女性を深く傷つける「リベンジポルノ」や「セカンドレイプ」が欧米でも問題となっている。(フロントロウ編集部)

リベンジポルノとは

 テクノロジーの発展によって、携帯電話などによって簡単に個人が写真や映像を撮影でき、それをインターネット上に公開できるようになった。

 それに伴って、元交際相手や結婚相手のヌード写真や性行為中の動画などを、相手を傷つけるために、相手の許可なく第3者に公開する「リベンジポルノ」の被害数が急増している。

画像: リベンジポルノとは

 最近では、2019年11月に亡くなったKpopアイドルのク・ハラの自死の原因の1つに、元交際相手によるリベンジポルノがあったとして問題になっている。

 米The Cyber Civil Rights Initiativeによると、リベンジポルノの被害者は10代から20代の女性が非常に多いという。しかし50代などでの被害も確認されている。また、被害者の90%は女性である。

リベンジポルノ被害者の半数以上が自殺を考える

 リベンジポルノはネットが舞台となるため、自分のヌード写真などが不特定多数の人々に拡散される可能性が非常に高い。被害者だけでなく警察でさえ状況をコントロールすることは難しく、その結果、社会の中で自分が辱められていると感じる精神的苦痛が生まれる。

 また、リベンジポルノは、被害者が1度は“信用した人物”によって引き起こされることも、被害者を苦しめる要因の1つ。信頼がそのような方法で壊されることによって、多くの被害者は人が信じられなくなってしまうと、性被害を受けた女性をサポートする英チャリティ団体Safelineは危惧する。

 元パートナーからリベンジポルノの被害を受けたというケリーは、英BBCに、「誰も信じません。自分だけの人生をただ生きています。友達からも距離を取りました。友達も失くしました」と明かした。

画像: リベンジポルノ被害者の半数以上が自殺を考える

 また、警察に被害を届け出る際にはその写真や映像を見せなくてはいけないことも、精神的な苦痛に繋がることは、想像にたやすい。ある女性は英BBCにこう語った。

「警察は、それらの写真を確認しなくてはいけませんでした。それだけでも恥ずかしいことです。とくに、自分が彼らの目の前にいる時は。リベンジポルノは、すべての物事に影響しました。私は外に出かけたくないし、自殺しようとしたこともあります。自分に価値がなく、汚いと感じたからです」

 The Cyber Civil Rights Initiativeの調査によると、51%ものリベンジポルノ被害者が、自殺を考えたことがあるという。

セカンドレイプも同じくらい問題に

 リベンジポルノの被害者のあいだでは、被害を笑われたり、被害者であることを責められたりするセカンドレイプも問題になっている。

 セカンドレイプはリベンジポルノを告発した女性にも起こっており、リアリティスターのブラック・チャイナが、2017年に、元恋人であるロブ・カーダシアンによるリベンジポルノの被害に遭った際には、ブラックが過去にストリッパーだった経歴をネタにしたジョークも拡散されるという事態になった。

画像: セカンドレイプも同じくらい問題に

 また、事件の判決に決定権を持つ裁判官によるセカンドレイプも起こっており、今年2019年8月にはアメリカで、リベンジポルノ被害を受けて裁判を起こした女性に対して裁判官が、ヌード写真を有名アダルト雑誌『PLAYBOY』の創設者であるヒュー・ヘフナーに買い取ってもらえば良いと発言して問題になった。

 裁判官による男尊女卑は各国で問題となっており、日本では、レイプを含む数多くの性犯罪加害者が無罪になっていることを受けて、裁判官のジェンダー教育を求める署名が立ち上がったり、韓国では、ハラの裁判を担当した裁判官に辞職を求める活動が広がったりしている。また、アイルランドの上級判事を務めたジョン・ギレンは、現在の司法制度において、性犯罪を取り扱ううえではさらなる教育が必要だという評価を2018年に発表している。

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 (フロントロウ編集部)

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