ビリー・アイリッシュが、自分の体形を疎ましく思うあまり、自傷行為や過度の食事制限、ダイエットピルなどに手を出した過去について赤裸々に振り返った。(フロントロウ編集部)

ビリー・アイリッシュ、醜形恐怖症に苦しみ自傷していた過去

 シンガーのビリー・アイリッシュは、「太っている=醜い」、「ヤセていることこそが正義」といった、世の中に根強く残る体形にまつわる“歪んだ美の基準”に警鐘を鳴らし、他人の体形をあれこれと評価する体形批判(ボディ・シェイミング)に対して、幾度となく物申してきたことで知られる。

画像: ビリー・アイリッシュ、醜形恐怖症に苦しみ自傷していた過去

 その背景には、彼女自身に、まだ10代前半の頃から悩んでいたという醜形恐怖症(または身体醜形障害)(※)や、自己肯定感が低く、自分の身体を嫌うあまり、自傷行為に手を出してしまったという辛い経験があり、ビリーは、そういった過去について、2019年の米Rolling Stoneとのインタビューで明かしつつ、一時は「まともに鏡を見ることもできなかった」時期があったことも告白していた。

※実際には存在しない外見上の欠点や、自身が欠点とみなす、ささいな外見上の特性にとらわれることで、日常生活に支障をきたすほどの精神的苦痛を感じてしまう病的な悩み

ボディ・シェイミングに改めて反応

 多くの人がすでにご存じの通り、ビリーのトレードマークとなっているルーズでダボダボなスタイルは、彼女の「自分のすべてを知られたくない」という意思の表れ。もちろん、それには、体のラインを見られたくないといった、体形をカモフラージュするという意味合いも含まれている。

画像1: ボディ・シェイミングに改めて反応

 19歳になり、今でこそ、自分の体形を受け入れ、他人の意見にそこまで動揺することはなくなったというビリーだが、2020年の10月には、まだ完全には克服しきれていない、過去の傷をえぐられるような出来事があった。

 カリフォルニアの気温が43℃を超えていたというある日、ビリーが、兄でコラボレーターであるフィネアス・オコネルの自宅を訪ねる模様がパパラッチのカメラに収められた。かなり暑かったこともあり、ビリーは、フィット感のあるベージュのキャミソールに同色のショートパンツを合わせた着こなしで、いつもよりだいぶ露出度が高い格好だった。

 普段見たことがない、ビリーの薄着姿の写真がネット上に出回ると、一部の心ない人たちから、「30代半ばのワイン好きのお母さんみたい」、「ビリー・アイリッシュって太ってるんだね」と体形批判が。

画像2: ボディ・シェイミングに改めて反応

 これに対し、ビリーは、「みんな、そろそろリアルな体形を標準化しはじめなくちゃ。OK? みんながみんなボリュミーなお尻の持ち主ってわけじゃない。太鼓みたいに突き出たお腹は普通だよ、普通。バストは垂れるものなの。とくに、母乳育児を経験した後はね。インスタグラムはリアルじゃないんだよ」と語るボディ・ポジティブ活動家として知られるユーチューバーの動画を共有し、自分の気持ちを代弁してもらうという形で反論。

 さらに、2020年の年末に行なわれたVanity Fairとのインタビューでは、「あの日の気温は43℃くらいだった。だからタンクトップ姿だったんだけど、みんな『ヤバい、ビリーが太ったー!』って大騒ぎ。私は『違うよ、これが私の真の姿だよー!ただ、みんなが見たこと無かっただけだよー!』って感じだった」とコミカルに回答するといった方法でリアクションを見せてきたが、Vanity Fairとの新たなインタビューでは、あの一件がどれだけ自分の過去の辛い記憶を呼び覚ましたか、より真剣なトーンで振り返った。


自分の体形が嫌いで自傷 ダイエットピルに手を出したことも

 「私自身よりも、私の周りの人たちのほうが、(自分が体形批判されたことについて)心配してた」と明かしたビリー。

 その理由について、「だって、昔、私が自分の身体を切りつけていたのは、体形のことが理由だったから」と続けると、「完全に正直に言うと、私がダボダボの服を着てるのは、自分の体形のせいだからね」と打ち明けた。

 「でも、あの一件が起こったとき、自分が今ある状態でいられて本当に本当に良かったと思った。もし3年前、私が自分の身体と最悪な関係にあった頃に同じことが起きてたら…。5年前、ダンスに明け暮れてたのに、全然食べてなかった頃の私の身に起きていたらと思うと…。あの頃、私は自分を飢えさせていたからね」と、もしも一番悩んでいた時期に体形批判を浴びせられていたら、どうなっていたかわからないと話した。

画像: 自分の体形が嫌いで自傷 ダイエットピルに手を出したことも

 自分の体形が嫌いで仕方なく、無理なダイエットに身を投じていた頃の事に言及し始めたビリーは、12歳にして、ダイエットピル(ヤセ薬)と呼ばれるものにまで手を出した経験や、その副作用についても振り返った。

 「体重が減らせるっていうふれこみのピルも飲んだことがあるよ。でも、結局、ベッドにオシッコをしちゃっただけだったけど。12歳の頃だった。クレイジーだよね。信じられない」。

 最後には、「私の身体に対する嫌悪と戦ってるのは、私だけだと思ってたけど。ネット上の人たちも私の身体が嫌いみたい。感激だね!」と自虐してみせたビリー。

 あきれた様子で、「ネットって、女性が嫌いだよね」とも口にした。

 ビリーは、2020年内に予定されていたものの、新型コロナウイルスの影響でやむなく中止となってしまった世界ツアーの演出に、洋服を一枚一枚脱ぎ、素肌を晒したショートフィルムを取り入れ、ボディ・シェイミングや、誰かの価値を着ているものや体形といった上辺だけの情報で推しはかるのはそろそろ終わりにしようと訴えたことでも知られる。(フロントロウ編集部)

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