「Lost Cause」が炎上したビリー・アイリッシュ
今年7月30日にリリースしたセカンドアルバム『HappierThan Ever(ハピアー・ザン・エヴァー)』が日本を含む92ヶ国におけるApple Musicのアルバムチャートで1位を獲得して、衝撃のデビュー作『When We All Fall Asleep, Where DoWe Go?(ホエン・ウィー・オール・フォール・アスリープ、ホエア・ドゥー・ウィー・ゴー?)』に続いて大ヒットを記録したシンガーのビリー・アイリッシュ(19)。
変わらぬ人気の高さを証明したビリーだったが、アルバムをリリースする直前には、同作に収録されているシングル「Lost Cause」のミュージックビデオが「クィア・ベイティング(Queer Baiting)」にあたるのではないかとして、炎上したことがあった。
クィア・ベイティングとは、LGBTQ +の当事者ではない人がマーケティングのためだけにLGBTQ +を利用する商業戦略を批判する言葉だが、自身のセクシャリティについて明言していないビリーが「Lost Cause」のビデオのなかで女性たちと絡んでいたり、ビデオを宣伝するインスタグラムの投稿で「女の子たちが大好き」とコメントしたりしたことから、一部の人たちからクィア・ベイティングではないかと批判の声が寄せられた。
“そう思わせておいてそうではない”という形を取るクィア・ベイティングには、適切なレプリゼンテーションを必要としているLGBTQ+の人々にネガティブな影響を与えるという批判がある。一方で、ビリーのようにセクシャリティを明言していない人に対してクィア・ベイティングだと批判することは、ビリーは異性愛者だろうと勝手に推測する不適切な行為でもある。
ビリー・アイリッシュがセクシャリティを推測しようとする人々に苦言
これまで「Lost Cause」のビデオに寄せられた批判には直接言及してこなかったビリーだったが、今回、米ELLEとの最新インタビューのなかで、自身のセクシャリティを推測しようとする周囲の声について語った。
インタビューのなかで、ビリーは名声を得たが故に多くの人たちからプライバシーを詮索されるようになった状況について触れて、「私のセクシャリティだとかね!」と自身のセクシャリティを一例として挙げた上で、「『他の人たちにも関係あることでしょ?』みたいなさ。『ノー』だよ」と、セクシャリティは必ずしも他の人たちに公にするようなものではないと苦言。
さらに、ビリーは「男性たちには向けられるそういうエネルギーはどこ?」と続けて語り、プライバシーが詮索されるのは自分が女性アーティストだからだと、音楽業界におけるダブルスタンダードも批判した。
「私はただ、曲を作りたいなと思ったことがあって、それ以来作り続けているというだけ。『ねえ、私の人生に注目して!』なんてことは一度も言ったことがない」と、自分はあくまでミュージシャンだと強調したビリーは、「友達はみんな、私がそういう(ネガティブなコメントのような)ものを見たくないと思っていることを知ってる。誰かから意地悪なことを言われれば、心が傷ついてしまうから」として、自身のプライベートを詮索しようとする声に悩まされていることを明かした。(フロントロウ編集部)