回のユニバーサル・ミュージック・グループおよびリパブリック・レコーズとの契約交渉において、「ストリーミングにより発生した利益をアーティスト側にきちんと支払うこと」という条件を提示し、レーベル側にそれを飲ませたテイラー。これにより、彼女は、ほかのアーティストたちにとっても有益となる、音楽界における1つの画期的な指針を示したことになる。

 リパブリック・レコーズには、シンガーのアリアナ・グランデやザ・ウィークエンド、ラッパーのニッキー・ミナージュ、ポスト・マローンらの人気アーティストが所属。将来的にコラボが実現する可能性もゼロではない。(フロントロウ編集部)

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