グラミー賞授賞式でのボアスカーフ使いが話題をさらったハリー・スタイルズ。じつはその下には、もっとメッセージ性の高い“あるアイテム”を着用していた。(フロントロウ編集部)

ハリー・スタイルズ、ボアスカーフと重ねづけしていたアレ

 シンガーのハリー・スタイルズは、ヒット曲「Watermelon Sugar(ウォーターメロン・シュガー)」で第63回グラミー賞の最優秀ポップ・ソロ・パフォーマンス賞に輝き、ついにワン・ダイレクションとしての活動も含めて自身初となるグラミー賞を手にした

 授賞式では記念すべきファーストパフォーマーの役割を担い、いつもよりもさらにセクシーさを増量した「Watermelon Sugar」を披露したハリーは、ステージ衣装からプレスルームでのバーチャル会見までを通して、御用達ブランドのグッチ(Gucci)がカスタムでデザインした計3セットのルックに身を包んだ。

画像: ハリー・スタイルズ、ボアスカーフと重ねづけしていたアレ

 そのいずれにも共通したのが、普段からジェンダーの枠にとらわれない自由なファッションを愛し、実行していることで知られるハリーのアイコニックなスタイルを象徴するかのうようなボアスカーフ。

 しかし、我々がフワフワ&モコモコなこれらのボアスカーフに完全に魅了され、気を取られているなか、じつは、ハリーがもっとメッセージ性の高いあるアクセサリーを着用していたことがわかった。


男性器を模したジュエリー

 胸元には大きめサイズのクロスがついたネックレスを着けていたハリー。ズームインしてみると、何やら黄色っぽい物体のモチーフのチャームも一緒に付いているのがわかる。

画像: 男性器を模したジュエリー

 じつはこれ、バナナのモチーフのチャーム。しかも、単なるバナナではなく、先端部分が男性器の形状になっている。

 このチャームもグッチのもので、フロントロウが確認したところ、日本のオンラインストアでは販売されていないが、欧米のショップでは取り扱いがあるイヤリングやブレスレットについているものと同じデザイン。

画像: ©Gucci.com

©Gucci.com


「バナナ」とハリー

 ハリーと「バナナ」というキーワードで思い出すのが、2020年11月にハリーが表紙を飾った米Vogueのエディトリアル。

 ハリーは同誌の歴史上、男性としては初めて単独で表紙を飾るという栄誉に輝き、表紙や誌面で女性用としてデザインされた洋服の数々を着こなして世間をあっと言わせた。

 その中には、ホモフォビア(同性愛嫌悪)の男性たちが強い抵抗を感じると言われる、バナナを口に含むという行為を実行した1枚も。

 インタビューでは、「服というのは、楽しんだり、実験したり、遊んでみたりするためにあるんだよ」、「『男性のための服があって、女性のための服がある』っていう障壁さえ取り除けば、言うまでもなく、楽しむことのできる領域が広がることになる」と、ジェンダーによる暗黙の制約を取り払えば、おしゃれはもっと楽しくなるはずだと語ったハリー。 

 ハリーが女性用のドレスなどを着用したVogueのエディトリアルは、この持論とともに、多くの人々に絶賛され、支持されたが、一部には嫌悪感を示す人々もいた。

 保守派のコメンターとして知られるキャンディス・オーウェンズ氏は、ツイッターでハリーのドレス姿の写真を引用し、「強い男性なくして生き残った社会などありません。東はこれを知っています。しかし、西では、子供たちにマルクス主義(※)が教えられるのと同時に、男性たちの女性化も教えられている。これは単なる偶然ではないでしょう。これは明らかに(社会への)攻撃です。男らしい男性を取り戻しましょう(Bring Back Manly Men)」と、ハリーが、あたかも男性たちに“男らしさ”を失うよう仕向けるプロパガンダを担っているかのような口ぶりで批判。

※ドイツの思想家カール・マルクスとフリードリヒ・エンゲルスによって展開された資本を社会の共有財産に変えることにより、“労働者が資本を増殖するためだけに生きる”という賃労働の悲惨な性質を廃止し、階級のない協同社会をめざす思想。

 しかし、これに対してハリーは先ほどのバナナを加える写真を投稿し、キャプションにオーウェンズ氏が発した「Bring Back Manly Men」というメッセージをそっくりそのまま応用して反応した

 この時、誰も傷つけない方法で、昨今問題視されている“男性は強くあるべき”という「トキシック・マスキュリニティ(有害な男らしさ)」に“No!”を突きつけたハリー。

 グラミー賞という世界中が注目する舞台で、男性器を模したバナナのネックレスをさりげなく着用したのは、決して単なる気まぐれや偶然ではないだろう。(フロントロウ編集部)

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