クリストファー・ノーランの新作映画『TENET テネット』
映画『ダークナイト トリロジー』や『インセプション』で知られるクリストファー・ノーラン監督の新作映画『TENET テネット』が2020年9月18日に日本公開となった。
本作の主役は、名もなき男。テロ事件の対応にあたっていた特殊部隊に参加していた男は、仲間を守るために捕まり、昏睡状態に陥る。その後目覚めると、ある男からミッションを命じられた。そのミッションとは、「時間から脱出し、未来の第三次世界大戦を防ぐ」というもの。『TENET テネット』とは、そのミッション名。
主演を務めるのは、映画『ブラック・クランズマン』のジョン・デヴィッド・ワシントン。その他、ロバート・パティンソン、ケネス・ブラナー、マイケル・ケインなどが参加している。
そんな本作に登場する重要な要素の一つに、「時間の逆行」というものがある。難しい物理学の考え方を用いた説明には、多くの観客が頭を抱えたに違いない。しかし、ある海外ファンは『TENET テネット』に登場する逆行の考え方が、コメディドラマ『ビッグバン★セオリー ギークなボクらの恋愛法則』に登場する考え方と同じであることに気がついた。
物理学者が集まるコメディ『ビッグバン★セオリー』
ドラマ『ビッグバン★セオリー ギークなボクらの恋愛法則』は、2007年から2019年まで放送された人気コメディドラマ。2人合わせるとIQが360という仲良しオタクコンビの物理学者シェルドンとレナードを主人公に、仲間が織りなすおかしな日常を描いている。
『ビッグバン★セオリー』は、物理学などの用語を用いてものごとをおおげさに話しあう「ズレ漫才」的な要素が魅力的なドラマ。そんな本作のメインキャラクターであるシェルドンは理論物理学者で、当初はひも理論、後に暗黒物質を専門として研究した超天才。
そんな彼が、2009年に放送されたシーズン2、エピソード18の『オタク式ビジネスの法則』で、映画『TENET テネット』に繋がる話をしていたことをご存知だろうか。
『TENET テネット』は『ビッグバン★セオリー』に影響を受けている?
そのエピソードでシェルドンは、普段は決して飲まないコーヒーを口にして、カフェインのせいでハイになってしまう。酔っ払ったかのように彼が早口で話したのは、時間の逆行に関する取り留めのない考え。
「じゃあ、次はエントロピーを逆にして考え直そう。結果が先行する。宇宙というものを考えた時、一点から広がらず、宇宙だった空間から一点に収束するんだ。バン!」
明らかに高揚しているシェルドンだけれど、映画『TENET テネット』では、まさに同じ用語を用いて「エントロピーの逆転」が説明される。もちろん、『TENET テネット』の方がより詳しく描かれて入るけれど、この一致は非常に興味深い。
実際、映画『TENET テネット』の元ネタが『ビッグバン★セオリー』に影響を受けたかどうかは定かではないけれど、両作品ともに専門分野の学者と話し合いながら作られているため、同じアイデアからインスピレーションを受けている可能性が高い。
ちなみに「エントロピー」は様々な分野で使われる用語で、分野によって異なる意味を持っている。『TENET テネット』では、乱雑さの度合いといった意味で用いられているけれど、気になる人はチェックしてみて。
映画『TENET テネット』は、現在全国で公開中。ドラマ『ビッグバン★セオリー』シーズン2のエピソード18は、Amazonプライム・ビデオやHuluなどの動画配信サービスで配信中。ぜひ両者を比べてみて。(フロントロウ編集部)