『ハリポタ』で手にした名声に悩んだ過去
2001年に公開された第1作目『ハリー・ポッターと賢者の石』から、シリーズ最終章となった2011年公開の『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2』まで、約10年間、計8作にわたってダニエル・ラドクリフ演じる主人公ハリー・ポッターの親友ロン・ウィーズリーを演じた俳優のルパート・グリント。
現在も役者として活動を続け、Apple TV+のオリジナル・ホラードラマ『サーヴァント ターナー家の子守』に出演中のルパートは、2020年5月に恋人で同じく俳優のジョージア・グルームとの間に長女ウェンズデーが誕生し、パパになった。
ルパートといえば、『ハリポタ』全盛期に世間から注がれた視線や、さまざまなプレッシャーに耐えられず、シリーズを辞めようと思ったことや、若くして多額のギャラを手にしたことで、どう考えても必要ではない突飛な買い物をしてしまったことなど、『ハリポタ』シリーズの大成功が自身の思春期に落とした暗い影について、これまでにも何度か口にしてきたことで知られる。
“若くして富や名声を得ることは、決して良いことばかりではない”という思いは、父になり、さらに強まったそうで、最近応じた英The Sunday Timesとのインタビューで、あらためて、これまでに「何度も役者を辞めようと思った」と振り返りながら、「すごく若くして『ハリポタ』のブレイクを経験したからね。有名であることを受け入れるのは、僕にとっては、大変だったよ」と語った。
『ハリポタ』仲間との会話で避ける話題
ルパートと同じく、主人公ハリーを演じたダニエルも『ハリポタ』で手にした名声に押し潰されそうになり、10代にして酒浸りになっていた過去があることを明かしている。
「たくさんの人たちから見られているということを忘れる手っ取り早い方法が酔っ払うことだった。でも、酔いが回ると、さらに『なんだかもっとみんなに見られてる気がする』と思い始めて、じゃあ、それを無視するために、もっと飲まなきゃって」。
さらに、ダニエルとルパートと肩を並べ、“ハリポタトリオ”と呼ばれたハーマイオニー・グレンジャー役のエマ・ワトソンに関しては、『ハリポタ』出演以前には演技の経験が無かった自分が、突如として天才子役としてもてはやされ、世間の注目を浴びるようになったことに「強い罪悪感があった」という。
「『なぜ私なの? 私より名声を楽しめて、それを得ることを必要としていた人がいるかもしれないのに』と罪の意識に苦しめられた。だから『私はもっとそれ(名声)を楽しみ、喜ばなきゃいけない』と考えて、もっと苦しくなった」と、つらかった当時を振り返ったエマは、心のケアのためにセラピーに通っていたことを2019年に英Vogueに明かした。
自分自身や仲間たちの苦悩や葛藤を知っているからこそ、ルパートは、『ハリポタ』仲間との集いなどで、ダニエルやエマと顔を合わせる機会があっても、自分たちを悩ませた“名声”については決して話題にしないという。
「僕がダン(ダニエルの愛称)やエマと会っても絶対に話題にしない唯一のことは“名声”についてなんだ」。そう、The SundayTimesに話したルパートは、「もちろん、『ハリポタ』のファンたちには永遠に感謝してる。一緒に写真を撮って欲しいってお願いされても、断ったことは一度も無いしね。でも、今でも、自分が有名じゃなかったらよかったのにと思うことはある」と本音を吐露した。
もともと質素で穏やかな生活を好む性格のルパート。今、一番ハマっている趣味は陶芸だそうで、娘のウェンズデーがお昼寝をしている合間を見計らっては、ミニチュアサイズの水差しやお椀などをせっせと作って楽しんでいるそう。
さらに、新型コロナ禍で外出時のマスク着用が要請されていることは、彼にとってはちょっとラッキーだそうで、「ダンの顔がプリントされたマスクを着けようかなって思ったこともある」と、今も仲が良いダニエルへの愛を感じるジョークも忘れなかった。(フロントロウ編集部)