カニエ・ウェストが、2009年のMTVミュージック・ビデオ・アワードに駆け上がり、テイラー・スウィフトの受賞スピーチを妨害するという突飛な行動に出た「本当の理由」をついに語った。(フロントロウ編集部)

カニエvsテイラーのバトルの原点となったあの事件に言及

 今となっては犬猿の仲として知られ、かれこれ10年以上にわたってバトルを繰り広げているラッパーのカニエ・ウェストとシンガーのテイラー・スウィフト。

 2人の関係が険悪なものとなる発端となったのが、2009年のMTVビデオ・ミュージック・アワード(以下、VMA)で最優秀女性ビデオ賞を受賞し、ステージでスピーチを行なっていたテイラーから、酒に酔ったカニエが突然マイクを奪い、「ヨー、テイラー。君の受賞をとても嬉しく思ってるよ。君には喋らせてあげるけど、ただ…、ビヨンセのビデオは歴史上で最も素晴らしいビデオのひとつだった!」と観客席に向かってシャウトした事件。

画像1: カニエvsテイラーのバトルの原点となったあの事件に言及
画像2: カニエvsテイラーのバトルの原点となったあの事件に言及

 カニエが、思いもよらぬ出来事に呆然とするテイラーを尻目に、最優秀女性ビデオ賞には、テイラーが受賞を果たした「ユー・ビロング・ウィズ・ミー」よりも、シンガーのビヨンセの「シングル・レディース(プット・ア・リング・オン・イット)」のほうが相応しいと主張したこの一件は、音楽界の歴史に残る珍事として認識され、当時在任中だったバラク・オバマ元大統領を含む著名人たちからも批判の声が上がった。

 世間から大バッシングを受け、のちに謝罪することとなったあの事件から、ちょうど11年が経とうとするなか、カニエが改めて自身の行ないについて言及した。

 俳優のニック・キャノンのポッドキャスト『Cannon’s Class(キャノンズ・クラス)』に出演したカニエは、「今、俺は神様から情報を授かっている」とコメントしたうえで、VMAでテイラーのスピーチを妨害するに至った“本当の理由”を次のように説明。

「もし、神様が俺に(VMAの)ステージに駆け上がってビヨンセのビデオが一番良かったって言って欲しくなかったら、彼は俺を最前列の席に座らせたりしなかっただろう。そうじゃなかったら、俺は、後ろのほうの席に座っていたはずだ。

 俺は、あの時まで、あの人物(テイラー)の事を知らなかった。だからこれは別に、そんなにおかしなアイディアではないだろう。『シングル・レディース』は史上最高のビデオなんだから」

 つまり、カニエいわく、彼がテイラーのスピーチを妨害したのは、“神による導き”だったとのこと。

 カニエは、2009年のVMAの当日、レッドカーペットにウイスキーボトルを持参し、ベロベロになるほど酔っていた理由については、「俺がヘネシー(ウイスキー)を飲んでたのは、ヤラセだらけのアワードになんて参加したくなかったからだ」と続けた。

画像: 当時の恋人でモデルのアンバー・ローズとレッドカーペットに登場したカニエの手にはウイスキーのボトルが。

当時の恋人でモデルのアンバー・ローズとレッドカーペットに登場したカニエの手にはウイスキーのボトルが。

画像: 客席でガブ飲み。

客席でガブ飲み。

 敬虔なクリスチャンであり、ここ数年、ますます神に傾倒する発言が目立っているカニエ。

 “すべては神の思し召し”という言葉が一般的にも浸透しているように、それを言ってしまえば、どんな事でも、ある程度すべて説明がついてしまうという節はあるが、テイラーとのバトルの火種となった事件に関しても、自分の行動に問題があったのではなく、神の意向に素直に従ったまでだと言ってのけた。


メンタルのバランスを崩しているカニエ

 11月に行なわれる米大統領選への出馬を表明したり、やっぱり出ないと示唆したりを繰り返し、政治集会では妻キム・カーダシアンが長女ノースちゃんを妊娠した際、堕胎を考えたと涙を流しながら暴露するなど、理解に苦しむ行動が相次いでいるカニエ。

 双極性障害(躁うつ病)を公表しており、ここのところメンタルのバランスを崩していると言われる彼が、時折思ってもいないことを口走ってしまうことについては、妻のキムも「彼の言葉が、時々、実際の思惑とは一致しないことも分かっています」と声明の中で、世間に対して理解を求めていた

画像: カニエの妻キムも、カニエが自身の楽曲「フェイマス」でテイラーを「ビッチ」呼ばわりしたことでバトルが再燃した際、テイラーを”嘘つき”呼ばわりして参戦。一時はカニエも交えて一緒にディナーに出かけるほど仲良くなったキムとテイラーの関係も険悪なものとなっている。

カニエの妻キムも、カニエが自身の楽曲「フェイマス」でテイラーを「ビッチ」呼ばわりしたことでバトルが再燃した際、テイラーを”嘘つき”呼ばわりして参戦。一時はカニエも交えて一緒にディナーに出かけるほど仲良くなったキムとテイラーの関係も険悪なものとなっている。

 今回の発言は、真意なのか、それとも最近“降りてきた”言い訳なのかは分からないが、カニエの言い分に素直に納得できる人は多くはないだろう。

 ちなみに、テイラーは、カニエから受賞の喜びを台無しにされたVMAでのあの事件の当日に綴った日記を2019年にリリースしたアルバム『ラヴァ―(Lover)』のデラックス版の付録のブックレットで公開している。

 「あぁ…1週間で物事が変わってしまうことってあるんだ。とりあえず、もしカニエ・ウェストが私の1週間、メディア、私のVMAの出番のなかで1番注目を浴びることになると事前に聞かされていたら、それを私に伝えたあなたのことを私は変な目で見たでしょうね。そして、もし音楽業界の大スターの1人がいきなりステージに上がってきて、私は“賞を受賞するに値しない”と生放送のTV番組で言うと聞かされていたら、『そんなこと実際に起きるはずがない』って言ってたと思う。まあ、実際に起こっちゃったんだけど…」

 当時まだ19歳だったテイラーにとっては、カニエに対する“怒り”よりも、予想だにしなかった出来事への“ショック”のほうが大きかったよう。

 さらに、カニエから勝手に名前を出され、お褒めの言葉をもらったビヨンセは、“自身のせいでテイラーを傷つけてしまった”と罪悪感を感じたようで、舞台裏で涙していたという目撃談を業界関係者が2019年に米Billboardに明かしている。

画像: ビヨンセは年間最優秀ビデオ賞を受賞した際に、テイラーをステージ上に呼び、カニエに妨害されてできなかった受賞スピーチの続きをさせてあげるなど、表向きは気丈に振る舞っていたが、裏ではだいぶ混乱していたよう。

ビヨンセは年間最優秀ビデオ賞を受賞した際に、テイラーをステージ上に呼び、カニエに妨害されてできなかった受賞スピーチの続きをさせてあげるなど、表向きは気丈に振る舞っていたが、裏ではだいぶ混乱していたよう。

(フロントロウ編集部)

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