宅配ピザの箱を大胆活用
映画『ボヘミアン・ラプソディ』で、アカデミー賞の主演男優賞にノミネートされているラミ・マレックが、宅配ピザの配達員のバイトをしていた下積み時代に、“ピザの箱”に自分の顔写真と履歴書をテープで貼り付けて売り込みをしていたことを、全米映画俳優組合賞(SAGアワード)のバックステージで語った。
「業界と関わりがありそうなお客さんにだけ、ピザの箱に顔写真と履歴書をテープで貼り付けて渡していたんだ。そんなことを数年間続けていた。あの頃は、俳優としてとにかく何か役が欲しかったんだ。だから、(フレディ役を射止めたことは)僕の人生において桁外れにスゴイことなのさ」
ラミいわく、そんな地道な売り込みが身を結び、その後、脇役ではあるが人気ドラマ『ギルモア・ガールズ』の出演資格を得た。
「ある日、『ギルモア・ガールズ』のキャスティングを担当するディレクターから電話があったんだ。『ラミ・マレックのエージェントと話がしたい』と言われたから、『僕です』と答えたら『あなたがラミ・マレック?』と聞き返され、『そうです』と返事した。『エージェントはいないの?』と驚かれたから、『いません。これから探さないと』と答えたんだ。彼女(ディレクター)は電話のあいだずっと笑っていたよ。超脇役でセリフはたった3行しかなかったけど、『今、笑ってたでしょう?ワーナーズ・ブラザースのスタジオまで10分で行けます!』と即答したら、『いいわ、ここにいらっしゃい』って言ってもらえた。何年ものあいだ、ピザの箱とテイクアウトの袋に僕の顔写真を入れ続けた結果、やっと連絡が来たんだ。僕はすぐに彼女の事務所へ行き、その日のうちに仕事をもらったよ」
主演ドラマ『MR. ROBOT/ミスター・ロボット』でプチブレイクし、映画『ボヘミアン・ラプソディ』で大ブレイクを果たした今のラミからは想像もつかないような苦労話だが、厳しい下積み時代を経験したからこそ、謙虚で控えめな現在の彼の姿があるのだろう。そんなラミには、アカデミー賞の主演男優賞の最有力候補として受賞の期待がかかっている。(フロントロウ編集部)